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人間と鬼の赤ちゃん
「人間の成長は、なぜあんなに遅いの?」
ふいに思った私は、母様に尋ねた。
だって、生後半年と言われる私は、すでに立って歩くことができる。
そりゃ、父様や母様みたいに、高く飛んだり、鬼火を出すことはできないけれど…
今はまだ、母様から生気を貰って、飢えをしのいでいる。
そう考えると、人間の赤ちゃんと、あまりかわらないのだろうか…
「人間はね、すぐには自分で立ち上がることや、生きる術を持って生まれてはこないのよ。だから、母親が子供が大きくなるまでは、側にいて面倒を見てあげているのよ。」
母様は、私の疑問には、いつも優しく丁寧に教えてくれる。
母様は本当に優しい。
父様も、鬼らしくない母様が、とっても大好きなんだって。
でも、少し人間が羨ましい。
だって、私たち鬼は…
3歳になれば、ある程度自分で生きていく必要があるから…