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Dragon Holy war 〜黒の傭兵と竜の巫女〜  作者: 笹みりん
第2章 フォレス王国
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25話 いまやるべきこと

 「だがな数日前の夜、この団長室に一人の男が現れた。そいつは気味の悪いくらい真っ黒な甲冑を着て部屋の暗がりから忽然と現れるようにワシの前に出てきた。誰だと聞いても応えは返ってこず、ゆっくりとこちらに近づいてくるからワシは机の脇にいつも置いてあるハンマーを手に取り、その男にこれ以上近づくならばその甲冑ごと叩き割るぞと向けて見せた。

それなのにそいつは歩みを止めず、遂にワシの前にやってきた。

そしていつでも相手を攻撃できるよう構えていたハンマーに片手を置き、お前は俺を攻撃することはできないと低く暗い声で初めて言葉を発した、その言葉の通りワシはそいつの圧倒的な強さに臆し、どうにか逃げられないものかと思案していたんじゃ。

だがもうワシに出来ることはない殺される、そう思い覚悟を決めたがそいつは不思議と攻撃をして来ず、その代わりにワシにこう言った。

『数日後、この街に暗い赤髪の男と銀髪の女がやってくる。どんな形でもいい、暗い赤髪の男にだけお前のその力について話せ、銀髪の女には絶対聞かれないようにしろ』

と、何故そいつがワシの力の事を知っていたのか、何故お前にだけ話すように言ったのか。

こっちが質問しても何も応えてくれず、ただ一言『この先、そいつに必要な情報だからだ』とだけ応え、来た時とは逆に闇に消えるように姿を消した。

ワシがお前に話せるのはこれで全てだ」


 話し終わると同時にクレイ団長は深く息を吐き、俺を見た。

 「で、お前さんはこの話を聞いて何か参考になったのか?」

 自分の秘密をすべて話した以上、何の参考にもなりませんでしたとは言わせないぞ、そう言いたげな目でじっとこちらの返事を待っている。

 正直、今の俺には何をどう理解するのが正解なのか、何をどう話せばいいのかよくわからない、だから思ったことを正直に話すことにした。

 「そのマギナスという力を団長に与えた奴は、恐らく他にも力を与え仲間にした者がいます。そしてそいつとその仲間は俺やサラがいずれ戦わなければならない相手…なんだと俺は思います。戦うことで何を得られるのかはさっぱりわかりませんが。黒い甲冑の男については今は俺には何とも言えないです」

 「そうか。今は分からずともいずれは必要になる情報らしいからな、覚えておくんじゃぞ。ワシは二度も話すほどお人よしではないからな」

 そこまで言うと団長は机の引き出しから1枚の紙を出した。

 「もし、お前さんの考えが当たっていたらワシらはいずれ敵同士となる身。これは退団書じゃ、敵から教えを請うたり、敵に自分の力を晒すのは嫌じゃろう?すぐに書けとは言わん。明日お前さんと後一緒に来た仲間の名前を書いて出してくれ」

 ほれと俺に紙を差し出してくる。

 俺はそれを受け取り…破いた。

 「退団書なんて書きません。今のお話を聞いて気づいたことがありました。敵だろうとなんだろうとあなたは最強の傭兵団の団長、今の俺にはあなたの教えが必要なんです。あなたくらい強くなる必要があるんです。でないと先には進めない、そして俺の過去について少しでも手掛かりのある情報を教えてもらわないといけない」

 団長は最初は驚いた様子だったが、

 「これはすごい奴が入団してきたもんじゃ」

 と満面の笑みを浮かべた。

 「クレイ傭兵団の中で一番教えがいがありそうじゃな」

 と俺が破いた紙を拾い上げながら言ったその時、一人の団員が慌てた様子で部屋に入ってきた。

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