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桜町幻想奇譚  作者: 里芽
おとうさんと呼ばないで
103/360

おとうさんと呼ばないで(4)

「ゲームセンターとかどうです? 銀太君行ったこと無さそうだし。確かここの近くにゲームセンターやバッティングセンター、ボウリング場とかが集まっている施設があったはずですし」

 瑠璃の提案に、二人は賛同する。


「おとう、そこって楽しいの」


「おう、滅茶苦茶楽しいぞ」

 ごく普通の店でさえ楽しんでくれたのだ、恐らくそういう娯楽施設へ行けばより楽しんでくれるに違い無いと弥助は思った。


(あっしも初めてゲーセンとかに行った日は滅茶苦茶興奮したっけ)

 その興奮っぷりに周りにいた利用者にどん引きされたんだよなあ、と苦笑しつつ、しみじみと。見た目三十前後の、ガタイの良い男が興奮し、はしゃぐ姿を見れば誰だって引くだろう。


「おとうが面白いっていうんなら、きっと面白いんだね」

 行く、という意味だろう。


「銀太君は弥助さんのこと、本当に大好きなんですね」


「大好きだよ。……お姉ちゃんも、おとうのこと、好き?」

 ぶふっ、という滑稽な上に汚い音は弥助の口から出たものだ。馬鹿、お前は何てことをあわあわしながら言う彼の姿を見て満月は微笑み。まだ完全に心を開いたわけでは無いらしい銀太としゃがんで視線を合わせ。


「はい、大好きですよ」


 弥助の体温は意識を失い、倒れそうになる位上がった。彼女の言葉に、笑顔に、くらくら。恋愛的な意味で言った言葉では無いこと位、弥助にも分かる。

 それでも。嬉しくて幸せで。どうにか足を踏ん張り、倒れることは避けた彼は、満月から顔を背け、自身の大きな手で口を覆う。


(ああ、駄目だ。全く、駄目だって……駄目なんだよ。こんなんじゃ……駄目だ、絶対、駄目だ)


「良かったね、おとう。大好きなんだって。おとうは好かれているね」

 純粋な目で見つめる銀太の頭を、弥助は色々な思いを巡らせながらぽふぽふしたり、撫でてやったりする。

 それから、にこにこしている満月とにやにやしている瑠璃と共に次の目的地まで向かった。

 

 ゲームセンターやカラオケボックス、ボウリング場、バッティングセンター等などが集まるその建物は、ごく最近オープンしたものであった。

 休日だけあって、人は多い。先程までいたショッピングセンター以上の賑やかさに、銀太は目を丸くしている。そして、恥ずかしいのかまたべったり弥助にくっつく。


 最初に入ったのはゲームセンター。銀太は入るなりゲーム機から出ている音の数々と、人の多さに悲鳴をあげ、金魚のように口を開けたり閉めたり。

 黒い瞳の中にあるのは知らない世界に対する興味と恐怖。先に進むべきか退くべきか、考えあぐねている風である。弥助はそんな銀太の頭を優しくなでてから、だっこしてやる。


「ほら。行くぞ。大丈夫だよ、何にも怖いことはない。慣れればなんてことないっすよ。……あっしや朝比奈さんもいるんだ、安心しろ」


「う、うん」

 素直に頷いた銀太を抱えたまま、クレーンゲームコーナーへ足を運ぶ。

 ガラスの檻に閉じ込められたぬいぐるみやクッション、小物に銀太はたちまち心奪われ、下ろしてもらい、自分の足で人気キャラクターのぬいぐるみが沢山入っているクレーン機へ一目散に向かう。


「うわあ、可愛いのがいっぱいある! ねえねえおとう、これ、どうするの?」


「ん? これを、あれを使ってつかんだりずらしたりして、そこにある穴に入れるんだ。穴に落ちたものは自分の物になるんすよ」

 弥助がクレーンや景品、景品を落とす穴を指差すと、彼が指差した先を銀太は小さな顔のついた小さな首をくいくい動かし、目で追う。


「おとう、あれ、捕って捕って! この可愛い奴、欲しい!」


「え? ああ、まあ頑張るけれど……あっし、これ苦手なんだよなあ。そこまでやったことないし」

 言いつつ、百円玉を二枚投入口へ落としていく。お金を飲み込んだ機械はボタンを光らせ。それを押せば、クレーンが動く。


「うわ、動いた! すごい、おとうがこれ、動かしているの!」


「おうよ! よし、この位でいいな」

 ういいん、と下りていくクレーンのアームがぬいぐるみの一つを捉えた。ぬいぐるみの海から浮上するアーム。しかし、ぬいぐるみは上に来ることなくぽろりとアームからこぼれ、ぼとんと海の中へ沈んでいく。

