13.しかし、作りこみとは何をどうすればよいのか
さて、前回で、小説を感情を乗せた文章で書き、完結まで満足のいくものを書きあげるという作業を私が出来ないのは、作りこみが未熟だから……という結論が出たのですが、そこで、はた……と、止まってしまったわけです。……作者は、元々、絵で想像する派で、文章を書きながら想像することが(出来ないわけではないのですが)苦手です。読みながら想像は、出来ますが、それでも絵のようにがっちりと固定した想像になることはほぼ無いので、文章を書きながら起こす想像は、作者にはどうしてもふわんとした、要所要所がぼやけた印象の想像になってしまいます。詩ならそれでも、雰囲気で貫ける部分もあったと私は思っているわけですが(詩でも設定を練っている方は数多くいらっしゃるのかもしれないです、飽くまでも自分は……なのですみません……)、一話で完結の詩ならばそれでも良かったと思っていたのですが、小説ではそういったわけにはいきません。ぼやけた想像のまま進んでしまうと全体がどこかふわんとした、曖昧な雰囲気でにごってしまい、全くリアルではなくなり平べったい印象となってしまいますし、キャラクターも生かすことが出来ず薄っぺらいことになってしまっています。ただの設定語りになってしまっていて、キャラクターや、周りの環境を生きたものとして想像の中でリアルに扱うことが出来ていないからこそ、起きる弊害です。早急に作りこみの問題をなんとかしなければなりません。
想像するにはどうしたらよいのか、私もいろいろ考えました。ノートに設定を書いてはどうか?とか……でも、私は、文章での想像に慣れていないんです。では、絵をかいて想像はどうかとも考えてみましたが、それだと、文章に起こすときに苦労しそうです。それで、思いついた方法が、ひたすら、主人公の周りから円状に相関図を作り、関係性を詰めながら、年表を作成することでした。これで、主人公と周りのキャラクターの相関図と大まかな人生の俯瞰が出来るわけです。そこで関係性などをより細かくしていき、その後、気になった部分だけチェックしたものをより細かく分解し、主人公の多面的な性質の中でも描き出したい部分をあぶり出し、重要点にしておく→そこから事件などに結びつくエピソードなどを付け足し、年表と合わせて主人公の内面及び、外面に対するものの想像をリアルに突き詰めていきます。
環境側の歴史も同じです。年表を作り、それに合わせたエピソードや建物などを建築しながら、環境のリアルを想像していく。この辺りが難しかったら、何かしら歴史の年表からヒントを得ても良いかもしれません。この作業の一番の目的は、世界観とキャラクターを生かすためにリアルな想像を無理なく出来るようになることなので、実際に小説内にその歴史などが全て提示されなくとも構わないわけです。
さて、この実験的な試み、上手くいくでしょうか……。
少々途中からとなってしまいますが、今連載中の作品が二本あるので、それらにこの方法を当てはめてみて取り組んでみようと思います。今、継続中の連載は、『液』というホラーと、『不完全な神様』というSFもどきですね。取り組んでみようと思います。