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悪役令嬢?ヒロインの選択肢次第の未来に毎日が不安です……  作者: みつあみ
強制悪役令嬢!?ヒロインの選択次第の未来に毎日が不安です
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99. 悪役令嬢、冬休みは引き籠もりますわ

 続けて狩の依頼を受けて慣らす事も考えたのだけど、一旦薬草取りに出てみた。場所は昨日と同じ岩山だ、本当にこんな所に薬草が?って思ったけど、歩いて見たら、小さな灌木が多少生えている。でも依頼の薬草ではないのでさらに探しながら歩くこと一時間、洞窟があった。入り口付近に生えているのが依頼の薬草だった。怪しい洞窟。位置的に隣国フローヌ王国に繋がっていたりするかもしれない。

 先に薬草の採取をして冒険者バッグに入れる。ふと思い付いて薬草を成長させて育てて増やしてまた採取しておいた。この薬草は万能薬を作るのに必要な多くの薬草の一つなのだけど、鮮度が大事らしいのね。乾燥物だと薬効が変わってしまう繊細な薬草なの。ふと、この薬草含めて薬草畑を作ったらどうだろうか?って考えたけど、そんな事とっく考えられているよねぇ、つまりこの薬草はここであってこそ必要な薬効を備えているんだろう。っとは言え栽培実験の価値はあると思うので、冒険者バッグに仕舞った分から挿し木でもして増やしてみよう。ついでに生息地の土?岩?も採取しておいた。


 そして気になってた洞窟の中に身体の向きを変え、探知してみたのだけど、ぼんやりしていてよく分からなかった。何かが居るのは間違いないのだけど、結界でも張っているのかしら?私は冒険者バッグから視現の鏡(しげんのかがみ)を取り出して洞窟にかざす。


 「【探知(リサーチ)】 あーあ、やっぱ居るなぁ。 一番奥のは何だろう。 触らない方が良い奴っぽいなぁ。 うん止めとこ」


 私はそのままギルドに戻ろうと思ったけど、ついでに実が成っている灌木を魔法でちょいと増やして成長をかけた。多少は餌になるはずだ。人里に降りて来る魔物や動物が少なくなれば良いのだけどねぇ、この程度じゃ足りないかなと、思いながら下山し、冒険者ギルド、ラーン支部に入る。そして成果物の確認と冒険者カードへの記録、報酬の受け取りで今回の依頼は終了。わずか小銀貨十五枚の仕事だが、あの洞窟の中に居る存在はかなりのリスクだけど、何か張られていて出て来ないから良いのかな?っと、考えながら外に出た。


 今回は血生臭い依頼では無かったので、付近の屋台や商店を見て回る。道具屋があった、よし、相場でもリサーチしようと思って入ってみた。うーん、これは鍛冶職人の作品というよりは遺跡装備(アンティクメント)古代装身具(アーティファクト)等のドロップアイテムを主力に扱っている店だなぁ。冒険者ギルドから仕入れているのかもしれない。材質から付与効果までしっかりと情報が記載されていて選びやすくなっている。効果が高い魔剣級の代物もあったけど、当然お高い。リンデーン兄様の剣の方が性能が上だわ、何と言ってもミスリル製だもの。でもこれもオリハルコンだわ、でも私のより落ちる。魔剣って高いの知っていたけど、本当に法外なお値段なのね。それでも欲しがる人は後を絶たない、人気商品だ。


 あ、雫も売ってる!でもお高い!!これなら鍛錬の実益兼ねてダンジョンを周回しまくった方が良いわ。これも転生特典聖女の加護、幸運宝箱(ラッキードロップ)*ドロップ率上昇、のお陰様だ!そう言えば、結局ヒロインの転生特典って分かってなかったなぁ。どんな隠し球を持っているのかしら?大神官の対人鑑定はそこまで見ることが出来ないのかしらね?なんて考えながら店中見て回ったのだけど、結局何も買わずに外に出た。ふと良い匂いがして来た、揚げドーナツだ!丸くて串に刺さっているけどオールドファッションを思わせるシンプルさに惹かれて、今日の稼ぎから小銀貨1枚を出して買う。そのまま歩きながら食べると美味しい!今日は緩い依頼だったけど、追加依頼は見に行かずにそのまま帰った。



 よし!このまま刺客が来ても返り討ちに出来るくらい強くなろう!たぶん魔法使いとしてだけなら十分強い部類に入るが前衛タイプではなく後衛なのだ。職業は剣士にしたけど実は後衛タイプと言う何とも言えないアンバランス感が、度々刺客にやられては心配を掛けているのかもしれない。まだまだ強さが足りない。それからの私は、ソロで受けられる依頼を積極的に受けまくって、なんと!Bランクに昇級した!


