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桜町幻想奇譚  作者: 里芽
雪が沁みる
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雪が沁みる(3)


「あの糞狐め……いつか脚踏み外して山道転がって、石に頭ぶつけて死ねばいい!」

 物騒な言葉を忌々しげに吐く桜を見て、八田兵衛は苦笑いする。

 雪鬼達は春が訪れるまでの間、雪が降った日に村を訪れる。といっても必ずやって来るわけではなく、あくまで雪が降った日『来ることもある』といった程度だ。村人達に配慮してか、二夜連続で来ることはない。

 今年初めて降った雪の日に訪れて以来、彼等は幾度かこの村に足を運んでいた。その度村人達は雪鬼達を歓迎し、一緒に遊んだり飲んだり食べたり、大騒ぎ。彼等との付き合いに飽きることなどない。飽きを感じさせない魅力を彼等は持っているようだった。

 またしても出雲を逃がした桜は天より降る雪を見て「ええい忌々しい! あの糞狐の血で染めてやりたい!」と相変わらず物騒なことを言い、学習能力ゼロの弥作を投げ飛ばし、負の感情で胸の内をいっぱいにしながら雪鬼達を迎えた。そして酒を飲みながら八田兵衛に愚痴をこぼす。八田兵衛はそれを迷惑がることもなく聞いてやり、相槌を打つ。こういう時は下手なことは言わない方が良い。そんなことは言うなとか彼女をたしなめるような言葉を吐くことも、そうだその通りだと余計彼女を熱くさせるようなことを言うこともなく、ただ静かに耳を傾け、穏やかで柔らかな空気を作って彼女を包んでやるのだ。そうする内、段々と桜は落ち着いてくる。無理矢理抑えつけず、彼女の体から負の感情が生む熱をゆっくり冷ませてやれば良いのだ。

 ようやく落ち着いてきたらしい桜は八田兵衛から視線を逸らし、酒を飲む。延々と出雲や弥作に呪いの言葉を吐いていたことを恥ずかしいと思ったのか、その頬は薄紅色に染まっていた。


「すまぬ、来て早々このようなことばかり話してしまって。……貴方は黙って聞いてくれるから、つい話しすぎてしまう」


「なに、構わんさ」

 そう言って笑う八田兵衛は、お前を愉快な気持ちにさせてやろうといって昨日べろんべろんに酔っ払った治平による珍プレーの数々を面白おかしく語ってくれた。桜はいよや喜六と一緒になって抱腹絶倒、痴態を暴露された治平は真っ赤になり、慌てて「ああもうやめてください!」と八田兵衛を止めようとするが、上手くいくはずもなく。今もすでに酔っている為呂律が明らかに回っておらず、しかも珍妙な発言ばかりするものだから、ますます皆大笑い。

 外からは子供達の笑い声が聞こえる。信太はおせつや雪うさぎ達と一緒に追いかけっこをしている。転んで雪に体が埋もれてしまっても平気のへっちゃら、きゃっきゃと笑いながら起きあがってから不意打ちを食らわせ、おせつに尻餅をつかせる。おせつはやったなこのこのと信太を抱き上げてぶんぶん回す。信太はいやいや、怖い怖いやめてやめてと言いながら笑っていた。信太はすっかりおせつに懐いており、まるで自分の姉のように慕っていた。あんまり信太がおせつにべったりなので、姉のよねは少し妬いている。少し離れた場所にしゃがみこみ、大作を造ろうと張り切っている少女達。しかしその夢はやんちゃ坊主の足によって脆くも崩れ去り、怒った彼女達は雪玉を作って少年の顔面へと叩きこんだ。少年もやったな畜生、と言って投げ返し雪合戦の始まり始まり。またある場所では、あっという間に酔っ払ってしまい夢見心地のまま外へと出た作治に雪玉を投げつける子供達の姿があった。酔った作治はあっちへふらふらこっちへふらふら、その動きは珍妙にして予測不能。ぶつけるつもりで投げても、どういうわけか紙一重のところで避ける。だから子供達は絶対ぶつけてやるぞおとやっきになっている。犬のハチは雪の中を駆け回り、雪鬼と追いかけっこ。雪鬼がバランスを崩しずっこけたところでぴょんと大きくジャンプして彼にのしかかり、その顔を舌でぺろぺろと舐める。最初は異形の存在である雪鬼を恐れ、威嚇ばかりしていたが、今はこんなに仲が良い。


「楽しそうに遊んでおるな。良いことだ」


「全くだ。皆の笑い声を聞いているだけで、どれだけ寒い日も温かく過ごすことが出来る。雪は私に何も良いものはもたらさないが、雪の中で遊ぶ者達の声やその姿は私に沢山のものをくれる」

