18話 湖と村を救うため
敵が構えた剣先を地面に突き立てる。
「避けられるかな?」
「?!」
ジャックの足元から鋭くとがった土が飛び出す。
「ぐっ…」
わずかに反応が遅れ、わき腹を鈍い痛みが走る。
「ほーこいつを避けるたぁ、村長もなかなかの奴を送り込んできたもんだ」
ニヤニヤと笑いながら再び剣を地面に突き立てる。
「最初のは避けられた、だが今度は避けられねぇぜ」
二本の土の槍が地面から飛び出す。
「避けられそうにねぇからこうしてやるぜ!」
「なにっ!?」
ジャックの周りに炎の風が吹き荒れ、足元の地面を抉りとっていく。
その勢いで土の槍はボロボロと崩れ落ちた。
「ハハハハハハハハ。なかなかスゲェことやってくれるじゃねぇか。俺が今まで戦ってきた相手とは全然違うぜ」
「そいつはどうも。俺もそろそろ反撃させてもらうぞ」
炎をまとった短剣を二本、敵に向かって投げる。
「ハッ、それが反撃とやらか?」
「どうだろうな」
「なっ?!地面から炎が?」
敵の足元の地面が割れ炎が吹きだす。
「あんたの土の槍が地中にあけた穴を利用させてもらったぜ」
「くっ」
敵が土の柱を作り上へ上がる。
「さすがにここまで上がりゃあ炎は来れない。しかし今のは効いたぜ、まさかあんな手があるとはな『クレイ傭兵団』にいた頃以来だこんな手こずったのは」
「クレイ傭兵団?」
「お前知らないのか?フォレス王国に数ある傭兵団の中でも最大にして最強の傭兵団を?」
「あぁ」
「ハッ、どこぞの小さい街のことならともかく今時フォレス王国のことを知らねぇやつもいるんだな。まぁ別にどうでもいい話か」
土の柱から槍の形をした土が次々と現れる。
「俺の最大の技だ。さすがにこれを避けることはできねぇよ」
敵があげていた手を下すと同時に土の槍が次々とジャック目掛け降り注ぐ。
「流石に全部は避けられないなこれは」
ジャックを囲むように吹き荒れる炎の風と土の槍の雨がぶつかり合う。
壊れた土の槍の破片が体に突き刺さる。
「どうした?反撃してこねぇのか?」
「フッ、反撃ならとうにしてるさ」
敵が下を見ると炎の竜が柱を伝い、目の前に迫っていた。
「そこなら逃げ場はない、俺の勝ちだ」
炎の竜が敵を飲み込み燃え盛る。
「ぐあああああああああああああああああああ」
敵は煙をあげながら地面に倒れた。
「ジャック!大丈夫?!」
サラが駆け寄り傷の手当てをする。
「サラ、ありがとうな。いつも治してくれて」
「ううん、私こそいつもありがとう」
「とりあえずこいつをどうするかは村長に任せるか」
湖まで戻るとそこはただの大きな穴でなく、きれいな水で満たされ水のエレメントが周りで輝いていた。
「よし、報告しに行くか」
「そうだね、すっごい喜ぶよ」