 ああ、と弥助の失敗を嘆いたのは満月と瑠璃。銀太も落胆の声をあげ。


「ああ。おとうのヘタクソ」


「何おう。言っておくが、これ滅茶苦茶難しいんだぞ。お前もやってみろ」


「わあい、やる、やる!」

 丁度近くに子供用の台があったので、それを持ってきて銀太をのせてやる。

 弥助レクチャーのもと、彼はクレーンを動かすが上手くいかず、結局何の意味も無い所にアームが伸びていった。何も掴むことが出来ないまま、クレーンは帰還する。


「うわあ、難しい。全然出来なかった」


「ほれ見ろ、ヘタクソ」


「おいら初めてだもん、だからしょうがないんだよ」


「はいはい、そういうことにしておいてやるよ」


「それじゃあ次、私行くわね」

 次に挑戦したのは瑠璃であった。弥助よりはやり慣れているらしい彼女の手つきは華麗であった。しかし、ただ、華麗なだけであった。結果は弥助と似たり寄ったり。


「こういうのは、案外難しいことを考えないでやった方が上手くいくかも」

 ……と、満月は本当に何も考えていない風な手つきでクレーンを操作する。

 他の三人に比べると良い結果となったが、ぬいぐるみをゲットすることは叶わず。


 こうなるともう、皆、意地になる。何が何でもゲットしてやると。

 幸い、このクレーンゲームに挑戦したがっている風な利用者はいなかったから、一回ごとに交代し、挑戦することになった。

 銀太はあっという間にクレーンゲームの虜となり、大きな声で叫んだり、取れますように、取れますようにとお願いをしたり、失敗して頭を抱えたり、弥助達の応援をしたり。


「頑張れ、頑張れ!」


「後少し、ああ!」


「おとうそこだよ、あ、そこじゃないって、ああ! おとうのヘタクソ!」


「あ、惜しい! 残念だったね、瑠璃お姉ちゃん」


「ううん、全然上手く行かないよ!」

 三人と一緒に、わいわい騒ぐ。


 全員の懸命な努力により、後少しでぬいぐるみの一つが手に入れられそうになった。ここで順番が回ってきたのは、満月である。彼女はこれから入れる予定の百円玉を握りしめ、目を瞑り、獲れますようにとお祈り。その可愛さに弥助はやられ、再びくらくら。


「お姉ちゃん、頑張って」


「はい、頑張りますよ」

 満月がお金を投入し、クレーンを動かす。皆何も言わずごくり唾を飲み込みながらその様子を見守る。

 アームがぬいぐるみの頭を持ち上げた。それはバランスを崩し……そして。

 重たい頭から穴へと落ちていった。


「わ、わあ……」


「やったじゃない、満月!」


「流石っす、朝比奈さん!」


「お姉ちゃん、すごいすごい!」

 ぬいぐるみを取り出し口からとった満月に、銀太が勢いよく飛びついた。羨ましい、と弥助が内心そんなことを思っていたことは誰も知らない。

 彼の小さな体を受け止めた満月は、頭を優しく撫でる。もう銀太はすっかり満月(と瑠璃)に慣れたようだ。


「銀太君、これ、あげますよ」


「本当、いいの!?」


「はい、銀太君の為に取ったのですから」

 その言葉に反対する者は誰も居なかった。銀太は遠慮することなくそれを喜んで受け取り、ぎゅうと抱きしめる。その素晴らしい抱き心地に「ふほへえ」という何とも気の抜けた声を出し。

 三人で分担したとはいえ、決して少ない出費ではなかった。しかし銀太の幸せそうな表情を見ると、そんなこともすっかり気にならなかった。


(子供っていうのは、恐ろしい生き物っすね。……まあ本当は朝比奈さんや田村さんの十倍以上は生きているんだが……でも精神的にも肉体的にも子供だからな、やっぱりうん……子供だな)

 もういい加減大人になってもらいたいものだが、とつけ加え一人誰にも気づかれないように、ため息。

 

 ゲームは、クレーンゲームのみではない。まだ色々ある。

 今度は四人で仲良くホッケー。まずは弥助が銀太と対決。銀太は縦横無尽に動き回るパックをきゃっきゃと騒ぎながら目で追いかけ、相手の陣地へと勢いよく押し込む。


「えい! あ、また返された……ああ、入れられちゃった……おとう、手加減してよ」


「ええ? これでもかなり力抜いているっすよ。大体な、相手に手加減してくれとか何とかお願いする前に、まず自分でやれるだけのことはやりつくさなきゃ。腐っても男だろう、もっと頑張……あ、この野郎、人が話している間に!」