 そして、そういうものを見て心癒される度「私は彼等の笑顔を守り続けなければならない」と改めて己の使命の重要さを認識するのだ。その為に桜は刃となり、盾となり、日々戦い続ける。それは八田兵衛も同じこと。彼もまた雪鬼達の為時に戦い、時に奔走する。八田兵衛は次の長に決まったその日から、桜は神と出会った日から、その使命を背負ったのだ。

 そんな彼等にとって、皆が楽しそうに笑う姿を見ることは至上の喜びであった。


(一歩離れた場所にいることは、何も悲劇的なことではない。むしろ、皆から少し離れた場所にいるからこそ全てを見渡すことが出来るし、より多くの者を救えるのだ)

 子供達が楽しそうに遊んでいる。じき、その輪に大人達も加わっていくことだろう。彼等は白い雪を踏みしめ、触れ、雪と戯れる。すぐ近くにいた雪鬼と少年が雪を口に入れている。どうやらどちらが沢山雪を食べられるか競争していたらしいが、しっかり者のお姉さんに見つかり「何を馬鹿なことをやっているんだ」と頭をぺしんとはたかれ、勝負はあっという間に終わってしまった。

 自分は一歩離れたところにいればいい、人間とは違う者という風な扱いを受けても構わない。その思いに嘘はない。だが、外で遊ぶ子供達の輪の中に自分は決して入れないのだと思うと胸が痛む。強大な力を持っている限り、それは叶わない。線の向こう側に永遠に立ち続ける――それが力を得た代償である。巫女という立場や力を捨てても、輪の中に入ることは出来ない。それらを捨てるということは白い闇の中もがき苦しんだ日々に戻るということなのだ。どちらにせよ、桜は輪の中には入れない。人間には、なれない。少なくとも彼女はそう思っている。


(私は力無き人々を守っているからこそ価値があるのだ。力を失えば、人々と笑う日々ではなく人々に笑われる日々に戻るだけだ……)

 そんなことを思っていると、体中が痛む。雪が、目の前に広がる雪が沁みるから。例え人間になれたって、あの雪の中遊ぶことだけはまっぴらごめんだった。わざわざ白い雪に覆われた世界の中に足を踏み入れたくなどない。

 しかし、本当に楽しそうだな。桜は微笑んだ。次の瞬間、彼女の体は強い力に引っ張られ気づけば立ち上がっていた。そしてそのまま前へ前へと引っ張られ、つい履物を履いてしまい、あっという間に社から出てしまった。ぽかんとする桜を見て、八田兵衛がにかっと笑った。


「俺達もあの輪に加わるとしよう」


「は、はあ!? 何を言っているのだ、貴方は。私は別に良い。遊びたいなら一人で遊ぶが良かろう」


「素直ではないな。遊びたそうな顔をしておったくせに」


「そ、そんなの気のせいだ、勘違いだ!」

 白い世界の上に立つという行為は、いつやってもぞっとするものだった。白い白い、愛しいと思えるものなどまるでない世界。遊ぶ雪鬼達、差し伸べられた手、その手をとらず逃げた日々、突き刺さる弥作達の非情な笑い声……蘇るのは、おぞましい記憶の数々。顔が強張り、体と心が凍てつく寒さに震える。屈強な妖と対峙する時以上の恐怖が巫女を包んだ。その恐怖を振り払ったのは、おでこに走った激痛であった。八田兵衛がデコピンを食らわせたのだ。相当手加減してあるとはいえ、かなり痛い。


「な、何をするのだ! 痛いではないか!」


「深く考えすぎず、遊ぶことに徹すれば良いのだ。そうしておれば、雪の白さなどさほど気にならなくなる。……今目の前に広がる世界は、かつてお前が見続けた残酷な世界の姿に近いかもしれない。白、という色に何も良い思い出などないかもしれない。少なくとも、今までは。しかし今までがそうだったからといって、現在未来までも同じであるとは限らぬ。世界は変わる。お前が何もせぬ内は変わらぬだろうがな。良い思い出が無いなら、これから作っていけば良い。お前の中に降り積もる冷たい雪の上に、優しく温かいものを降らせるのだ。それがきっと、お前の助けにきっとなる。気休め程度でも、きっとな」


「だが……」

 なおも戸惑う桜の名を、子供達が呼ぶ。彼女が社から出てきたことに気づいたのだ。村の少年が「巫女様一緒に遊ぼうよ」とにっこり笑って彼女の袖を引っ張る。他の子供達も、雪鬼もそれに続いて「遊ぼう、遊ぼう」と彼女を誘った。また、昔のことを思い出しこの場から逃げ出したい衝動に駆られる。普段なら「よし遊ぼう」と答えるものなのに。雪の中にいるだけで、桜は酷く臆病になる。

