24話 契約
『あの日、ワシはディルファール平原で国を裏切り近隣の村々を片っ端から破壊し、残虐の限りを尽くしていた傭兵団と戦っていた。もちろん兵力はこっちのが上だ、負けるなんてことはないと思っていた。
なんせワシらは最強の傭兵団じゃからな。
あのな傭兵は金をもらえれば何でもする、あいつらも最初は国から金をもらい雇われ用心棒的なことをしていたんじゃ。だが次第に国からもらえる額が減ってきてのう、どうにか金額を戻してくれるよう頼んだそうだ。しかし額は減る一方仕事は増えに増えてな、結果国を裏切り、国に品を送っている村々を襲いだしたというわけじゃ。
話をディルファール平原での戦いに戻すが、当時ワシらはそんな国に雇われるくらい強い傭兵団をなめていた。いくら強いと言っても国を裏切るような奴らじゃ、言うほど強くはないだろうとな…。だがそれは間違っていた、兵力では上のワシらが押されに押され負ける寸前まで追い込まれた。そう、力を技で追いこんだんじゃ。奴らはそれだけワシらより経験を積んでいるということ、最強の傭兵団などと言う肩書きに驕り高ぶり力を磨くことを忘れたワシらに勝ち目なぞ最初からなかったのじゃ。
…そしてワシは敵の剣に貫かれ倒れた。
あぁ死ぬんだなと薄れゆく意識の中目を閉じようとしたその時、声が聞こえたんじゃ。
⦅イキタクハナイカ?イキテホントウノサイキョウヲメザシタクハナイカ?⦆
と、だからワシはそいつに言った。
『生きたい、ワシはここで終わりたくない』
すると辺りが真っ暗になり風が吹き荒れた。ここでワシの意識は途切れた。
目を覚ました時には、その平原で生きている人間はワシだけじゃった。何が起こったのかわけがわからぬままフラフラと近くの村へ行くと、村人たちの胸のあたりに数字が浮かんで見えた。村人たちに聞いても何をこいつは言っているんだと言いたげな顔をされるばかりじゃったよ。ワシも最初は頭がおかしくなったかと思った。だがなその夜、あの声がまた聞こえてきてこう言うのだ。
⦅オマエノカタメハ マギナス 二ナッタ。ソノメニウツルスウジハ、ソノニンゲンノチカラノツヨサ。ソノチカラヲツカイサイキョウヲメザセ。ダガドウジニオマエハワタシノモノトモナッタ。イズレハソノサイキョウヲワタシノタメニ、ツカッテモラウゾ⦆
マギナスとはなんなのか、お前は誰なのか、なぜワシに力を与えたのか。聞きたいことは山のようにあったがそれ以降声は聞こえなくった。
そして月日は流れ、ワシはマギナスの力で本当の最強の傭兵団を作り上げたのじゃ。
力に頼ろうと、ワシが望んだ傭兵団を作ったんだ。』