「うわあい、一点取れた! やった、やった! あ、おとうずるい! おいらが喜んでいる間に!」


「へへん、ざまあみろってんだ。卑怯な真似をすると、こういうことになるんすよ」

 大人気ない大人である弥助はその後もそれ以上手加減してやることなく、容赦なく銀太のゴールにパックを送り込んでいった。

 結局銀太は二点しか入れることが出来ず、試合終了後泣きこそしなかったがすっかりへそを曲げてしまった。……自動販売機で買ったジュースを渡したら、すぐ元に戻ったが。彼は産まれて初めて飲んだ炭酸ジュースに七転八倒したが、その後「すごい、けれど面白い」と絶賛。結構気に入ったようだ。


 満月と瑠璃の勝負はなかなか面白いものであった。最初は瑠璃が圧倒していた。さくら程ではないが、どちらかといえばとろい方である満月はパックの動きになかなか追いつけず。パックは彼女が突き出した手の横や下を通って次々とゴールへと吸い込まれていった。

 そのまま瑠璃の完全勝利……になるかと思いきや。


「それじゃあ満月、行くわよ」


「瑠璃、恋人さんとはゲームセンターとか行ったことがあるの?」


「はあ!? 何で今、あの人の……というか恋人じゃないし!」

 動揺する瑠璃の手元が滅茶苦茶に狂い。パックを己のゴールにシュート。オウンゴールである。その時に鳴る音で彼女はそのことに気がつき、叫んだ。


「あ、ちょっと、今のは無し!」


「無しじゃないわ。オウンゴールも得点の内。そうですよね、弥助さん」


「はい、勿論っすよ。何があっても、ゴールにパックが入れば相手の得点になるんすよ」


「庄司さん!」

 惚れた女の味方する、でれでれした顔をした弥助を瑠璃が睨んだ。それから気を取り直し、再び。今度は無事パックを相手側の陣地に送り込むことが出来た……が。


「瑠璃、その人から素敵な浴衣を貰って、夏祭りの時それを着ていったのよね!」


「ちょっと! 何でそんなこと満月が知っているのよ、夏祭りに行ったことは話したけれど浴衣のことは話した覚え無いわよ!」

 マレット(パックを打つのに使う道具)から手を離し、彼女を指差し、怒鳴った。顔は真っ赤で明らかに動揺している。その間にパックはゴールへと一直線。


「あ! こら、満月! この卑怯者!」

 これには瑠璃も怒り。といっても本気で、心の底から怒っているわけではないが。あはは、と満月が声をあげて笑った。


(朝比奈さんは田村さん相手だと性格とか色々変わるっすねえ……ああ、でも小悪魔朝比奈さんも、良いっすねえ)

 それからもお互いスポーツマンシップのスの字も無い手を使い、点を得ようとする。大抵瑠璃の方は失敗し、満月の方は成功を収め。

 気がつけば満月の逆転勝ち。このこの、馬鹿満月め、と喜ぶ満月の頭を軽くぐりぐりする瑠璃は目こそ吊りあがっていたものの、唇からは笑みがこぼれていた。

 

「お姉ちゃん達の勝負、面白かった! ほっけえってああいう風にやるんだね!」


「いや、あれはホッケーじゃないっすよ。どちらかというと女同士の醜い争いという名の、親友同士のじゃれあい……」

 流石の弥助も汚いにも程がある手の応酬に、呆然。


 他にも譜面を見て太鼓を叩くゲームや、複数のボタンを使ったリズムゲーム、メダルゲームやレースゲーム等を楽しんだ。

 リズムゲームは瑠璃が結構得意で、かなり難しそうなものも見事にこなしていた。逆にとろまの満月は簡単な譜面でも四苦八苦。初挑戦だった弥助の方がかえって上手い位。太鼓を叩くゲームは銀太がかなり面白がってやった。といっても譜面は殆ど無視して滅茶苦茶にどんどこ打っていただけだったが。


 お次はバッティングセンター。


「あそこから飛んでくるボールをこれで思いっきり打つんすよ」


「打てばいいの? それじゃあ簡単だね」


「簡単じゃねえっすよ。結構難しいんだぞ、これ」


「そうなの? ねえねえ、おとう、お手本見せて」

 おうよ、とバット構える弥助。飛んでくるボール。


「そら……よっと!」

 かきいん、という良い音と共にボールはバットによって、空高くへと送り出されていき、そのまま真向かいにある『ホームラン』と書かれたところに、どん!