 桜の頭の上にぽんと八田兵衛が手を置いた。大きくて温かい手だ。父親の手というのは、こういうものなのだろうと思えるものだった。


「遊んでこい、巫女よ。子供達はお前を拒まない、お前を……嘲笑いはしないよ」


「八田兵衛殿……」

 彼の笑みに、優しい言葉が胸に沁みる。雪が沁みる時とは、随分と違った。それでもまだ白雪の中、足がすくんでいる桜の耳に子供の泣く声が聞こえた。それが一瞬かつての自分のものに思えて、どきどきしながら声のする方を見れば、いつの間にか外へやって来たらしい弥作が一人の幼い雪鬼に雪玉をぶつけているのが見えた。


「そらそら、ちゃんと反撃しろよ! うんと強い玉を投げてこい!」

 雪鬼は泣きながら雪玉を作り、弥作へ向けて投げつけたがフォームが滅茶苦茶な為ちっとも飛ばず、へろへろという軌道を描いてぼてっと落ちる。勿論弥作は無傷で、何度もべそをかきながら雪玉を投げる雪鬼を見て、げらげら笑う。


「そんなぽんこつ玉、当たらねえよ! 雪玉ってのはこうやって投げるんだ! ほれ!」

 そう言うと弥作は全力で玉を雪鬼にぶつけ、笑い、またぶつけては笑う。容赦ない攻撃に雪鬼は防戦一方。雪玉をぶつけながら弥作は全く鍛え甲斐のある奴だなあとか何とか言っているが、彼の『鍛える』は『いじめる』と同義である。鍛える、という言葉は所詮「何をやっているんだ」と問い詰められた時に使う言い訳。自らの行為を正当化させる為のものである。彼は度々『鍛えてやる』とか『稽古をつけてやる』とかなんとか言って、弱い者いじめをするのだ。


(相変わらずの下種っぷりだな)

 怒り、呆れる桜は子供達に「遊ぼう」と誘われていることも忘れ、早歩きで弥作の方まで向かう。彼女の袖から手を離した少年や、他の子供達は弥作の未来を見、一斉に合掌。どうか安らかに成仏してください、と呟く子さえいた。

 桜は降り積もった雪に手を突っ込み、どっさり取れた忌々しい白い固まりを両手で玉状にする。ぎゅっぎゅと渾身の力こめて握り、あっという間にかっちっこちになったそれは、本来人間に投げてはいけないレベルのものであった。最早凶器といっても差し支えない。


「悪霊退散!」

 弥作に対する慈悲など無い。桜はその雪玉を綺麗なフォームで全力投球。玉はげらげら笑っていた彼の顔面に当たり、悶絶。雪玉をぶつけられていた雪鬼――新平は目をぱちくり。桜は突然襲った激痛に悶え苦しむ弥作を見て、あっはっはと大笑い。


「く……っ。てめえ何をしやがるんだ! 俺を殺す気か!」


「殺す、まさか! この私が人を殺めるなんて、そのようなことをするものか。もし私がしたことで一応人間であるお前が死んだとしたら、それは私が仕える神の意思が作用してのことなのだ。お前のような人間を生かしてはおけんというな。だからそうなった時はこれも神の思し召しと、ありがたく死んでおきなさい」


「お前本当に巫女かよ……」


「私が巫女でなかったら、この世の誰もが巫女ではない」

 即答である。助けられた新平は、桜の見事な投球に惚れ惚れし、興奮した様子で桜の袖を引っ張った。


「巫女様、巫女様すごい! ねえ、どんな風に投げればあんなに早く、遠くに投げられるの?」

 桜はそのきらきら輝く瞳を見、にこりと笑うと再び雪玉を作る。そしてこうしてこうやるのだと説明してから、もう一度弥作めがけて雪玉を投げる。すんでのところでかわされたので、盛大に舌打ちすることになったが。そして今度は新平に雪玉をもたせ、丁寧に教えてやる。現代でいえばその姿は子供野球の監督と選手といったところで。弥作の方は「ちょっと教えてもらった位で、上手くいくかよ」と高をくくっており、まだその場に残っていた。本当に馬鹿は良い的になると桜は心の中で不敵な笑みを浮かべ。

 手解きを受けた新平が「それ!」という掛け声と共に雪玉を投げた。その玉は真っ直ぐ、そしてすさまじい速さで飛んでいき、無駄無駄と笑っている弥作の顔面へとぶつかった。雪鬼は身体能力が普通の人間より高い。だからコツさえ掴んでしまえば、幼い子供の姿をしていてもすさまじい力を発揮出来る。

