一話 現代日本でTSしたら、どうなってしまうの? あなたを襲う(かもしれない)無国籍の恐怖
1.はじめに
自分が異性に生まれていたら、明日の朝起きたら女の子/男の子になっていたら、なんて想像したことはないでしょうか?
もしそうなったら『(逆)ハーレムを築く!』とか『とりあえず近所の公衆浴場に行こう』とか『女/男じゃ着れないカッコイイ服、カワイイ服を着たい!』とか色々やってみたいことがあると思います。
でも、想像の中ではなく、本当に明日の朝、性別が変わってしまっていたら、色々困ることも出てくるはずなんです。
いつか来るかもしれない『TSの朝』のために、色々調べてまとめてみました。
だって、TSする可能性は0ではありませんからねっ!
性別が変わる魚とかいるし!
2.TSの定義と分類
・TSの定義
ここでいうTSとは、女性から男性、男性から女性など、肉体の性別が変化することを指します。
なお、実在する性転換手術を経た法的な性別変更については、法整備などがある程度行われているため、今回メインテーマとして扱いません。
・TSの分類
フィクションで取り上げられるTSには、変化の仕方など、沢山の種類があります。
今回は、代表的なものをいくつか取り上げます。
A.転生/生まれ変わり
現在の自分は死亡するなどし、新たに異性へと生まれ直したケースです。
記憶が引き継がれる場合とそうでない場合がありますが、いずれにせよ新しい人生が始まります。
B.入れ替わり
実在する異性の身体と入れ替わってしまうパターンです。
C.憑依
実在の誰かに乗り移るものです。
相手の意識がある場合と、ない場合などがあります。
D.皮モノ
皮や特殊なスーツなどを着ることで、異性の外見になることを指します。
E.性別変化
『自分が異性だったらこうなるだろうな』というような、どこか特徴を残した変化です。
ご両親やご姉妹ご兄弟とも似ているかもしれません。
DNAを調べれば、血縁関係が立証できる場合もあるでしょう。
F.実在しない別人への変身
全くの別人の異性に変化してしまったものを指します。
ご両親やご兄弟ご姉妹とも全く似ていないレベルの変身です。
これらに加え、自由に元の性別、外見に戻ることが出来るか否かという概念があります。
しかし、元の性別、外見に戻ることが出来る場合、多くの問題が回避可能なため、『変更可能なことが前提であるD.皮モノ以外』不可能であるケースを考えたいと思います。
3.TS後の公的身分について
「え? 誰?」
TSした後、自分の姿を見た主人公が上記のような反応をして、物語が始まるケースが多いのではないでしょうか。
その後、物語によっては、周囲の人たちに元の自分であることを信じてもらえるように行動するでしょう。
現実でTSしてしまっても、自分しか知らないはずのことを伝えるなどすれば、周りの方は信じてくれるかもしれません。
しかし、国などの公的機関は、そう簡単には信じてくれないでしょう。
『E.入れ替わり』など、既に存在する人に成り代わるケースの場合は、その人の公的身分も受け継ぐことができます。
ですが、『E.性別変化』などの場合、自分が元の人物であると証明出来なければ、法的に『誰でもない人』になってしまいます。
これって結構恐ろしいことなんです。
学校にも通えず、就職も出来ず、結婚も出来ず、医療費は全額負担、場合によっては、不法滞在扱いで拘束されるかもしれません。
しかも、あなたがTS女子の場合、その状態はお子さんにまで引き継がれてしまう可能性があります。
そうならないために、どうすれば良いのか考えてみました。
・元の自分以外の公的身分が与えられているケース
A.転生/生まれ変わり
基本的には心配ありません。
新しいご両親の両方もしくは片方が日本人であれば、少なくとも出生から22才までは日本国籍を有しています。
片親が外国籍の方の場合、22才までに日本国籍を選択するかどうかご判断ください。
ご両親とも海外の方の場合でも、その国の国籍はあるはずです。
日本に住み続けたい場合、就労ビザの取得などが必要になります。
・TS後の身分を引き継げるケース
B.入れ替わり
C.憑依
よほど特殊な状況でなければ、入れ替わった先、憑依した先の異性の公的身分を引き継いでいることが大半でしょう。
基本的には心配ありません。
・TS先の公的身分を得ようとすると、罪に問われる可能性があるケース
D.皮モノ
皮モノについては、皮を脱げば元の自分に戻れるため、そもそも公的身分を失っていません。
しかし、もしTS先の実在の異性の身分を得ようとすると、罰せられる危険性があります。
例えば、その人であると偽って入学、就職した場合、提出した書類の私文書偽造に問われたり、身分を偽ったことで何らかの利益を得たりすれば、詐欺罪に問われる可能性もあります。
・元の自分だと証明しないと無国籍状態になってしまうケース
E.性別変化
転生によって新しい身分を得られたわけでもなく、他の異性の身分を引き継げてもいないので、TS直後は無国籍状態になってしまいます。
そのため、どうにかして元の自分と同一人物であることを証明する必要があります。
まず考えられるのは、DNAなどの科学的検査によって、元の自分が変化した状態だと示す方法です。
相手にされなかったり、実験動物扱いされるリスクはありますが、研究機関に駆け込むのも一つの手です。
ただし、研究の結果、立証出来ても、法的に認められるかは裁判をしてみないと分かりません。
元の自分であると認められなかった場合、TS前の身分を得ることは諦めて、DNAなどで親子関係を証明し、ご両親からの認知という形で、新たな身分を得る方法もあります。
元の自分に似てたけど、DNA的には全然違った! という場合には、次のケースでまとめて考えてみたいと思います。
・元の自分だと証明するのは不可能。どうすれば無国籍が解消される?
