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【第8話】ファーストコンタクト


 バディを決めるための合同授業は、大凡の予想に反して

ここまで目立ったトラブルもなく最終節を迎えた。

学校側が警戒していた『サラ王女関連のトラブル』も、  

サラ自身が決断のタイミングを周囲に明確に示したことで、()()()()()問題とならなかった。

 

 最後の合同授業は、1-Aと1-Eとなっていた。

とはいえ、ここまでの他クラスとの授業で、大半の生徒達がバディ相手を見つけていたことに加え、今回は1stと2ndの組み合わせである。

1-Aの生徒は1-Eなど眼中にないという態度が、そこかしこに見て取れる。

そして1-Eの生徒も、1-A側の様子を察してかあまりやる気は感じられない。


しかし、1-Aの生徒の一部だけは異常なほど熱意に満ちていた。

彼らは、サラにバディを申し込んだものの、回答を保留とされた生徒たちだった。

今回が自己アピールの最後のチャンスとなることから、他のライバルに差をつけて、王女のバディの座を勝ち取ろうと、妄執にも似た感情を滾らせているのだった。


実際には、サラにバディを申し込んだ生徒は他にも多く存在した。

       

しかし、彼らは人知れず()()()()レースをリタイアさせられていた。


そこには、学校側が把握することができなかった


――実際には、把握していても干渉できなかったというのが正しいが


合同授業の実施期間に起きた、()()()()()()()()()()が関与している。


今もなお、サラのバディの座を狙っている生徒は、全員が貴族の家系の生徒だった。

つまるところ、政治的な力の介入によって多くの生徒が間引かれ、同等の力を持つ貴族の生徒間で、最終レースが行われようとしていたのである。


――無論、サラ自身はそんなことが起きているなど知る由もない

 

■---------------------------------------------------■


 1-A内部で様々な思いが交錯する中、当事者であるサラは全く別のことを考えていた。

 

(結局、彼らしき人は見つけられなかった。今回の1-Eの人たちはまだ分からないけれど、これで見つからないようなら同じ学年ではなかったということね)


入学式の帰り道で、サラを危機から救った謎の男子生徒の正体は、未だ不明のまま最後の合同授業になった。


消化不良のようなモヤモヤする気持ちをなんとか抑え込み、

サラは今回の授業の内容を再度確認する。


「各クラスから2名ずつの4名で1チームを形成し、ナダラの森最奥の祭壇に鈴を奉納する――」


今回の授業は最後ということもあり、学外で行うようだ。

場所はフォーレスの領内北西に位置する、『ナダラの森』。

低ランクの魔物が生息しているが、いずれもそこまで危険な種類ではないため、

野外演習にはうってつけの場所である。

また、医療薬の素材となる植物なども多く自生していることから、行商人の通り道にもなっている。


「ナダラの森は今まで行ったことがない場所ね。どんな場所なのかしら?」


「あれ、サラはナダラの森行ったことないの?」


サラのこぼした言葉を拾ったシェレンが、驚いた様子で聞いた。


「えぇ、今まではあまり王都から出る機会が無かったものだから」


「あー、それはそうだよねぇ」


サラの身分を考えれば理解するのは難しいことではない。シェレンもすぐに納得した様子を見せる。


「シェレンは行ったことがあるの?」


「数回程度だけどね。サラの実力なら心配いらないよ。魔物もFランクか、強くてもEランクまでしかいないから」


「そうなのね。少し身構えてしまったわ」


「それよりも、問題は誰とチームになるかだよねぇ。組み合わせは完全ランダムらしいし」


「そうね。1-Eはどんな人がいるのかしら」


「あ!チーム編成が発表されるみたいだよ。行こう、サラ」


生徒達が出発前に集合していた校門近くの掲示板に、教師がチーム編成の一覧を張り出す。

他の生徒が集まってチームを確認する中、サラとシェレンも所属チームの確認へと向かった。


■---------------------------------------------------■


 所属チームのリストを確認したレイは複雑な表情を浮かべていた。


「……はぁ、これは骨の折れる野外演習になりそうだな」


レイの所属チームはGチーム。チーム構成メンバーは以下のように明記されていた。


------------------------


【Gチーム】

[1-A]

サラ・ソルフォード

シェレン・アーメリア


[1-E]

レイ・ゼーノクス

ラルフ・グライド


------------------------


レイがGチームの集合場所に向かうと、そこには既に3名のチームメイトが集まっていた。


「あっ……」


こちらに向かってきたレイを見たサラが不意に声を漏らした。


「?」


サラの様子の変化に気付いたシェレンとグランが、何事かと振り返る。


「……見つけた」


サラの呟きの意味を、二人は理解できずにいた。

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