 いよっしゃあ! と思わずガッツポーズ。銀太は何だかよく分からないけれど、おとう、すごい! と拍手。満月と瑠璃も感嘆の声をあげた。


「ふふん、どんなもんだい」


「おとうはすごいな、格好いいな! ねえねえおとう、どうすればあんな風に飛ぶの?」


「どかんと来るボールをどんと迎えうち、どかどおんと腕を振ってバットにがちこーんと当てればいいんすよ」


「何それおとう、全然分からない」

 子供は素直である。


 弥助は銀太にバットの持ち方や振り方などを教えてやる。銀太は最初、向かってくるボールを怖がり、目を瞑っていたが三人の応援もあり、少しずつ目を開け、バットを振るようになっていった。最後、飛びはしなかったが当たるようにはなっていった。


「私もやってみようかしら。……弥助さん、レクチャーお願いしても宜しいでしょうか?」


「はい、はい、勿論喜んで!」


「教えるふりをして、満月にセクハラしないでくださいね」


「そ、そんなことしないっすよ!」

 どうだかねえ、とわざとらしく言ってみせる瑠璃。


「瑠璃ったら。弥助さんはそんなことしないわよ」


「ええ、勿論です! あっしはセクハラなんてしない、全うな人間っす!」


「せくはらって何、おとう」


「お前にはまだ早い!」

 一蹴。それから満月に打ち方等を教えてやった。といっても弥助だって特別技量があるわけではないから、あんまりちゃんとしたアドバイスをあげることは出来なかったが。それでも満月は満足している風であった。


「弥助さんは教え方が上手ですね。それにとてもお優しくて……」


「そ、そんな、それ程でも」

 照れる、恥ずかしい、嬉しい。存在を忘れられた銀太は、同じく存在を忘れられた瑠璃にぎゅうっと抱きつきつつ。


「おとうは、満月お姉ちゃんのことが大好きなんだね」


「そうなのよ、大好きなのよ。……いつになっても全く進展しないけれどねえ」

 そう言う瑠璃の顔は、娘の恋の行方を見守る母のそれに似ていた。


「瑠璃お姉ちゃんも大好きな人がいるの?」


「え、え、いやあ、それは……そんなことより銀太君、二人の様子を見ていましょう、ね、ね!」

 慌ててごまかす瑠璃に促され、銀太は満月と弥助が色々やっている姿をにこにこしながら見つめるのだった。


 そこで思う存分バットを振り回した後は、ボウリング。そこでは満月の珍プレーと、銀太の見ているだけで和むようなプレーが炸裂。


「白粉塗った人間みたいだね、あれ。どんどん倒れて面白い!」


「小さな子から、白粉という単語が飛び出すとは思わなかったわ……」


「まあ、家が家っすからね」

 という言葉で一応片付ける。


 着物姿の銀太は、他の利用者達の注目の的となり、あちこちから「可愛いねえ」「珍しいね」「どうして着物なんだろう」という声があがった。行く先々でそういう声は聞いたが……。ボウリング場ではより一層彼の存在というのは目立つらしい。

 その視線や声に気がついた銀太は弥助や満月に度々くっつき、恥ずかしい、恥ずかしいと小声で訴える。


(まあ、この格好じゃ目立つだろうな……着物にボウリング用シューズとか……)


「おいらの格好ってそんなに変なの?」


「変っていうか珍しいんだよ。昔はそうでも無かったんだが。まあ、そんな恥ずかしがるなって。もっと堂々としろ、男なら。あっしや父親みたいな立派な奴に早くなりたいんだろう?」


「うん……頑張る」

 弥助の励ましと、ボウリングの面白さのお陰か、それからはあまり周りの視線を気にしなくなった銀太であった。


「いやあ、沢山遊んだっすねえ」


「うん、いっぱい遊んだ! 楽しかった!」

 銀太は心底満足しているようだ。弥助の手と繋がれた右手を、元気よくぶんぶん振り回し、さっきまでより大股で陽気な音楽を口ずさみながら歩いている。

 

 アミューズメント施設を出てから、赤梅・野蒜と待ち合わせする場所へ向かうまでの間は、広々とした公園で遊んだ。

 バッティングセンターやボウリングで運動してなお、銀太の体力はまだまだいっぱいで、三人と鬼ごっこを楽しんだ。

 銀太はすばしっこく、これがなかなか簡単に捕まらなかった。本気を出した弥助でもなかなか捕まえることは出来なかったのだから、相当である。


 それでもどうにか捕まえると、銀太は「えへへ、捕まっちゃった」とはにかんだ。それから、少し悲しげな表情を浮かべる。別れの時が近いことを思い出したのだろう。


「あと少しで、おとうやお姉ちゃん達とお別れなんだね」


「そうだな。……別れる間際になって『やっぱり嫌だ』と駄々をこねるのはよせよ。折角の楽しい時間を楽しいまま終わらせるには、それが一番だから」

 しゃがみこんだ弥助をじいっと見つめ。


「分かっているよ……でもやっぱり寂しいよ」


「寂しいと思ってくれるなら、本望っすよ。あっしらがお前に好かれている証拠だからな」


「ねえ、おとう。おいらは大人にならなくちゃ駄目なの?」


「何だ、いきなり」

 いきなり変わった話題に戸惑いつつ、弥助はなるべく優しく聞き返してやった。


「おいらと同じ日に、おとうから生まれた子達は皆外の世界へ行っちゃった。それで、おとうと同じ、いちょうの木になったんだ。……でもおいら、それは嫌なんだ。だって木になったら、もうどこへも行けなくなるもの」

