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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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102. 閑話 とにかく疲れたけど頑張った兄達

引き続き読んでくださって、ありがとうございます。

皇帝の大人気無い報復の後始末編とでも言いましょうか。

双子目線のちょっとしたSSです。

side.Lindane


 学園を家長命令で三日も休まされ、週末合わせて不眠不休の勢いで働かされた。正直言って母上様による鍛錬などよりもずっと精神的、肉体的疲労が半端無くデカい。

 マリアに亜空間収納と転移魔法を仕込まれたのはこの為だったのかと思いそうになったほどだ。


 だが妹はむしろ一番の被害者だろう。それこそ生まれた頃より婚約者だった皇太子殿下から『心変わり』と言う全く正統性の無い理由で婚約破棄を言い渡され、学園にも社交界にも居られなくなってしまった。これは貴族にとってはあまりにも大きな罰なのだ。父上はマリアを守るためだと言う理由で学園も自主退学させた。そのどれをも妹は気にもしていないのが解せない。


 妹が、お互いが、想い合っていないのは分かっていた。ただの政略結婚だ。

 ただしその辺に転がっているモノとはかなり事情が違う。前皇帝による勅命だ。実際に話を進めたのは当時皇太子であった現皇帝であり、皇帝になった際に勅命書に自らの署名を書き加えると言う異例の二代皇帝肝入りの婚約。それほどルナヴァイン公爵家に流れる皇家のそれより濃い血が欲しいのか。我が家に鎖を繋いでおきたいのかは分からない。あるいは両方だろうか。


 それに非公式ではあるが前聖女の直系も我が家だけだ。通常の婚姻など許されない『聖女』と言う存在。

 だが第七皇女でもあった前聖女は当時のルナヴァイン公子に恋に落ちたらしい。

 前聖女の加護の力は大国であるこの帝国を余すところなく覆いつくし、近隣諸国のみならず 大陸の殆どをあまねく浄化の光で照らしたと言う。豊穣の力も近隣諸国の国土半分程までは覆っていたらしいと言うから、その力を帝国としても保護しようとするのは当然の事だろう。賢明にも当時ルナヴァイン公爵家嫡男でたった一人の後継でもあった公子は自ら名乗る事すら無く遠ざかり、誰にも知られる事無く色褪せ終わるハズだった。


 だがどう言った訳か、結局秘密裏に降嫁する事となった。”ロマンス”と言えば聞こえだけは良い。だが現実はそればかりでは無かった。何故か第七皇女の聖女としての力は失われる事は無く、『平民出身で公式の場に出て来ない公爵夫人』と『聖女』の二役を死ぬまで演じ続けることになった。それ以来、ルナヴァイン家に生まれながらにして聖属性魔法を持つ者が産まれ出したのも悪かった。


 それをここ三代にわたる聖属性持ち皇女の降嫁で遺伝強化されている。現に今も外には完全に隠蔽されているが双子の弟フィンネルと妹マリノリアは聖属性魔法の上級ランクだ。バレれば二人共神殿入りの可能性が非常に高い。マリアに至っては別の皇子を充てがわれかねない。



 だが、それだけだ。『前聖女』については全て秘匿されているのだから。

 妹の地位への嫉妬や羨望は凄まじく、我が家の城壁内にこそ入れはしないが差し向けられた刺客や密偵の数など把握し切れたモノでは無かった。何故なら、生半可な計略等で覆せる婚約では無かったからだ。それこそ妹が”不慮の死”で婚約者の椅子が空席にならない限りは。


 だが、妹が最初から『聖女』だと分かったらどうなっていただろう……。もう考えた所で無駄な事だったな。

 俺は最近になって闇属性を覚醒したらしい。フィーも怪しいが、これこそがルナヴァイン家の秘匿する諜報機関”耳”の秘密だ。闇属性と言ってもルナヴァイン家のは特別だ、成人の儀その他における魔力判定には出ない。補助魔法に特化している。端的に言えば諜報活動に長けている一族、と言うことになる。その力で帝国の有事には必ず成果を出してきたのだ。

 我が家が持ち続ける武力が”ついで”になるほどの諜報力の秘密を皇家の”目”がずっと探っていることも分かっている。ただ”目”も人材豊富な訳では無いのが幸いしている。”奥の手”なんてモノは稀少だからこそ”奥の手”なのだ。


 妹は帝都に居る間は『聖女』である事自体を『隠蔽』していたようだ。確定的で無いのは、妹が帝都に出て来た時期と、もう一人の『聖女様』が覚醒した時期が被るためデータでは分からないためだが、妹が生まれた年から学園に入る前まで、帝国は安定して豊作が続いていたのだ。つまり妹もただの闇属性持ちでは無く立派なルナヴァイン家の”耳”だって事だ。嫁には行かせられないよなぁ……まぁ、本人も家を出る気が無いようだから、やはりジルには諦めてもらおう。マリナにしろマリアにしろ、障害だらけだ。皇帝の許可だって降りまい。貴族の婚姻には皇帝の許可が必須だ。



 これまで無いほどにこき使われ草臥れ果てた俺らは、それでもギリギリまで働き、ほんの少しの仮眠を取って学園に登校した。


 「うわぁ! ランディの目の下なんか青いんだけど病気?」

 「んな訳無いだろう。 そんなアホなことを言って来るのはヘルくらいだ!」

 「ああ”城塞”の明け渡し期限って明日だっけ? アルト国への牽制はもう良いって事なのか? 確かにあの国は化石燃料って奴で交易だけは順調らしいが、戦力を他に回すほどの国力は無いらしいからな。交易が順調なら賠償金をさっさと支払って欲しいものだがな!」

 「エリン、一応約定通り滞り無く支払ってはいるんだから、早く支払った所で減るものでも無いものを急いで支払いはしないだろう」


 そう冷静にツッコミを入れたフィーは何故か涼しげだ。俺と同じくほぼ不眠不休で働かされてたハズだよな?なんでそんなに爽やかなんだよ、疲れが見受けられないじゃ無いか!


