21話 クレイ傭兵団
「ここがフォレス王国か」
大きな街の割に守る壁は低く、威圧感はあまり感じられない。
その代わりに街の外や中には傭兵団の拠点が点在している。
「なんか武装した人たちが多いねー」
「そりゃこの街は『傭兵王国』って言われるくらい、傭兵団の拠点がたくさんあるっすからねー。このくらい武装した人が多くても不思議じゃないっすよ」
そういうと一軒の建物を指差した。
「あそこは自分がどこの傭兵団に行くか迷った時行くといいとこで、空きがあるのかとか、自分の実力で入れるのかーとか色々教えてくれたりもするんっすよー」
「なるほど、ディーンは詳しいようだがこの街にきたことがあるのか?」
「まぁ、数回ほど傭兵団に入ろうと思って来たことがありますね」
苦笑いしながら頭をぽりぽりとかく。
「俺、エレメントは弱いわ剣の腕はたいしてないわで結局入れなかったっす。でも兄貴なら『クレイ傭兵団』にもすぐ入れそうですよねー」
「クレイ傭兵団…」
そう言えばリッムルテの湖で戦ったやつがそこにいた…とか言ってたな。
「なぁディーン、その『クレイ傭兵団』ってどんなとこなんだ?」
ディーンがびっくりした顔をする。
「えっ、兄貴『クレイ傭兵団』を知らないんっすか?!この街最大にしてこの大陸最強の傭兵団っすよ」
「そうなのか…」
最強の傭兵団、ということは俺の過去を少しでも知っている可能性があるということか、ダメ元でも行ってみる価値はあるな。
「その『クレイ傭兵団』の拠点場所は知ってるか?」
「えっ!兄貴まさか『クレイ傭兵団』に入る気ですか?」
「ジャックそれ本当?!」
2人がぐいぐいと詰め寄ってくる。
「あっ、いや入るってわけじゃない。ちょっと聞きたいことがあってな」
「聞きたいことねー、一応場所くらいは知ってるっす」
街のはずれまで行くと広い敷地の建物が見えた。
「ここが『クレイ傭兵団』の拠点っす」
「凄い大っきい建物だねー」
クレイ傭兵団の拠点は、大きな建物といくつかの小さな建物が固まった場所と大勢の人が集まっても問題ない広さの庭があった。
「流石、この街最大の傭兵団だけあるな」
3人で建物の前で関心していると入り口から武装した1人の男が現れた。
「おいお前達、ここに何か用があるのか?」
「はい、『クレイ傭兵団』のリーダーに会いたいのですが」
武装した男が疑い深く3人を見る。
「まぁ、この街じゃ直接志願してくるやつも珍しくないか、とりあえず入れ」
武装した男を先頭に俺たちは建物の中に入った。




