14話 リッムルテへ
―翌朝
「気を付けてね。サラちゃんをしっかり守るのよ」
「言われなくても」
マスターとしっかりと握手を交わす。
「また立ち寄ることがあったら必ず行くんで、それと食料や装備本当にありがとうございます」
「いいのよ~あなた達とはまた会えそうな気がするし」
ほつれたり刃こぼれした装備の修理、それと充分すぎる食料をマスターは無償で提供してくれた。
お礼は旅の話でいいと言うが本当感謝してもしきれないくらいだ、旅の話とは別に何かマスターに合うものを探してみよう。
「それじゃ」
「マスターさんありがとうございました―」
「いってらっしゃい」
手を振るマスターの姿がだんだん遠ざかっていく。
しばらく行ったとこで振り返るとゲンベルの街はかなり小さくなっていた。
「結局俺を助けてくれたディーンという盗賊とは会えずじまいでだったな」
「そうだねー、お礼言えればよかったんだけど」
ファイトオークション開始前に何件かマスターが教えてくれた酒場に行ってみたが全て空振りで終わってしまった。
もともと家を持っていないため情報も集まらず結果として今日を迎えてしまったのだ。
「次ゲンベルに行った時その人が覚えていなくてもきちんとお礼言えばいいよ」
「そうだな」
マスターもまた会える気がすると言っていた、今はまたあの街に行くことがあると信じよう。
半日ほど歩いたところで街道沿いに小さな食堂を見つけた。
「いらっしゃーい」
中に入るとテーブル席が3つとカウンター席が4つ、テーブル席は全て埋まっていたのでカウンター席に座った。
「今日のサンドってやつを2つ」
「はいよ、今日はリッムル牛のサンドだからね」
そういうと店主の女性はテキパキと作り始めた。
「あの、ここの街道ってリッムルテ以外にも行けたりするんですか?」
「いや、ここは今リッムルテ以外にはいけないよ。本当はリッムルテを通ってフォレス王国へ行けたんだけどね~なんか変な集団に通行妨害をされとるんだってさ」
「そうなんですか」
店の中や外に結構人がいると思ったがどうやらフォレス王国に向かおうとして引き返してきた人達っぽい。
「はい、今日のサンドよ」
机の上に新鮮なレタスと肉がたっぷり挟まったサンドが出てきた。
「おいしそう―」
サラがサンドをゆっくりほおばっている間に自分は早めに食べ終え、外にいる人達に情報を聞いてまわった。
話してくれる内容はどれも店主が言っていた通行妨害に関するものばかり。
どうやら直接行ってみるほか手はないようだ。
金を払い店を出て、4時間ほど再び歩いたところでリッムルテと書かれた小さな看板が見えた。
すぐにでもその場所に行ってみたいとこだが今日は辺りが暗くなってきている、行くのは明日にした方がよさそうだ。