 目の前にいる弥助でさえやっと聞き取れる位の小さな声。心なしか元々小さい体がますます小さくなった風に見える。

 ああ、と弥助は再び三百年前のことを思い返した。


 迷子になった銀太の素性はその日結局分からずじまいで、仕方なく弥助は自分の家に銀太を泊めてやることにした。すっかり弥助に心を許すようになっていた彼は、素直にそれに従った。

 その次の日。村に矢張り見慣れぬ男が二人、やって来たのだ。それが赤梅と野蒜である。弥助は二人を見てようやく、銀太が人間では無いことを理解した。

 二人は弥助に礼を述べ、そして彼もまた人ならざる者であることを知ると、銀太の正体について色々話してくれた。


――銀太坊ちゃまのお父上……我々の主……は、いちょうの木。正確に言うと、その木に宿っている精霊なのです。主は自分の魂の欠片で沢山の子を産みだしました。その内の一人が、銀太坊ちゃまです。主から産まれた子供達はみるみる内に大きくなり、そして主から受け取った仮初の衣を身にまとって主の住む空間から出て行かれました。彼等は旅先で真の体を作る実に宿るのです。実はやがて大きくなり、主同様立派な体……いちょうの木を手に入れ、そこで一生を過ごすのです――

 しかし、と野蒜の説明の続きを担った赤梅が浮かない顔でぽつぽつ語りだし。


――他の皆様はとっくに旅立ったというのに、銀太坊ちゃまだけはいつになっても成長せず。彼らの外見はある程度精神の強さなどに依存します。見ての通り、坊ちゃまは子供のまま少しも大きくならず……。己の持つ力も意のままにすることが出来ない状態がずっと続いていらっしゃるのです――

 確かに、銀太は幼い子供そのもの。大人からは遠く離れた存在だと弥助は思った。

 再び野蒜が話を始める。


――しかし、好奇心だけは人一倍ありまして……ろくに力も使いこなせないのに、勝手に主の衣を一つ拝借して、外の世界へ飛び出してしまうのです。そして遠くまで行くのですが……力が使いこなせぬゆえ、主の所へ戻れなくなり……つまり、迷子となって、泣き出してしまうのです。主は自分の子供がどの辺りにいるか大体分かります。しかし、自分の体を捨てて外へ飛び出すわけにはいかない為、我々に銀太様を連れ戻してくるようお命じになるのです――

 これで一体何度目であるか……と二人は嘆いた。


 それから。銀太は赤梅、野蒜と帰ることを拒み、すっかり気に入った弥助とずっと一緒にいると駄々をこね始め。

 結局、弥助が二人と共に銀太を家――大分離れた場所にある大きないちょうの木――まで送ることになったのだ。


(別れる間際も散々駄々こねて、大変だったんだよな)

 結局その時から、銀太は殆ど成長していない。つまり、精神的に成長していないのだ。おまけにまた迷子になったところを見ると、自分の力も未だコントロール出来ない状態にあるらしかった。


(そのくせ、そういうことはちゃんと考えているんだな)

 そのことに、正直驚き、また感心した。


「おいら、どこへも行けなくなるなんて、嫌だ。いちょうの木なんかにならなくても良い」


 成長し、旅立ち、自分の体を得れば今のように外を自由に動き回ることは出来なくなる。

 勿論、その体を捨てれば自由にはなる。しかし捨てられた体は死に、枯れてしまうのだ。彼等精霊はそれを嫌がる。だから滅多なことではその体を捨てることは無い。

 銀太も自分だけの体を手に入れれば、もう、それを捨てるということは出来なくなるだろう。そして永遠に外の世界を動き回ることは無くなるに違いなかった。それが、彼は嫌なのだ。


「おとうのようになりたくないのか?」

 銀太が首を横にふる。しかしその行動に絶対的な意思を感じない。


「なりたいよ。でも、なりたくない。……人間はいいね。こうやって自由に色々な所を駆けられるのだもの。いちょうの木の中には家がある。そこはとっても広いし、良い所だよ。でも、広いけれど……人間の世界に比べたら、ずっと狭いんだ」