 その頃、学園が冬休みに入ってしまったので、一旦冒険者活動をお休みすることにした。しばらくは本邸での日常が続くけど、強くなる為の鍛錬は出来る!


 「お嬢様、少々脂肪率が低過ぎなのではないかと思われるのですが……」


 うん、分かっているよ、美容担当侍女(エステティシャン)としては許しがたい体型だって事は。強い女性冒険者でもメロンが付いていたりするのに、どうして私はほぼ板のままなんだろうなぁ、自分でも寂しいとは思っていますよ。ここしばらくのフィールド活動で筋肉量も増して更にって感じよね。たぶんこの所為でまだ初潮が来てないんだって事も分かってる。もう半年もしないうちに成人の儀を迎える年頃の娘が実はまだ女じゃないなんて、知っているのはお母様と専属侍女ケイナぐらいだ。

 でも女らしさや令嬢らしさが何なの、そんな事では自分の命さえ守れないんだから!


 「そうね、多少スリム過ぎるのは自覚しているわ」

 「……」


 私は極上のマッサージで固くなった筋肉をほぐして貰いながら、そのまま眠りそうになった。うーん、けっこう疲れ溜まってたかな?

 ちなみに、過去の聖女の中には初潮を迎えて聖女の力を失った例もあったそうだ。聖女って言っても色々居るのよね。私は冒険者向き聖女ね!回復も補助魔法も攻撃魔法もバッチリ。殿下との婚約破棄前にバレ無いように気をつけなくちゃ!その時ふとマリナの正体を疑っているっぽいジル様を思い浮かべた。ジル様は宰相の孫だもの。バレたならほぼ確実に皇帝にも知られてしまうだろう。ダンジョンデートだなんて浮かれている場合ではない。残念だけど、お近づきにならない方が私の幸せな未来ためだ。胸がチクリと痛んだ気がしたけれど、推しは遠くから鑑賞するに限ると自分を納得させた。




▽▲▽▲▽


 その日私は、武器庫に溢れんばかりになっている装備品の整理をしていた。付与されている効果が低いものを先ず抜き出す、素材は先ず鉄が多い、中には青銅なんて重い物もあった。これはもう素材にしちゃおうよ、っと思った私は、先ず付与されている効果を解く。これは結構難しいのでMPはもちろんSP(せいしんりょく)も削られる。

 付与術師によって術式が違うのはもちろん、相手がドロップアイテムなのだ。中には複雑怪奇なモノもあった。こんな低い効果付けるためにこんな複雑な術式組むなーっ!と文句言いたくなったくらいには。

 そして素材別に纏めて延棒状にして出来上がり。……重い。次はチップ状にしたほうがいいかしら?でも物にもよるわね。素材のまま売っても良いし、別のものに加工したって良い。そのまま置いておくよりもかなりコンパクトになったそれを、武器庫から素材を収める倉庫に魔法を使って移す。ええ、こんな重たい物持ち運んでいたら腰ぶっ壊れるわ。


 「この作業かなり疲れるな」


 思わず呟いてからハッとする。ヤバいわ、誰もいない所で思わず独り言を呟くだなんて。頻度が多くなったらやらかしまくるに違いない!今のうちに修正しなければ。それからは黙々と作業してキリの良い所で止めた。


 シャワーで汗を流し、強めの水量にしてマッサージもする。昼前からゆっくりと浴槽(バスタブ)にも浸かり、すっかりリラックスした所で、ドレスに着替えて昼食を摂りにダイニングへ向かったちょうどその時、城壁の門扉にご当主様一行が到着したと聞こえたので、私も久しぶりに会う家族を出迎えるために城の出入り口に向かった。