 新平は自分が投げた玉が弥作にしっかり命中したことが最初、信じられない様子だった。しかし段々と実感がわいてきたらしく、最後はやったやったと大はしゃぎ。


「ちなみにもっと痛めつけたい時は、石を詰めてやるといい。雪の日に現れたモノノケにぶつけてやったが、相当痛そうだった。あれは愉快だった」


「余計なこと教えるんじゃねえ! くそ、この凶暴巫女!」

 と、お返しとばかりに巫女に雪玉を投げつけた。あはは、と笑いながらそれを避け再び桜は雪玉を作って弥作へぶつけた。そちらはどうにか避けたものの、間髪入れずにやって来た新平の雪玉にはぶつかってしまった。きゃっきゃと笑う新平を、弥作は睨む。


「さあ新平、もっともっと投げてやれ! 良い練習になるぞ! それ!」


「うん、いっぱいやる! 遊ぶ、遊ぶ!」


「こっちだってやられてばかりじゃねえぞ! 二人まとめて負かしてやる!」


 ここから三人による雪合戦が始まった。実質、二対一だったが。追いかけ、追いかけられ、投げてぶつけて、投げられぶつけられて、避けて避けられての大乱闘。ムキになって弥作は雪玉を投げまくり、桜と新平は笑いながら投げる。やがて他の子供達も「混ぜて混ぜて」と入ってきて、やがて敵味方などない状態となった。新平は桜にも雪玉を投げ、桜も弥作以外に雪玉を投げつける。弥作も最初の内は桜と新平だけを狙っていたが、段々他の者も狙うようになり、やがて怒りも忘れて遊ぶことに夢中になった。他の子供達と遊んでいた八田兵衛も加わり、桜に雪玉をぶつける。桜は「やったな!」と笑いながらお返し。更に酒を飲んでいた大人達も加わって、ますます大混戦、雪玉行き交う中取っ組み合い(という名のじゃれあい)をする者、せっせと作った雪だるまに雪玉を投げさせたり、自分を庇わせたりする者、雪玉にぶつかりながらもげらげら笑い馬鹿みたいに踊る者も現れ、最早何をやっているのかさっぱり分からぬ状態に。

 ここに仲間外れの者などいない。笑っていない者、楽しんでいない者などいない。桜も気づけば雪がどうとか、白がどうとか考えることなどすっかり忘れてしまっていた。愉快で仕方が無く、腹が痛くなるまでいや腹が痛くなっても笑い続けた。ハチが桜を雪の上に押し倒し、顔を舐める。くすぐったいよ、やめてよと言っても彼は止めない。勿論桜もハチにじゃれつかれることを嫌だとは思っていない。が、そんな彼女を見て「俺も混ぜろよ犬っころ」とか言ってこちらへやって来た弥作はしっかり退治した。


 雪の中、こんなに大きな声をあげて笑ったのは初めてだった。体中雪まみれになるまで遊ぶことだって一度もなかった。冷たい雪の中でも――桜が見続けた世界に似た場所の中でもこんな風に笑うことが出来るのだと知った。例え輪の外側にいても、輪の内側にいる者と一緒に笑うことは出来るのだということも。桜の内に積もる冷たい雪の上に、いつもとは違うものが降り注ぐ。その量は今までに積もった量よりもずっと少ないが、それでも彼女の心を少しだけ癒してくれた。

 八田兵衛は桜を見て微笑む。雪を見ている時の彼女はいつも苦しげで、悲しげで、苛立っていた。桜が雪遊びをし、あんなに楽しげに笑う姿など初めて見た。


(雪を、白という色を憎む気持ちが無くなることはないだろう。今日までの間に流れた時間はあまりに長すぎる。過ぎ去った時がもたらしたものの形を変えることは出来ない。だが、これから流れる時間は違う。一人輪の外から寂しく見ている必要はない、差し伸べられた手をとらず逃げなくても良い。この世には何も良いものなど無いのだと泣き叫ぶこともない。憎み恐れ悲しんでいるだけでは何も変わらぬ。前へ、進め。苦しみながらも……過去に捉われず、進め。真っ直ぐと前を向いて……これからも、ずっと)

 彼女はそれが出来る人間だ。現に彼女は時に過去に捉われ、苦しみながらも前を向いて真っ直ぐ進んでいる。ただ捉われているだけなら、自分に非情な仕打ちばかりしてきた村人を助けるなどということは決して出来ないはずだ。

 多分過去に捉われすぎて真っ直ぐ前を向いて進めなくなったのが、八田兵衛の知るもう一人の白というものを憎悪する者なのだろう。桜は今の所『彼』とは別の道を進んでいる。だが、過去に捉われ引っ張られ続けていたらいずれ彼女も同じ道を辿る様になってしまうかもしれない。

 それだけはあってはならないと思う。


 真っ直ぐであれ、巫女よ。

 それが、実の娘のように思う桜に願うことである。その願いを知ってか知らずか、桜は朝まで村人達と騒ぎ続け、産まれて初めて『愛しい』と思える雪降る日の思い出を作ったのだった。


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