「そうだな。人間の世界は広いな。……でも銀坊、お前は人間じゃないんだ。立派ないちょうの木となって、他の精霊達と一緒に暮らしたり、周りに広がる世界を見守ったりしなくちゃならねえ。そして今度は銀坊、お前が誰かのおとうになるんだ。我侭ばかり言っちゃいけない。捨てなくちゃいけないこともある。……人間だって、そういうこと、いっぱいやっているんすよ」


「……でも、おとうは人間じゃないのに、人間の世界で暮らしているじゃないか」

 羨むような、責めるような声に、弥助の胸が深く抉られる。答えに詰まり、考え込み。それから苦笑した。


「そうっすね。うん、そうだ。分かっているんだ。あっしは人間じゃない。本当はここにいて、ここで普通に暮らしているべき存在じゃないってこと位な。だからこそ、あっしは……はは、全く、駄目っすね。あっしは銀坊以上に我侭で、諦めの悪い男なのかもしれない。それだからあっしは……いや、何でもない」

 銀太の頭を撫でてやる。銀太はごめんなさい、と一言謝った。謝る必要がどこにあるんだと弥助は笑いながら言ってやった。本当に、謝る必要なんてどこにも、無い。

 しばし続いた静寂。


「……おいら、まだ、よく分からないけれど……でも前よりはちゃんと、考えてみる。おとうやおとうみたいな立派な存在に、絶対、なる」


「あっしは銀坊が思っている程立派じゃないよ。でも、うん……あっしはお前が、あっし等に誇れる位立派な奴になれる日が来ることを、心の底から信じているっすよ」


「ありがとう、おとう」

 ほんの少しすっきりしたのか、銀太は頬を赤らめつつも満面の、向日葵のような笑みを浮かべた。


 ……そして今に至る。すっかり銀太は元の甘えん坊で、底抜けに元気な銀太に戻っており、弥助と歩きながらあれは何、これは何とひっきりなしに聞いてきたり、今日やったことについて話したりする。

 赤梅、野蒜と待ち合わせしている場所まで、後少しだ。そのことに気がついていない銀太ではなかったが、足取りは軽い。ちょっとは成長したようだと弥助は満足気に一人頷く。


「銀太君とも後少しでお別れですね。寂しいです」


「おいらも寂しい。おいら、おとうも大好きだけれど、満月お姉ちゃんのことも瑠璃お姉ちゃんのことも大好きだもの」

 銀太はしゅん、満月と瑠璃はきゅん。でもね、と銀太は言葉を続ける。


「おいら、今度は泣かない。泣かないで、笑ってさようならを言うんだ」


「お、偉いぞ」


「ありがとう、瑠璃お姉ちゃん。えへへ、おいら少しだけ大人になったんだよ」

 えへんと胸を張ってみせる。それから何故かにっこり笑いながら満月を見た。

 視線に気がついた満月の優しい声。銀太は少し照れて俯いてから、空いている方の手を上げる。どうしたのだろうと三人、首傾げ。


「満月お姉ちゃん、手、繋ごう」

 この提案に一番反応したのは満月ではなく……弥助であった。動揺した声をあげ、銀太の手を握るそれの力が強くなる。しかし銀太はそんなことなどおかまいなし。


「お姉ちゃんと、おとうと、おいら、三人で手を繋いで歩きたいんだ」

 

「私で、よろしいのですか?」


「うん! お姉ちゃんがおかあで、おとうがおとうなの」

 瑠璃お姉ちゃんとも後で繋ぎたいな、手……と仲間外れになりかけた彼女への気配りも忘れない。

 体温がみるみる内に上昇していくのを感じている弥助を見て、銀太がにこり。

 おいら、なかなか粋なことをするでしょう? と言わんばかりの笑顔である。

 差し出された手を満月はじいっと見つめた後、少し恥ずかしそうにしながらも、その手を握った。それから銀太に、弥助に笑いかけ。その笑顔に昇天。


「それじゃあ、歩こう」

 銀太を挟んで、弥助と満月は横並びになって歩みを進める。弥助は照れくさくて、満月と目も合わせられない。銀太の足取りは更に軽くなり、ぴょうんぴょうんと弾む。


(礼なんて言わないからな、全く……)

