プロローグ
プロローグ
『非A』とは?!
SF作家アルフレッド・エルトン・ヴァン・ヴォクトが提唱した思想のことで、アリストテレス主義を否定するものです。
自・他の二元論を否定して、数多くのクローンである自分の存在と、思考訓練によるテレポーテーションなどを『非Aの世界』『非Aの傀儡』の中で書かれました。
堅苦しくて小難しいイメージもありますが、私は読んでいてとてもためになりました。大学生のときに哲学のレポートに引用して優をいただきました。
「おい、起きて逃げるんだ!」
声に起こされて、私は部屋を飛び出した。
廊下にでると、今まで自分のいた部屋が爆風で吹き飛んだ。
エレベーターに乗り、地上30階から下を目指す。
不意に足が宙に浮き、エレベーターの綱が何者かに切断されて、エレベーターごと自分が落下していると悟る。グシャグシャに潰れてしまう前に、意識を集中して、テレポーテーションを試みる。
黒い影。追いかけて来ている。
街角で待ち構えて捉えると、相手は自分もろとも自爆して、私はそれに巻き込まれた。
意識が飛び、1000キロ離れた場所のもう一人の自分の中で目覚める。
このクローンは意識がまっさらで、今まで逃げ惑っていた自分の意識の方がまさった。
また何かの陰謀にまきこまれたのだろうか?
クローンの保管所から出て、衣服を身につけると、パソコンのインターネットで思いつくワードを片っ端から入力して検索する。
『不老不死』がヒット。
恐らく、敵は、半永久的に生き続ける私の存在に対して懐疑的な組織だと思われた。