表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

俺はこのペンで全てを書きとめる

作者:

今日は短編を書きました。

1番初めの作品よりはクオリティーが上がっていることを信じます。

僕は、クルフ。クラン『風龍の翼』の書記を務めている。


「おいクルフ。これ明日のダンジョンボス攻略会議に使う書類、人数分書き写しとけよ。」


今も、この机には、沢山の書類が増える一方だ。

その量は、部屋の両端から今も書類の山が形成され、

今のペースで進めていれば、普通ならあと2日と少しで、この部屋が書類で埋め尽くされるだろう。



だが僕ならこの書類を1日で処理できる。

何故なら僕は、12歳の時にこのギルドに拾われ、今日までずっとこの仕事を続けているからだ。



けど、この仕事は休日でも遠慮なくやらされる。

そんな状況で僕は何度もこのギルドを脱退しようとした。


けれども、僕を拾ってくれた恩を感じてクランマスターに脱退届けを出そうとしなかったのも事実だ。




クラン内の人間は自分の仕事を終わらしてからしか、

クランマスターには会えない。

そんな規約のせいで僕はそもそもクランマスターに会えやしないのだ。



そしていつもの仕事を淡々としていた。

扉が静かに開く。そしていつものように僕は声も聞かず、


「書類ですよね。そこの右端の山に置いといてください。

明日までに仕上げます。急ぎなら僕の机に置いといてください。」


とだけ告げる。こうすることがここでの当たり前なのだ。

僕はそう言いながら、手を動かし、ペンを走らせる。


「クルフ」


「はい!なんでしょうか!」

僕はペンを置き、話しかけて来た人物の顔を見る。そこには炎のように赤い髪と獲物を見つめるような鋭い目をもつ、クランマスターザラトラストがいた。


「クルフ、今日までありがとう。今日新しい書記が見たかったんだ。」


そう言って彼は、後ろにいた。風そのものを表したような美しい薄い緑の髪を持つ、女性を僕の前に出した。


「彼女はサーシャと言ってね、この彼女が君の後を継ぐんだ。

つまり君はもう、このクランに必要ないんだ。今までありがとう。」


僕はその間一言も喋らず、気づけばクランを放り出された。


クランを放り出された僕は、今ギルドへ向かっている。

ギルドでは、冒険者の登録だけでなく、新しい仕事の紹介もしているのだ。


ギルドに入ると、周りが一斉にこちらを向く。


「あれって『風龍の翼』のクルフだよな」


「聞いたんだが、クルフは追い出されて、代わりにサーシャってやつが『風龍の翼』に入ったらしいぜ」


噂が広がるのは早いというが、ここまでのスピードで、

流石だな。


「おい!!クルフ!お前追い出さたらしいな。物を書くことしかできない無能じゃ仕方ないよなww」


俺にそう話かける男は、煽っているつもりなのだろうが、

周りの冒険者は男の言動で、ざわざわしだす。


そして周りの冒険者はみなある方向を見ている。

俺もその方向を見ると、ギルド職員全員が、俺に話しかけて来た男に向かって殺意を放っている。


紙に依頼や、達成報告書をよく書くギルド職員を敵に回す発言をした男は、

その殺意に耐えられず、ギルドを飛び出して行った。


俺はそのままギルドの仕事紹介の窓口に並ぶ。

この場所は、人がいないことの方が多いので比較的早く俺の番が来た。


「こんにちは。ここは仕事紹介窓口です。以前どんなことをしていらっしゃいましたか?」



「こんにちは。クルフと言います。ほんの数時間前まで、『風龍の翼』の書類全てを担当していました。」


これは本当だ。俺はクラン内全ての書類に目を通し、

その担当は俺たった1人だったのだ。


「えっ……たった1人でクラン内の書類を?……全て?」


受付の人もだいぶ混乱しているようだが、俺は、


「はい。全てです。」


と答える。すると受付の女性は一旦席を離れ、奥にいる複数の

ギルド嬢と話している。


数分後、受付の女性は、


「クルフさん!!ギルドで、働きませんか!住み込みで、1日3食

です。お給料も弾ませていただくので」


ギルド嬢は、必死に俺を勧誘しているが、俺の答えは決まっている。


「もちろんですとも。元々転職するならここだと思っていましたし」



この時、この瞬間から、元『風龍の翼』のメンバーである。

クルフのギルドに永遠と語り継がれる物語が始まった。



そして1000人以上で構成され、その全ての戦闘員がAランクの冒険者である、

王国史上最高のクランと呼ばれていた『風龍の翼』の全ての書類を任されていたクルフを追い出したことにより、

『風龍の翼』の壊滅もまた、この時から始まった。



Twitter

Instagram

始めました。

松瀬共矢ででて来るのでフォローお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