 「お帰りなさいませ」

 「お帰りなさい。 お父様、お母様、リンデーン兄様、フィンネル兄様」


 外では護衛騎士達が、そして城の中では執事長を始めとした使用人達が出迎えた。それに続き私も。


 「ただいま。 元気そうで何よりだ」


 お父様が私の頭を撫でる、まだまだお子様扱いらしい。もしかしたら一生かな?お母様が抱きついて来た。


 「ただいま、元気そうでよかったわ! 寂しくはなかった?」

 「お母様、わたくし、もうそんなに子供ではありませんわ」


 そんな事は無い、寂しかった。だからこそ忙しく色々な事をしていたのだ。お兄様方はじっと見てる。




 その後、私はダイニングへ向かった。ゆっくり食べていたらそのうち旅装束を解いて着替えた家族達が入って来た。


 「マリアさぁ、何だか逞しくなったんじゃない? 体型がさ、見るからに固そうなんだけど」


 そんなデリカシーのカケラも無い事を言って来たのはリンデーン兄様だ。分かってますってば、元々肉が無いのに筋肉だけ付いているから見た目ほっそりしているのは変わらないけど、とにかく体脂肪率が低い。


 「まぁ!まだ足りませんわ。 もっと鍛えないと長生き出来そうも有りませんもの」


 私は軽く流したつもりだったけど、お兄様方の表情は複雑そうだ。美容担当侍女(エステティシャン)達の努力で、モコモコの筋肉は付いてないんだけどね、でも貧相には見えるの。貴族令嬢としてはこれが一番問題かもしれない。女性らしさってモノがないのよねぇ……今の私には必要無いと思ってはいても、気になってない訳じゃないの。


 「嫁の貰い手無くなるんじゃないの?」

 「そんな些事はどうでも良い事ですわ」


 もうっ!皇太子殿下に婚約破棄された後に誰が引き取ってくれると思うのよ。皇帝に目を付けられるかもしれないし、どこの派閥にも所属していない我が家の厄介でしか無くなった令嬢なんて好き好んで引き受ける家など無いわよ。でもまぁ、冒険者マリナとしてなら、ちょっと出会いを期待……出来ないな、状況によっては顔隠した怪しい女のままだもの。うん、やはり私は楽しく長生きすることだけ考えようっと!




▽▲▽▲▽


side.Fennel


 「いやぁ、あそこまで自分の評価低いってのも考えものだな。 まだ何もかも諦めるには早い年頃だと思うんだが」

 「はぁ……ジルには諦めて貰うしか無いな。 まぁ奴は元々結婚願望低いし、女に興味薄いから何とかなるだろ」


 ランディは呆れながら肩を落としてる。こいつは何だかんだ言ってジルの応援してたのか?そうじゃないか、結局マリアが幸せになってくれなければ意味が無いからな。


 「ジルなら引く手数多だから心配する事は無いと思うよ。放って置いても問題無い。マリアは本人の心持ちの問題だから心配だけどね。目下一番の問題は刺客だ」


 僕はジルが存外に諦め悪いの知っている。一旦は諦めたみたいだった。だが殿下の態度で再燃して拗らせてるから、今度はそう簡単に諦められないだろ、本人に振られれば別だろうが。


 その時ランディがニヤリと口元と目を細めて言った。


 「ああ……各地の教会洗ったら一つは出て来たよ、マイリン侯爵家だ。 彼処は年頃の令嬢が二人も居るからな。しかも夢は大きく未来の皇后狙いだ。 聖女を一旦は婚約者候補にした後で、教会が聖女の加護を失うのは痛手だと訴える手はず。まぁ手段としては平凡だな。 だが猛毒針の犯人に繋がっていた。実行者は消されていたが証拠もいくつかは押さえた」


 ランディがここまで頑張るとは思っていなかったな。情報戦は苦手なはずなのに、僕ももっと精進しないといけないなぁ。


 「マイリンの奴は領地が欲しいって所か。 イマイチ手柄を立て損ねてまだ皇宮官僚貴族のまま。地位だけは高いから、次は何が何でも領地、しかもなるべく良い土地が欲しいんだな。 バカな奴だ、その前に潰してやる」

 「本気のフィーに期待してるよ」


 おい、やるなら一緒だろうが!

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