E.性別変化(の一部)
F.実在しない別人への変身
これがもっともハードなケースではないでしょうか。
TSした結果、あなたは『法的に誰でもない人』になってしまいました。
就学も就職も出来ず、公的なサービスも受けられません。
この場合、もはや自力でどうにかするのは大変厳しい状態です。
一番手っ取り早いのは、ご両親や理解ある親戚の方などの養子になってしまうことでしょう。
『養子になるには、どこかの国の国籍などが必要なんじゃないの?』と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
その疑問は、ごもっともなのですが、海外生まれの無国籍の子供が、日本人の養子として裁判で認められたケースがあります。
それをもとに、無国籍状態でも養子として認めて貰う裁判を起こせば、認められる可能性があります。
『養子にしてくれる親類、知人がいないor理解が得られなかった』場合は、仕方ありません。
TS後の肉体的異性、TS前の肉体的同姓と結婚するしかないでしょう。
心配しないでください。
なろうではなく現実であれば『精神的BL』や『精神的GL』キーワード登録は必要ありません。
「こ、これは国籍を得るために仕方なくやってるんだ。こ、こいつのことなんて何とも思ってねえし!」なんて言い訳しながら、どんどん幸せになってしまってください。
ここでもやはり『結婚するには、どこかの国の国籍などが必要なんじゃないの?』という問題が出てきますが、乗り越える方法はあります。
本来、日本人と外国人が日本で婚姻する場合、その他国が発行した『その人物が独身であることを示す』『婚姻要件具備証明書』が必要になります。
しかし、日本と国交がない国の場合は『なぜ発行出来ないのかの理由を書いた』『申述書』という書類を作成することで、婚姻することが出来ます。
この制度を利用して、婚姻を行える可能性があります。
無事、養子、もしくは日本人との婚姻が行えた場合、日本への簡易帰化申請を行うことができます。
簡易帰化は条件が緩和されている上に、比較的認められやすいため、日本国籍を取得出来る可能性が高いです。
・色々頑張ったけど、全部無理だった。もう現行法では対応不可能
上記二つ、
・元の自分だと証明しないと無国籍状態になってしまうケース
・元の自分だと証明するのは不可能。どうすれば無国籍が解消される?
で挙げた方法は、現行法と制度の範囲内で、TSの結果生じた無国籍状態を解消出来る方法を模索したものです。
しかし、いずれも行政もしくは司法の柔軟な対応に期待する形になっており、確実性はありません。
あらゆる手を尽くしても、TS後の公的身分を獲得出来なかった場合、政治に頼るしかないでしょう。
かといって、手近な地方議員事務所に駆け込むのはおすすめしません。
おそらく相手にされないか、相手にされても、その政治家が法改正するほどの力を持っているとは限らないからです。
『法的に誰でもない人』でいることが、耐え難いほど苦痛であれば、いっそ公にしてしまうのも手かもしれません。
どうにかしてTSした事実を証明し、有名になれば、政治家の方から接近してくるはずです。
なるべく与野党問わず幅広い政党の発言力の強い政治家を味方につけ、法改正を行ってもらいましょう。
それでも不可能であれば、他国に渡る選択肢も出てきます。
日本より国籍管理が厳密な国の方が少ないので、密出国、密入国をいとわないのであれば、生きていく方法はあるはずです。
そこで現地の方と結婚や養子縁組などが出来れば、国籍を得る事ができるでしょう。
お読みいただきありがとうございます。
次回は、TSと結婚をテーマに書こうと思います。
もしよろしければ、次回もお付き合いいただけますと幸いです。