なろう小説によくある誤字・脱字
初めての小説投稿の練習に、よく見る誤字・脱字をまとめてみます。随時追加・更新予定。
■誤字一覧
まずは、あとから参照しやすいように一覧表から。
「合う」と「会う」
気が合うオンラインゲーム仲間と初めて会う。運命の相手に出会う。たまたま予定が合う。身分が釣り合う。婚約破棄について話し合う。
「逢う」「遭う」は文学的な表現であえて使う感じ。
「謝る」と「誤る」
モラハラの幼馴染、俺の今までの対応は誤っていた。
あいつが一回でも謝ることがあれば許してやってもいい。
「以外」と「意外」
意外と○○だ、意外に○○だ。以外、を使ってしまっているのをよく見る。
「以上」と「異常」
私の質問は以上よ。平均点以上を取ったことがない。
ステータス異常、異常スキル。
使い分けは明確に思えるけどよく見る誤字。ほとんどは変換違いかも。
「犯す」「冒す」「侵す」
犯罪を犯す。危険を冒す。領地を侵す。
病に冒される、と病に侵される、はどちらもありな模様。
「送る」と「贈る」
プレゼントは贈る。場合によっては送る、でもいいこともあるようで意外に難しい。
「行う」「行った」
行なう、行なった、は教科書的には間違い。送りがなは、文学的表現としては多少違ってもいいのかなと思うところ。ただ、一つの小説で表記が揺れている場合はやっぱり誤字かなと。
「抑える」と「押さえる」
妹への恋心を抑える。あふれそうな涙を抑える。今月は出費を抑えないと。ダンジョンのスタンピードをたった一人で抑える。
傷口を押さえる。証拠を押さえる。人気のレストラン、予約を押さえる。
押さえる、なのか、押える、なのかは微妙なところ。前者が一般的で後者も許される感じ?
「開放」と「解放」
ドアを開放。人質を解放。教科書的な使い分けの区別は見ておくとよい。
でもファンタジーでは使い分けが微妙な場合もあるかも。抑えていた魔力を開放。閉じ込めていた魔力を解放・・・?同じ小説の中で概念を統一していればいいかも。
「却って」「返って」
クラスの陽キャにカラオケ全員参加を命令されたら、却って行く気がしなくなった。
逆に、むしろ、的な意味のときは「返って」ではない。ひらがなでかくのがいいかも。
「回答」と「解答」
王宮からの問い合わせに回答する。告白への回答。
推理小説、本編と解答編。
これはどちら側の誤字もよく見るかも。
「返る」と「帰る」
家に帰る、故郷に帰る。返る、返す、を使ってしまっているのをよく見る。
バカ王子とその取り巻き、男爵令嬢の魅了が解けて我に返る。
「変わる」「代わる」「替わる」「換わる」
学校の漢字テストでもよく出る、使い分けが難しい漢字の一つ。
変わる、が一般的な変化のかわる、で、他の使い分けは実は辞書によって違っているような。自信がなければひらがなにしましょう。
「関心」と「感心」
えらいな、と感心する。関心、を使ってしまっているのをよく見る。
「驚異」と「脅威」
あまりの魔法の威力に脅威を感じる。驚異の威力。
おどろく感じとおそれる感じ、意識していないと間違えやすいかも。
驚異の胸囲。
「強制」と「矯正」
暴力幼馴染の性格を矯正する。
ゲームの強制力には逆らえない。矯正力、ではないと思う。シナリオにしたがって世界が特定の方向に動いてしまう、という感じではあるけども。
「検討」と「見当」
見当をつける、見当がつかない。検討、を使ってしまっているのをよく見る。
「超える」「越える」
限界を超えてチート無双に。悪役令嬢が国境を越えて逃げる。
明らかに誤字といえるものもある一方、使い分けが曖昧なときも多い。成人の年齢を超える。60歳の坂を越える・・・?
