ドライブ/Fly Me to THE moon
夜の国道は
滑らかに前進
まばらなテールランプ
背の高い街灯
遠くへ行きたい、
私のわがままに
車を北へ走らす君は
なんだってお見通し
助手席で体育座り
地上から少し
遠ざかりたくて
目に飛び込む
まだこれからな街の光
喧噪を遮断するパワーウィンドウ
落ち着いた声の
ラジオパーソナリティ
巨大な子守歌に包まれ
ただ流れる景色を見てる
帰れない場所なんて
ここにはもうないって
知ってるけど
君は迷いのないハンドルで
北へ北へ
渡れない海が近づいて
薄着の観光客の熱
誰かの非日常を味見して
夢の端っこを齧って
その続きが欲しいわけじゃないけど
サイドミラーで別れを告げる旅
帰り道には目を閉じるから
君はそのまま
北へ北へ
海を渡って
空を越えて
月にだって連れてってみせて
夢の端っこを齧って
その続きが欲しいわけじゃないけど
薄い瞼の向こう
子守歌をうたうことを止めないで