8話 ファイトオークション 1
「『ファイトオークション』?」
「そう。まぁ簡単に説明すると出品されてる品を入札した者同士が戦って勝ちとるこの街独自のオークションってことよ」
「でもなんでそこに出されてると?この街なら他にも売る方法が」
「『ファイトオークション』で売った方が高く売れるのよ」
そういうとマスターは何かを描き始めた。
「はいこれ、『ファイトオークション』の場所」
手渡された地図を見ると開催場所は街の中心部だった。
「言っておくけど開催は明日よ。覚悟はできてるの?」
「あぁ」
「盗まれた物が何かはわからないけど、物によっては相当な実力がないと死ぬわよ」
「今の俺がどこまで戦えるのはわからないけど大丈夫だ」
「そう、なら入札受付はまだ締め切ってないはずだから早くいってらっしゃい」
マスターはそれ以上は何も言わず俺たちを見送ってくれた。
街の中心部には『ファイトオークション』と書かれた立派な看板を掲げた立派な建物があった。
建物の周りは人でごった返していた。
「ねぇジャック…」
「大丈夫だ」
何か言いたげなサラを制止して建物の中に入る。
中は2階建てになっていて1階は、受付や出品されているものを確認できる掲示板などがある広いホール。
2階は会場に続いているであろうやや大きめの扉がたくさん並ぶだけの場所。
開催が明日ということだけあって中も人でごった返していた。
サラとはぐれないようにしながら掲示板に近づくと一番上の注目商品欄に探していたものはあった。
注目商品だけあって入札人数はかなりのものだ。
受付の人の説明によると戦いはトーナメント方式、値段は出品価格に手数料などを上乗せした金額らしい。
なんとか手持ちの金額でいける値段でホッとした。
受付で入札を済ませ外に出ると、隣ですっかり落ち込んでいるサラの頭を撫で
「大丈夫だ、俺に任せろ。サラはいつもの笑顔で応援していてくれ」
とはげました。
「うん、ありがとう。ごめんねなんか信用してないみたいで」
「いや構わない。まだ信用されるほど一緒に旅してないもんな」
「…あのさ勝ってサラの大事なペンダント取り戻せたら少しでいいから俺の事信用してくれたら嬉しいなって思うっていうかその」
後半なんか気恥ずかしくなって口ごもってしまった。
「大丈夫、ジャックの事信用してるから。勝ったら信用が増すだけだから」
「だからさ頑張って!」
そう言って俺にいつもの笑顔を向けてくれた。
「ありがとう絶対勝つな」
俺も笑顔で返そうと思ったがなかなか難しいものだ、変な顔だとサラに笑われてしまった。
『ファイトオークション』開催まであと1日