「答える」「応える」
テストの問題に答える。みんなの期待に応える。召喚の呼び出しに応える。
冬の寒さが堪える、もあるけど誤字を見たことはない。
「再会」「再開」
転校してしまった親友と再会したら超美少女になっていた。
連載を再開することにしました、今度は絶対エタりません。
再会、を、再開、にしてしまっているパターンが多い感じ。
「自信」と「自身」
実力に自信がある。自身をふりかえる。これはわかりにくいというより、変換間違いで誤字になっていることが多いような。
「進入」「侵入」「浸入」
進入禁止、の進入は一般にどこかに入るという意味。なろう小説では意外に出てこないかも。
夜の学校に侵入する、モンスターのテリトリーに侵入する。入ってはだめなところに不法侵入。
浸入、は液体が関わるときだけ。船に海水が浸入する。浸入を間違って使った誤字を多く見かける。
「ず」と「づ」
複合語のときは、元の言葉に戻してみるとわかる。道+つれ(連れ) = 道づれ。靴+ずれ=靴ずれ。
気がつく=気づく。
はずかしい、まずい、気まずい、うなずく、えずく、は「ず」。文学的表現であえて「づ」にするとかっこいい?うなづく。はづかしい。
「前進」と「全身」
一歩前進。彼女の気持ちを全身で受け止める。単なる変換違いかな。
「対象」「対称」「対照」
これも学校の漢字テストでよくあるやつ。漢字変換では頻度的にどれも上位に出るので書くたびに注意。
突然モテるようになって嫉妬の対象になる。
主人公とモブキャラの対照的な立場。
左右対称な形。
「体勢」「体制」「大勢」
体の姿勢が体勢。魔人の体勢が崩れた隙に逃げる。
ざまぁ展開で国の体制が完全に崩壊。
大勢が決する、大勢に影響はない、などは決まった表現。同じ漢字で大勢とも読む。
「たとえ」「例え」
この世にはいくつもの才能に恵まれた人間がいる。例えば、俺の友人の○○だ。
たとえ天と地がひっくり返ったとしても、俺があいつに勝てることはない。
後者の「たとえ」を「例え」と書くのは誤りらしい。昔は「たとい」ともいい、漢字では「仮令」などと書くらしい。ひらがなにしておくのが無難かな。
「直る」「治る」
記憶が戻った転生令嬢は性格が直って聖女に。エリクサーでどんな怪我も治る。
「付く」「着く」「就く」
家に着く。職に就く。つく、という漢字は他にもたくさんあるけど、付く、を使ってしまうことが多い感じ。
無理に進学校に入ったら授業に付いていけない。同級生ギャルの買い物に付いていくことになった。
「積み」と「詰み」
チートガン積み。積み重ねた経験値。二度目の人生、どう考えても詰んでいる。
詰みゲーと積みゲーは違うもの。
「適正」と「適性」
魔法の適性が最高で無双、は適性。適正、を使ってしまっているのをよく見る。
「捕らえる」と「捉える」
魔物を捕らえる。盗賊団を捕らえる。「捕らえる」の方が「捕える」よりいいらしい。
本質を捉える。告白のチャンスを捉える。
「なんか」「なんて」「なんと」
もう恋なんてしない。暴力幼馴染の顔なんて見たくもない。雨なんか降るわけない。食堂なんかにいられるか、俺は自分の部屋に帰る。こういう、疑ったり下に見る感じの表現を「何か」「何て」とは書かない方がよさそう。
何て強力な魔法なんだ!何というイケメン。のように驚く感じの表現は漢字を使ってもよい。
「始め」と「初め」
初めて○○する、何かを始める。
はじめから、は、初めから。
「測る」「計る」「図る」「量る」「謀る」
これも使い分けが難しい漢字。怪しいものはひらがなで。
「話」と「話し」
教科書的な使い分けでは、用法によって「話をする」「話したい」のように区別する。文学的な表現であえて自己流にしている人もいるかも。
「速い」と「早い」
すごく速い攻撃。起きるのが早い。女の子に手を出すのが早い。
「必死」と「必至」
必死で説明する。最悪の結果になることは必至。
「避難」と「非難」
安全な場所に避難する。クラスメート全員に非難される。
「保証」「保障」「補償」
青春ブ○野郎でも出てきた使い分け。
初めて作ったお弁当だから味の保証はないんだけど。
損害を補償する。
なろう小説で社会保障が出てくることは少ないかも。
「間違い」と「間違え」
名詞のときは「間違いに気づく」、動詞のときは「道を間違えた」。
