9話 ファイトオークション 2
『ファイトオークション』
出品された品を入札者同士が戦って勝利し手に入れる、ゲンベルの一大イベント。
値段は出品価格+手数料など。
高く売れるものは商人などに売らずこのオークションに出品した方が高く売れるため出品物の多くは価値の高いものや珍しいものが多い。
入場料を払えば誰でも観ることができる。
ポーーーン
『ファイトオークション優勝戦が間もなく始まります、観戦受け付けをお済みのお客様は観戦ゲートへお越し下さい』
俺はなんとかトーナメントを勝ち上がり遂に優勝戦までやってきた。
いよいよだ、負けることはできない。
「ジャック、頑張って!」
「あぁ」
サラに力強く頷き、そして入場ゲートへ歩みを進めた。
優勝戦で戦う相手は『雷斧のドルフィノ』。
出品物には興味がなく、ただ戦いたいが為にエントリーしているある意味危険な奴だ。
過去にドルフィノに殺されたものもいるという。
「さぁー、ファイトオークションの中で最も注目の試合が今始まります!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
会場は試合開始前だというのに熱気と興奮に包まれていた。
「まずはファイトオークション初参加で優勝戦まできた期待の新星ジャック・ハザード」
「「おおおおおおお!!」」
観客がいけー!頑張れよー!などと声援を送る。
「そして期待の新星の相手は『ファイトオークション』で負け知らずどんな相手も叩きのめす狂気の雷斧ドルフィノ・ルジェード」
「「うおおおおおおおおおおおお!!」」
さっきよりも観客の声が強くなる。
「さぁさぁそれでは、出品物を賭けてーーーレディーーーファイト!!」
「おめぇが初参加のひよっこか。まぁどうせ運が良かったってだけだろうがな」
「果たしてそれはどうかな?」
「ハッ!その証拠今見せてやるよっ!」
バチバチと大振りな斧を雷が包む。
「トネールベイル」
雷をまとった大振りな斧をジャックめがけて振り下ろす、当たった地面は落雷が落ちたかの如く割れていた。
「ほぉ、こいつを躱すとはなかなかやるじゃねぇか」
「見た目の割に動きが速いからびっくりはしたが躱せない程じゃないな」
「ほぉーじゃあこいつはどうかな?トネールダローガ」
斧を地面に叩きつけると同時に雷が地面を走る。
「フレイムヴォルフ」
ジャックが振った剣の先から炎の狼が出現し迫る雷に向かって突進する。
「なにっ!?」
狼は雷を飲み込みそしてドルフィノに当たって爆破した。
観客達がどよめき出す。
「へへっ、ただのひよっこだと思ったら違ったようだな、おめぇ何もんだ?」
直撃をする寸前ドルフィノは斧を盾代わりにしダメージを抑えていた。
「俺が何者か…『今』は護衛だ『昔』は知らん」
「へっ、なんだそりゃ。まぁ勝ち負けにそんなもんいらねぇか。じゃ俺も反撃と行かせてもらうぜ」
「トネールキャージュ」
地面から雷が出現しジャックの周りを囲う。
「2年前これを使って相手を殺しちまったがお前は死なねぇと期待してるぜ」