 三人仲良く様子を瑠璃に後ろからこっそり携帯カメラで撮られたことなど知る由もない彼は、悪態つきつつも軽く笑みを浮かべた。


 待ち合わせ場所にはすでに赤梅、野蒜両者の姿があった。彼等は弥助達の姿を認めると笑顔を浮かべ、大きな手と細い手を大きく振る。


「坊ちゃま、お帰りなさいませ。どうでしたか、今日は楽しかったですか」


「うん、とっても楽しかった! 今まで生きてきた中で一番楽しかったよ」


「それはようございました。弥助殿、貴方には一度ならず二度までもお世話になって……」

 野蒜が深々とお辞儀しようとするのを弥助が制止。礼も謝罪も特別いらなかったのだ。


「構わないっすよ。あっしも久しぶりに銀坊と遊べて楽しかったし。他の二人も銀坊のことがすっかり気に入ったようだしな。それに今回は割と良い子にしていたから面倒も見やすかったし」

 その言葉に赤梅と野蒜がほっと胸を撫で下ろす。銀太が迷惑をかけまくっていないかどうか、二人は相当気になっていたそうだが、別に迷惑なんてかけられなかったよと三人で声を揃えて言う。本音である。


「そうでしたか。ほっといたしました。ささ坊ちゃま……参りましょう」

 別れるならさっさと別れるに限る。ぽん、と銀太の肩を叩く寂しい音。その音が銀太に『寂しさ』を思い出させた。彼の表情は暗くなり、俯き、体は強張り。


「銀坊」

 弥助の優しく暖かい声に銀太は顔をあげ、彼を不安そうに見つめる。それからその目が潤み、唇をぎゅっと噛み締め、震え。

 しかし、彼は泣かなかった。瞳から落ちそうになった塩辛い雫をぐっと飲み込み、また奮え、それから、笑んだ。


「ありがとう、おとう。ありがとう、満月お姉ちゃん、瑠璃お姉ちゃん。……おいら、行くよ。泣かない、約束通り、泣かないよ」

 その言葉がどれだけ弥助にとって嬉しいものであったか、銀太は気がついているだろうか。そしてそう言った自分の顔が『大人』のそれに近いものになっていたことに、彼自身は気がついているだろうか。

 ほんの少しだけ、彼は前に進んだ。


 弥助の手から、その華奢な手が離れていく。その時弥助は確かに孤独感と虚無感を覚えた。すうっと消えていく温もりが、とても寂しい。


「ああ、偉いぞ銀坊。それじゃあ……元気でな」


「うん! 赤梅、野蒜。帰ろう。おいら、もう大丈夫だから」

 いつもとは違い、素直に帰ることを承諾した銀太を見た二人は目を丸くし、顔を見合わせた。そして涙目になり……いや、実際泣き出した。


(この二人も銀坊のこと、自分の子供のように思っているんだな。……後……駄々をこねる銀坊に相当苦労させられていたんだなあ、今まで)

 共感、同情。

 

「それでは私共は参ります。さあ行きましょう、坊ちゃま」


「お父上の所まで」

 まず赤梅と野蒜が歩き出し、その後ろを銀太がついていく。恐らく人目のつかない所まで行ったら、二人で銀太を連れ、空を飛んで帰るのだろう。歩いて帰ったのなど、弥助が銀太を送ってやることになった時のみのはずだ。

 銀太は一度だけ振り返り、眩い笑顔と共に手を軽く振ってから、再び前を向く。それから彼が再び振り向くことは無かった。


 道路の脇にあったいちょうの木が風を受け、揺れる。その枝から落ちてきた無数の黄金の葉はひらひら舞いながらゆっくり地上を目指す。それが弥助には「ばいばい」と手を振っている姿に見えた。ばいばい、ばいばい、頑張って。

 葉がざわざわ揺れる音は、銀太へ送るエール。

 

(もしかしたらここにあるいちょうの木の中に銀坊の兄弟が混じっているのかもしれないな。色々あって、ここに植えられてさ)

 そんな自分の考えがえらく乙女チック、お花畑チックであることに気がつき、急に恥ずかしくなって弥助は頭を振った。


(ああ嫌だ嫌だ。これじゃあまるでさくらじゃないっすか。恥ずかしいったらありゃあしないっすよ。ま、でも良いか)