「彼女が横暴な幼馴染なことは間違いない」を「幼馴染なことは間違えない」と書くのは誤用。
「転生した自分、次こそは間違えない」は合ってる。
「味方」と「見方」
何があってもわたしはお兄ちゃんの味方だよ。
たった1日で、クラスメートの俺への見方はすっかり変わってしまった。
使い方の勘違いより変換間違いの誤字が多いかな。
「みたい」「見たい」
憧れの先輩に告白されてまるで夢みたいだ。夢見たいだ、とは書かないと思う。
公爵令嬢の私、初めて町の様子を見てみたい。見て見たい、ではないかな。
迷ったらひらがなにしておくのが無難かも。
「最も」と「尤も」
あいつの言うことはもっともだ、のもっとも。漢字では「尤も」だけど、ちょっと見慣れない字を使いたくなければひらがなで書いた方がいいかも。
「止める」と「辞める」
そう言おうとして止めた。
仲間から追放されたのでそのままギルドを辞める。
「軟」「和」「柔」
柔軟、という単語があるくらい、「柔」と「軟」は似ている。
食べ物が軟らかい、は、硬くないということ。
態度が柔らかい、肌が柔らかい、のは、しなやかで復元力があるやわらかさ。えっちな表現はだいたいこれかな。
空気がやわらぐ、は、和らぐ、が正しいよう。柔らぐ、は一応誤用らしい。
和やか、は別の読み。
「用件」と「要件」
こんな田舎の店にどのようなご用件でしょうか?罰ゲームで告白なんてくだらない用件に付き合う気はない。
上位職に転職するための要件は三つ。ギルド加入の要件を満たしていない。
■どうして誤字一覧?
読み専としてたくさんの作者さんの前書き・後書きやコメントを見ていると、誤字報告機能にまつわるあれこれをよく見かけます。報告してくれるのは嬉しいけど、誤字報告に混じって余計な指摘や改稿を多くされると迷惑、みたいな話をよく見るので、自分で送るときはなるべく明らかな間違いを送りたいな、と思うのですが、そうしていると、だんだん特定の同じ報告ばかりをしていることに気づいてきました。そんなわけで、よくあるな、と思ったパターンをここに書いていきたいと思いました。
■選んだ基準
ここに載せる基準は、原則として一度は実際に見たことがあるもの、誤字報告したことがあるものとしています。実際に書いていて、空想でリストを作ったら同音異義語辞典の書き写しのようになってしまうな、とも感じました。実例を基準にすることでリアルなものになればいいなと。
もし熱心に誤字報告をする人でなければ、ここに載せた一覧を見て、「こんな簡単なの間違えるわけない」ともしかしたら思うかもしれません。でも、小説検索で調べてみれば、タイトルや概要の範囲でもヒットする誤字があることを確かめられるでしょう。
それから、単なる文体の好みに属するものは避ける方向で考えました。例えば、「十五歳」「十五才」は単なる表記の好み。「御」と「ご」、「頂く」と「いただく」など漢字・ひらがな表記の選択も作者の文体で誤字とはいえないでしょう。また、教科書的には誤字と扱えるものでも、文学的表現として認められるようなものは、避けるかその旨コメントしていきたいと思います。例えば「関わる」と「関る」は、現在の公式見解では後者は誤りとされるようですが、小説ではよく見るので一覧にはいれません。
■誤字はどうして起こる?
原因を断定することは当然できないわけですが、なろう小説がコンピューターで入力するものである以上、タイプミスや漢字変換違いの割合はすごく多いのだろうなと思います。ここにはリストしていませんが、「彼ががそう言った」のように単純な打ち間違いでひらがなが連続しているようなもの、あるいは「使うい魔」のように、出にくい漢字を分けて変換しようとしていらない文字を消し忘れているようなものもありがちです。
一方、実際に使い分けを明確に知識として意識していないことで間違えていることもあるのかなと思います。この一覧をみて、気をつけるべき漢字が記憶に残っていれば、特定の単語で変換を気をつけたりできるかもしれません。
あとは、インターネットにおける、あえての誤字がかっこいい文化のようなものも影響があるかもしれません。「裏山」など。たとえば掲示板の書き込みなどで「以外」「意外」の使い間違いを山ほど見ますが、あえての誤字をたくさん目にすることで、それに違和感がなくなってしまうと小説でも同じように間違えてしまうかもしれません。