 「ああ、やっぱ転移魔法って相当疲れるみたいだね。 でもお陰で座標移動の距離と精度上がったんじゃない?」


 なるほど?そう言う事なのか?それだけの差にはどうしても思えないんだが!

 その日、俺は眠気と戦いながらその日の授業はしっかりと受けたし、『聖女様』を女子寮まで送る任務もこなした。

 帝都の別邸(タウンハウス)に帰った途端に眠りに落ちて翌日休学した事は許して欲しい。




▽▲▽▲▽ 


side.Fennel


 皇帝のこれは明らかに報復行為で八つ当たりだ!

 自分の思い通りに行かなかったからって何も、アルト王国との間で七年にも及んだ戦争の終結に多大な貢献をした褒賞として下げ渡した”城塞”の広大な敷地の返還を求めて来るなんて誰が考えよう。宰相並びに側近達は反対したらしいが、マリノリアが三年生になって使った皇家に連なる者だけが使用権限を持つ”奥の手”である秘匿部隊”目”を十ヶ月半の長期にわたり動かした対価と言う尤もらしい名目を付けて黙らせた。

 過大過ぎる対価だと思うが、婚約破棄となり皇家との”縁”が遠くなった事への加算料金らしい。そんなのアリか??

 ルナヴァイン家が今までどれだけ帝国に尽くして来たと思っていやがるんだ。徹底的に問い詰めてやりたい所だ!


 流石に普段冷静沈着であまり怒らないという点で穏やかな性格の父上も腹に据えかねたらしく、我が家総出で”城塞”からの引き上げ作業を行うことになった。つまり徹底的に空き家にしてやろうって事だ。

 ”城塞”の土地だけは褒賞だが、上物、つまり”城塞”そのもの、城壁とお堀から砦建物に到るまで全てはうちが建てたもので、もちろん相当の資金が投入されている。しかも戦力を常に維持する為に最新設備が導入されている。それを毎年の視察で皇帝並びに宮廷官僚共は知っている訳だ。

 先の地上型タワーダンジョンの処理を我が領だけで行った事への意趣返しも多分に含まれている。あいつらの妬みって奴は忘れた頃に振り返して来る厄介な病気だ。最終収支が大幅なマイナスだった、通称『学園ダンジョン』とは違い、大きな利益を生み出していた事を嗅ぎ付けているのだ。正確な利益が分からない所がまたそれを重病にさせている。


 まぁ、宮廷どころか他領にだって言えたモノでは無かったがなw

 あれはかなりの儲けものだった。だが、普通の冒険者達を投入させてもあんな儲けは出ないからな?

 奇跡のバカップル英雄夫妻と訳の分からない加護てんこ盛りの妹『聖女』と僕ら双子の加護の強運、幸運が上手く作用し合ってこそのあのお宝の山だ。特に妹の幸運宝箱(ラッキードロップ)は反則技だ。確率が高過ぎるし、僕のように条件付きじゃ無い。


 だがまぁ、この不満しか出ない処分であいつらの腹の虫が少しでも治れば良いな。



 そう思っていたが、僕は父上と母上を舐めていたかもしれない。

 両親に疲れは見受けられないのだが、ダンジョンで無双したかのごとく”城塞”の引き払いでもその力を遺憾無く発揮し、あるいは部下達を限界ギリギリまでこき使い、本当に”城塞”を空き家にしてしまった!……残された建物だって相当の資金が掛かったモノだと言う事は分かってる。でもここで快適生活を過ごすための家財や魔術道具は何一つ残されていない。これは、()()()()もさぞかし悔しがるだろう。うちが妬まれる材料はあまり減らなかったようだ。まぁ、マリアがうちから出そうに無いって事で、多少溜飲を下げる性格の悪い奴もいるだろう。


 マリアは皇帝の仕打ちに怒りながらも、責任を感じてなのか限界まで引き上げ作業を行なっていた。それは引き渡した後の後片付けでも続いている事だろう。体調管理は専属侍女が何とかするだろうが心配だ。



 だが、こちらもただ黙っていると思うなよ?僕ら以上に不眠不休で働かなくならざるを得ない状況に追い込んでやるから覚えてろ!!準備はほとんど出来ている。



 今日はベッドからシーツを引っ張り転がし落としても起きないランディに代わって『聖女様』の送り迎えだ。学園の清々しい朝と帰りにあの女に精神を削られるなんて最悪だ。さっさと卒業して領地に引き籠りたくなる。

領地引き籠り候補がまた増えた!?

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