 きっと立派な大人になって、自分や父親を超える素晴らしいいちょうの木になるんだぞ……。

 心の中でそんなことを祈ってから弥助はもう殆ど見えなくなった銀太に背を向ける。


「それじゃあ、あっしらも行きましょうか」

 返してもらった腕時計をはめつつ、ちょっと寂しそうな表情を浮かべている二人に帰りを促した。二人共はっとして、また少し寂しげな表情を浮かべてから、微笑む。


「そうですね。……今日はとても楽しかったですね、弥助さん」


「私も大満足。買い物も出来たし、沢山遊べたし、可愛い子供と遊べたし」


「あっしもとっても楽しかったっすよ」

 本当にとても楽しかった……そんな思いを三人胸に抱き、軽やかな足取りで歩き出すのだった……。



 蛇足にも程がある蛇足。

 三人は帰る前に、瑠璃が憎からず思っているらしい男が営んでいる店を訪れた。瑠璃は全力で拒否していたのだが、結局二人に押し切られる結果となってしまったのだ。

 羽鳥坂と呼ばれる坂のてっぺんにある小さな店。瑠璃曰く色々な色の小物等を売っている場所らしい。


「言っておくけれど、あの人は私の恋人でもなんでもないんですからね。後……一応、人間だからね」

 瑠璃の言った言葉の意味が、最初二人は理解できなかった。……その意味は間もなく知れることになったのだが。というより店の中にいた男の姿を見た途端、理解したのだ。


 薄暗い店の中にいたのは、弥助なんかより余程幽霊、或いは妖怪らしい姿の男だったからだ。野蒜とさほど変わらない位ほっそりとした体、見るからに不健康そうな――雪の様に白い肌を持った白雪姫や、正真正銘の幽霊もびっくりして逃げ出してしまいそうな位白い……否、青白い――肌。眼鏡の下にある瞳に生気は無く、それ真下にはうっすらくまが。弥助と同じ髪型(最もこちらの男の方は割と真っ直ぐで綺麗な髪だったが)の、緑の着物を着た、多分満月達とそう変わらない位の年の男(後に聞いたところ、彼女達より二個上の二十八歳らしい)。

 しかし気味は滅茶苦茶悪いが、醜男には見えない。むしろ目鼻立ちは整っているように思えた。元はそれなりに美男子だったのではないだろうか、と帰宅途中弥助がそんなことを思った位には。


 この男、外見だけでなく喋り方も気味が悪い。また、異常に意地の悪い性格をしているようで、店を訪れた瑠璃を散々いじめた。一方、弥助と満月には殆ど声もかけず。視線も極力合わせようとしなかった。


(こいつ、本当に人間か? 実はあっしらの仲間なんじゃ……)


 弥助と満月は、完全に二人の世界に入ってしまった瑠璃と男(()京院(きょういん)(ほう)(げつ)という大層な名前をもっているらしい)を店に残し、さっさと帰っていってしまった。一応店を出る前に一言声はかけたから、大丈夫だろうと思いながら。

 店の外まで聞こえる、鳳月に弄られまくっている瑠璃の声。


「あの二人、お似合いですね。私の見立てが正しければ、二人はきっとくっつくと思います」


「あっしもそう思うっすよ。あの人と話している田村さんの顔、輝いていましたし」

 朝比奈さんと二人きりなんて、超ラッキー。浮かれる弥助、そんなことも知らず笑いながら喋り続けている満月。


「しかしまた強烈な姿でしたね、あの鳳月って人。田村さんがああいう感じの人を好きになるとは」


「外見とか、そういうのって関係無いと思いますよ。何にも、関係なんてありません」

 

「関係無い……」


「はい、関係ありません。愛や恋にそんなものは何にも関係ないんですよ」


 何気なく言ったその言葉が、弥助の胸を突き刺す。熱くて冷たいナイフの様な言葉であった。

 弥助は一瞬立ち止まり、それから頬を叩き。


(ああ、もうしっかりしろよあっし……)

 何にも無かったような顔をして、彼は再び歩き出す。


 後日二人は瑠璃に「何で勝手に帰っちゃうのよ!」と思いっきり責められることになるのだが……こればかりは本当に何にも、関係の無い話。


 村の男はある日、家の田んぼ前で泣いている少年を見つけた。十もいかぬ程の子であったそうだ。

 男は少年の顔を見、首を捻った。何故ならその少年は村の子供ではなかったからだ。


 どこから来たのだ、親はどうしたと聞いても答えてくれない。ただ「おとう、おとう」と泣くばかり。仕方なく男はその子の手を引き、この少年に心当たりがある者を探したが、彼のことを知る者は誰もいなかった。また親らしき人も見つからず。


 すっかり困り果てていた男の前に、真っ赤な肌をした坊主姿の男と、えらく細い男が現れた。彼等もまた、この辺りでは見かけない顔であった。

 男達曰く、少年は己の主の子供であるそうだ。


 少年は男達と再会出来たことが余程嬉しかったのか、先程まで以上に激しく泣き出した。

 そんな少年を一生懸命あやしながら、二人は自分達が人間では無いこと、ずっと前にもこの村に来たことがあること、その時出会ったある男に大変世話になり、そしてそんな男のことを大層気に入ってしまったことなどを話してくれた。


 それから少年は、二人の男と手を繋ぎ、空を飛んで消えていった。

 後日、少年の面倒を見た男の家の前には大量の山の幸が置かれたそうだ。


 恐らくあの男達がお礼にと持ってきてくれたのだろう、と男は思ったそうな。

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