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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
~異世界転生で超健康になったので冒険がしたいです~
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107. イメチェンしてすっきりしましたの

 帝立図書館の開館九時~十七時まで。途中お茶で二時間ほど抜けたけど、ずっと集中して重たい書物を読むのって目も疲れるけど首が一番疲れるの……強めのシャワーで頭皮マッサージと首や背中も解したけど、やっぱりキツいなぁ。明日は読みやすい角度にする為に本の下に敷くクッションでも持って行こうかしら?そうしよう。今日はオレンジの乾燥花とハーブブレンドのすっきりした浴湯に浸かり、しっかりと今日の疲れを取る。


 でも心理戦の疲れはそうそう取れないんだよね。ジル様は一体何を考えているの?今の私に関わったって、うん、幸運宝箱(ラッキードロップ)の加護だけでもデカいわ。でもジル様は大金持ちだから別に必要無いよね?まぁ緊急時にフロア核集めるのには便利だけど、そんなに頻繁に緊急時なんてないわよ。だってメインシナリオ終わったもの。後はヒロインのハッピーエンド後の後日談程度のゆるい世界が待って居ると思うわぁ~その内続編にあたるシナリオが始まっても私は関係無いのだ。ああ、平和なのって良いわね、特に命の危険に付き纏われないって、こんなに心穏やかでいられるんだわ!


 さて、コレで良いか。そう!今日は私の大イメチェン日なのよ。前世でも背中の真ん中くらいまでは伸ばしていた髪だけど、今のこの髪ったらポニーテール時で膝裏まであるのよ、結ってないとふくらはぎの上くらいまであるのよね。なんでこんなに無駄に伸ばして居るのかって言うと、侍女達が枝毛以外を切りたがらないから。それでもなんとか床まで引きずらないこの長さで抑えさせているけど、この髪の毛だけでも細い私の首には結構な負担で、まぁその分鍛えろって話になるのかもしれないけど、首の筋肉ムキムキ女子ってどう?よく胸が大きいと肩が凝るって聞いたけど、髪が長くても首と肩に負担が掛かるのよ。ここまで長いのは流石に貴族令嬢のステータスってヤツも超えてやりすぎだと思うのよね。

 この髪の毛、確かにツヤツヤサラサラに手入れされてて綺麗だとは思うのよ。でもその分、侍女達に手間をかけさせているって事でもあるのよね。


 ちなみに今日はもうディナーも済んで後は寝るだけ。図書館から戻った後に少しだけ鍛錬して汗を流してからシャワーを浴びたらもう夕食の時間になっちゃったのよね。今日はお兄様方はディナーの時間になっても帰って来ていなかったから、きっと聖女様のお出かけに付き合っているのね。まぁ聖女様のお願いは当日か早くても前日らしいから、殿下が合わせるのは大変よねぇ……まだお妃教育始まっていないのかしら?だって、皇族のスケジュール変更がそう簡単に行かないのなんて直ぐに分かる事よね?

 ハッピーエンド後も他の攻略対象者達を狙い続けるヒロインって言うのもレアだけど、ルートエンド迎えてもエンディングは流れないし、オープニングにも戻らないから……えぇっ?まさかの浮気とかまだハーレム狙ってたりするの?いや、まだ婚約者候補なんだから、下手したらその地位すら吹き飛んじゃうよ?聖女様って価値は残るけど、そうなったら神殿から出られない不自由な幽閉生活だからね?あのヒロインに耐えられる生活だとは思えないなぁ。


 うーん、タオルを巻いて髪を風魔法でさっと乾かして姿見の前で考え込む。やっぱどうせやるなら大胆に耳の下くらいまでのショートボブ行っちゃう?そうしたら切った髪でカツラ作っても良い感じの長さになりそうね、ご令嬢を演じなければいけない時、なんてこれからあるか分からないけど、準備しておくに越した事はないわね、備えあれば憂いなしってね!


 私はカツラの出来に非常に大満足していた。これは良い。ピンでしっかり止めたらアップスタイルにもアレンジ可能だし、ポニーテールは流石に地の髪を巻き込まないと固定が難しいけど、とりあえずなんでも対応可能ね。私はすっかり軽くなった頭を横に数回振ってみた、物凄い開放感!

 貴族令嬢だと短髪=修道女のイメージだけど、冒険者だと自由なのよね。まぁ明日は図書館だけど、これだけ軽くなったら首の負担も楽になりそうだわ。カツラは小さめの冒険者バッグにしまい込んだ。


 ナイトドレスに着替えて、ゆっくりお茶を飲んでいたら慌ただしい足音が聞こえた。何か緊急事態でも起こったのかと思い、ナイトガウンを羽織ってから自室へ、さらに応接室への扉を開けた時にお兄様方がノックも無しに廊下側の扉を開けて駆け込んで来た!


