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猟奇的なマリア  作者: 作家椿
7/7

元妖精による簡易な手記

 この膨大な『遺書』を発見した私は、彼女を一片たりとも理解していなかったことを、今でも痛感している。この『妖精』のような小さな体には、彼女は大きすぎたのだ、と。

 私は、フェアリィであることを捨て、元の、フェリシティ・ヘンダーソンへ戻った。

 浜坂家の人間は、国も何もかも違う私を、娘の忘れ形見として扱い、ロンドン並みの過密都市であるこの日本の都市でも、かなりのステータスシンボルになるであろう、広いアパートメントに住まうことを許され、彼女の亡骸があった部屋に、私は寝泊まりしている。

 郊外にある大学に四年通い、先日卒業し、明日になれば、とある私立の学校で、英会話の教師としての初舞台が待っている。

 血のあぶくを吐きながら、最期、リリウムと私は、お互いにじっと見つめ合った。

 彼女は、この遺書では「私を呪って」となっているが、「私を救って」と、私に伝えた。声もなく。

 私は、彼女を呪えない。

 そして、彼女を救うことすら、できなかった。

 ……呪うより救う方が、よほど簡単だったというのに。


よろしければ、Kindleにて販売中の同作品を手に取り、縦書き、ルビ付き、傍点付き、の読み応えを体感してくださいませ。

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