エピローグ
エピローグ
「やあ、ニア久しぶり」
「スコット」
地球のカフェテリアにいた。
「大事な用ってなんだい?」
「ふふっ」
「なんか感じが変わったね」
「そんなことより、以前あなたが言っていたことだけど、『男は一生に一度はすごいことをやるべきだ』っていう持論、今も思ってる?」
「ああ」
ならば、と私は思った。
「ならば、次の金星の大統領選に出馬しない?」
「へえ?」
「勝算はあるわよ。その代わり政治のブレーンたちとも会ってもらわなくちゃいけないけれど」
「それ本気?」
「本気」
ストローをくわえて一気にアイスティーを飲む。こちらからは見てないけれど、スコットが値踏みするように私を見ているのがわかる。
私はニア。ニアのはず。でもGGでもあり、ギルバート・ゴッセンでもある。
私は先のことを予測して立ち回ることができる。
恐らく、スコットは考えさせてくれと言って席を立つだろう。だけど、この話しにまんざらでもなくてすぐにコンタクトをとってくる。その後、スコットは大統領選に出馬し、大統領になる。そのファーストレディには私が。
「ちょっと考えさせてくれるかな?」
「ええ、いい返事を待ってるわ」
そよ風が頬をなでる。
私は私だ。