 「お兄様方、一体何事ですの? こんな時間に淑女(レディー)の部屋に乱入なんて感心しませんことよ?」

 「ああっ!やっぱりもう遅かったか!!」


 私の注意など完全にスルーしたフィンネル兄様が悲鳴のような声を上げる。その傍らには膝と手を床に付いてうなだれるリンデーン兄様。


 「あーーっ。 もしかしてコレの事ですの?すっきり軽くなって良い感じでしょう?」


 笑顔で言い切った私にお兄様方が揃って。


 「「どこが!?」」


 おおーっ流石双子、良いハモリだわ。リンデーン兄様が立ち上がって私の両の肩を掴んで揺らす。


 「その髪の価値を本当に分かっていなかっただなんて!ジルから聞いた時は我が耳を疑ったものだけど、まさか本当にやるなんて!目にした今でも信じられない」

 「僕も信じたく無い……国宝とまで言われる美麗な銀髪をこうもバッサリと切るなんて」


 あらら、大げさねぇ。まぁ貴族の常識的にこの長さは無いわね。そう思い直し。


 「少しお待ちになって」


 そう言い置いて、寝室にある冒険者バッグからカツラを取り出して抱える。長いから持ち方気をつけないと引きずってしまうのよね。そしてお兄様方の前でカツラを被って披露する。


 「ほらね、必要な時はこうすれば大丈夫なのよ」


 私はその場でくるりと一周して見せた。


 「全然!全く!大丈夫なんかじゃ無い!」

 「ああ、生きた髪と死んだ髪の差は大きいな。だいたいその髪をどれだけの人達が大切に磨いてきたと思っているの?」


 リンデーン兄様とフィンネル兄様が口々に言った。

 

 「まぁ……それはすまない事をしたわ。 でもこれで手入れも楽になると思いますわ」

 「マリア、それ全く分かって無いだろう」

 「フィンネル兄様。 貴族令嬢としてあるまじき髪の長さなのは分かっていますわ。 でも、もう社交界にも領の外にすら出ませんし、領地内のお仕事と冒険者活動だけなら、これで問題無いと思いましたの」

 「いや、長さって……傷んだ髪も無いのに毎月毛先を切るだけでも痛々しいって侍女達が嘆いていたの知ってるの?」

 「……」


 いや、そんな嘆くようなモノでも無いでしょう。だって勝手に伸びるし、切らなきゃ引きずるじゃないの。色々言いたい事はあったけど、今はこれ以上言ってはいけない気がして抑えた。二人はすっかり肩を落として部屋を出て行った。かなりショックを受けたようで、あんな絶望顔見た事ないかもしれない。カツラを見ながら、そんなに違うものかしら?っとしばらく眺めたけど、さっぱり違いは分からなかった。




▽▲▽▲▽


 朝起きて鍛錬場に出たら護衛騎士達が目玉が飛び出さんばかりに目を見開いて驚いていた。

 私は清々しい朝らしく微笑んで。


 「すっきりして動きやすいし良いでしょう?」


 っと言った。皆それぞれ頭をかいたりこめかみ押さえたりしながら、モゴモゴと言う。


 「はぁ、動きやすそうですね」

 「いやぁ、俺は前のが良いです」

 「お嬢様がそれで良いのであれば……」


 やはりここまでの短髪は不評のようだった。うーん、ここまで来るとジル様の反応も低そうだな。そう言えばリンデーン兄様はジル様から聞いたって言ってたわ、ジル様はなんで私が髪を切る事を分かったのかしら?心の中が読めちゃうの?それはアレコレちょっ!恥ずかしくて会えなくなるわよ、ジル様を前に無心で居るなんて無理だわ!マリナの時はかろうじて目元マスクが隠してくれるから表情は何とか誤魔化し効いてるけど、心の中はムリ!いや、流石にこれは現実的じゃないわ、きっと私の動作でなにか怪しいと思ったんだわ、どの時かしら?やっぱり冒険者(コスプレ)衣装の事を考えていた時かしら、衣装だけじゃ誤魔化し切れて無かったのを知って、髪を切れば良かったって思った時につい見てたから?

 でもそれって!察しが良すぎるってモノじゃないの?それとも私ったら気が付かないうちに独り言でも喋ってた?いやそれは無いわよ、気をつけているもの。


 朝の鍛錬を切り上げ、シャワーを浴びてドレスに着替える。うーん、ドレスだとこの髪ナシだなぁ……しょうがない、カツラ被っとくか。

 朝食は無事に何事もなく食べ終わり、部屋に戻る。お兄様方は少し前に学園に出かけている。学園と図書館の始まる時間って同じなのよね。だから座標移動で図書館に行く私の方がゆっくりなの。部屋に戻って寝室で冒険者(コスプレ)衣装に着替える。今日も普段着版、剣や短剣は剣帯ごと冒険者バッグに入れてある。カツラも脱いですっきり!まぁ、不評なのは想定済みだけど、そもそもカツラは髪の長さ違うからジル様を誤魔化すのは無理なのよね。


 九時の開館時間に合わせて帝立図書館付近に座標移動した。まだジル様は居なかった、まぁ今の時間は学園の門を私服で抜けるの気まずいよね~って事で、別に待ち合わせをした訳でも無いのでそのまま図書館内に入って、昨日と同じ席が空いていたので座って、キープスタンド立ててから書物を物色しに書架に行く。昨日の続きでここからかなと思ってまた三冊重ねて持つ。っと、手元が急に軽くなった。


