20話 新たな仲間
翌朝、村長とレティーが入り口まで見送ってくれた。
「二人とも、フォレス王国は広いし人も多いから気を付けてね。迷子になると大変だよ」
前に両親と行ったことがあると言っていたが、きっとその時はぐれて大変な目にあったのだろう、もの凄い真剣な目でこっちを見てくる。
「それとそれと、ジャックさんはサラに変なこととかしちゃだめだよ」
なぜか小声で怪しむような眼で言われた。
「なんもしねぇよ、大体二十代の俺が十代の女の子に手を出すつもりで一緒に旅してるとか大問題だろ」
「それもそうね。でも即答されるとなんか怪しく感じちゃうわー」
ニヤニヤといたずらっぽく笑う。
「何話してるのー?」
サラが混ぜてほしそうな顔でこちらを見る。
「なんでもない、それより早く出発しよう」
「えー、気になるー」
後ろを不満そうな顔でついてくる。
「村長さん、レティーまたこの辺に来ることがあったら必ずよるんで」
「お気をつけてー」
村長とレティーが入り口でいつまでも手を振ってくれていた。
「よかった。これで皆また平和に暮らせるね、次行った時は綺麗な村になってるのかー楽しみ」
「そうだな、派手な歓迎を受けそうだが」
村長さんは村を救ってくれた英雄の話を湖の話とともに語り継ぐと言っていた。
きっと次行った時はゆっくり出来そうにもないな。
ガササッ
手前にある小さな茂みが揺れた。
「うさぎさんかなー?」
サラが茂みに近づく。
「サラ、盗賊とかだったら危ないだろ。離れろ」
「でもこんな小さな茂みに隠れなくても、他にも大きい茂みもある…うびゃあああああああーーーー!!!!変態だー!!」
サラが猛ダッシュで俺の後ろに隠れる。
「変態とか酷いっすよー」
茂みの中から緑色の物体が現れた。
「兄貴がここを通ると思って、待ち伏せしてただけなんですよー」
緑色の物体が顔を覆っていた布を取る。
布の下から金髪の端正な顔立ちをした青年が現れた。
「あーーーっ!この人、この人だよジャックを助けてくれたの」
「えっ…そうなのか」
こんな変な格好をして待ち伏せていただの、初対面なのに兄貴とか言い出すだのなんか複雑な気持ちだ。
「俺、兄貴の戦いを全部見てたっす!マジで格好よかったっす!俺を弟子にしてくださいっ!」
そう言うといきなり土下座をした。
「いや…俺弟子とかとってないし、いきなりそんなこと言われても困るというか…」
「なら、しばらくお供させてください!俺は諦めないっす!!」
素早く立ち上がると手をガシッと握りしめてきた。
「え…あぁうん」
なんか面倒なことになりそうだが、助けてもらったから断るに断れない。
「よっしゃ!俺ディーンって言いまっす!よろしくお願いしますっ!」
「俺はジャックだ」
「私はサラ、よろしくね」
新たな仲間を加え、俺たちはフォレス王国を目指した。




