表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

2

2


私はただ、そこを目指していた。

そこには一人の男が待っていたが、お互い要領を得なかった。

「記憶を返してくれ」

彼は言った。

「2年前の10月の記憶だ!」

私はかぶりをふった。

「さっきまで白いところにいた。私の記憶は、もう一人の私が持っていた」

「目覚めたばかりなのか?」

「そうだ」

「もう一人のお前はどこへ行った?」

「知らない」

相手は親指の爪を噛んで何か考え込んでいたが、小型銃を取り出して迷いなく私を撃った。

私は激痛とともに倒れ、意識が途切れた。


   ☆


「私は死んだ」

「えっ?!」

「身体が見つかるまで居候させてもらうしかない。よろしく、ニア」

「そんなぁ」

ニアはさめざめと泣いた。

私はニアだから、私は泣いた。

ニアは一人の青年の面影を思い浮かべてさらに泣いた。

私は私の知らないことで泣いた。

「彼は誰だい?ニア」

「スコットよ」

涙を拭いながらニアは編み物をしていた。

「泣くと涙で編み物が台無しになるよ」

「そうね。…ちゃんとしなきゃ」

機械編みの黄色いセーターだった。

作り方がニアの頭に入っているらしく、手際よく編んでゆく。

ニアの職業はニッターだった。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