 「アート、おはよう」

 「ああ……マリナ、おはよう」


 やはり髪をじっと見てる、ってか、じとっと見てるの間違いかなぁ。うん、不評らしい事は分かった!自分からは敢えて聞かない事にしよう。それが賢明よね。とりあえず、ジル様は知り合いの女の子が髪を切っても分からない朴念仁タイプでは無いってことね。


 「あのティアラが付けられなくなったな」


 そう、ぼそっと呟いたジル様の声が、なんだかすごく残念そうに聞こえたけど、私はどう答えて良いか分からなかった。そうか、ジル様あのティアラ付けてるのが良かったのかな?似合うって言ってくれたものね。でもこの髪型、一度やると止められそうに無いんだわぁ、頭が一気に軽くなった気がしたんだもん。

 私は今日も黙々と書物を読み続けた。場所が場所だけに何も会話無し。私は読んでて理解出来ない所も特に無いので折角ジル様が居ても質問タイム無しなのよね。面倒がなくて良いと思うのだけど、ジル様は度々私の方を見ている。うーん、質問タイムが欲しいのは私じゃなくてジル様って感じだけど、答えられる内容なら良いのよ?でもステータス、特に称号、祝福、加護なんて話せる内容じゃ無いよね?

 今日読んでいる書物にもステータス関係の記述がほとんど載ってない。称号の種類は書物によってバラツキがある、しかも順番も違ってたりするのよね、当てにならないわぁ~!


 ちなみに、フィンネル兄様と私に付いてる祝福の『大魔法使い』は変わらないらしい。生まれつき付いている場合が多いらしいんだけど、最初私がステータスを見た時には無かったよなぁ、私の視る力が足りなくて見えなかったのかな?そう言えばフィンネル兄様も見てもらった当日には分からなくて後日判明だったんだよね。ちなみに称号には無いみたい。

 あと、祝福には加護が付きやすく、称号には付かない場合もある。って感じね。聖女はどっちでも加護付いてるけど、ヒロインは標準の豊穣と浄化の他には魅了だけだったなぁ。まぁ冒険しないからそれで間に合うけどね、あとは聖水を生成出来る様になったのかなぁってところね。浄化魔法はやっぱり出来ないとキツいよね、加護とは別に出来てる聖女がスタンダードなんだもの、出来ないと多少肩身狭いと思うわ。今の所は聖水の生成が満足に出来ない事は伏せられているらしいけど……でもヒロインは婚姻によって聖女の称号消えるタイプだから、早く皇太子妃になっちゃった方が良いんだと思うけどなぁ!相手が皇太子殿下なら文句言って来る所無いってのがキモなのよね。皇家に聖女の血を取り込むのは神殿の悲願でもあるから、祝福してもらえると思う。


 「マリナって俺のこと避けてるのか?」


 隣から飛んで来た急な質問に、心臓が止まるかと思った!うーん、避けてるよね、でも言えないよ。


 「避けて無いよ。活動する時期にバラツキはあるかなぁ、今は家の手伝いでダンジョンに行く余裕ないの。それに、私はソロ活動だからパーティーが多い時間はあまり冒険者ギルドに行かないんだよね、トラブル防止って感じかな」

 「そうなんだ? 特に活動場所って決めてないようだが、Bランクまで行くとダンジョン踏破だけではなれないだろう?」

 「うーん、Bランクに上がった時はしばらくラーンで依頼受けてたかな。拠点は決めてないよ、だって住んでる所に冒険者ギルド無いから。逆に聞くけどアートは決めてるの?ダンジョンは色々行くでしょう?私はBランクになってから新しいダンジョンに行きたくても、ちょうど忙しくなって行けないから残念かな」

 「……俺も拠点は決めてない。 パーティー活動は助っ人だけだから決めない方が逆に良いんだ。 最近はちょっとね、助っ人登録してない。 週末は空いていればダンジョン開拓かな、でもソロだと制限で入れて貰えない所多いのが難点だな」

 「あー、まぁそうだよね。パーティー活動って副業持ちは難しいから、どうしてもソロになっちゃうよね」

 「そう言う事だな」


 うーん、やっぱ仮とは言えパーティー仲間に媚薬盛られたのがかなり心に来てるなぁ、女性不信まっしぐらだね。美形なのに勿体ないわぁ。まぁ次男だから無理しなくて良いのは良かったかもね。

 パーティーは難しいよね、ジル様の場合ヘルムルトが一番予定合わせやすいだろうけど、最近はデートも入って、ジル様はそろそろ魔術師の塔の見習いの仕事が忙しくなるだろうし、益々会えなくなるなぁ。

 私の場合は避けるまでもなく会う確率自体が低いんだよね。


 「私は休暇今日までだから、今夜には家に帰るよ」

 「家って?」

 「フィー兄に聞いてなかったっけ、ルナヴァイン領のお城で働いてるよ、だから今忙しいの」


 それからは弾む様な会話も無く、閉館まで書物を読みまくってさよならした。うーん、まぁお互い移動魔法出来るから味気無いわね。

髪切ったショックが大きくて何も出来なかった?ってことではありません、たぶん。

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