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47.リクレス城――29

「――ん?」

「どうしました?」

「いや……俺もよく分からん」


 一応俺たちの派遣は非公式だから、関所は迂回してリクレス領へ戻る。

 境界を越えて少し進んだとき……どこか、違和感のようなものが引っかかった。

 ……何かあったのか?

 いやに落ち着かない気持ちを抑えつつリクレス城へ急ぐ。

 その途中、通りかかった林に余所者(、、、)の気配を感じた。

 背負っていたリースをそっと降ろす。


「怪しい気配を感じた。様子を見てくる」

「分かりました。お気をつけて」


 気配を消して忍び寄ると、そこでは何者かが見張りを立てて拠点を設けていた。

 相手が誰かは分からない。

 だが、その様子はベムテ領で賊を装っていた連中とよく似ている。

 ――ならばやる事は一つ。


「ッ――!」

「ん、どうし――」

「な、何事――」


 こちらの姿は隠しつつ、見張りを一人一人潰していく。

 そして拠点に侵入し、残っている人員も全員処理する。

 カルナの協力で相手の昏睡をより深くし、装備を剥いで軽量化したうえで城まで引きずっていくことにする。


「! シオンさん、これは」

「ああ。たぶん侵入者だ」

「……運ぶの手伝いましょうか?」

「……そうだな。二人でいいから頼む」


 改造後の姿なら背中に乗せてまとめて運べたんだが……。

 どうでもいい事で過去を思い出しつつ、左右の肩に四人ずつ積んで改めて帰路を走る。

『なんダい、キミが望むならボクはいつダって――』

 結構だ。

 最後まで言わせず悪魔の囁きを断ち切り、先を急ぐ。

 ……また別の林に余所者の気配。


「どうしたもんかな……」

「シオンさん?」

「また怪しい気配がするんだよ。ただ、これ以上荷物を増やすのもな……早く帰りたいし」

「また、ですか……」

「ああ。ほんの一日サボっただけで不審者ってだいぶ入り込んでくるもんだな」

「えっと……? すいません、少しなに言ってるのか分からないです」

「ミア様の指示でな。普段は適当に時間を作って領外に捨ててるんだが……」


 不自然に村を避ける余所者を、城から感知できる範囲内に確認した場合排除するという内容。

 つまり普段は今回みたいに対処した連中をカルナに差し出してるわけだが、ベムテ領でこなしてきた任務の内容もあって一応城で見てもらった方が良い気がしている。

 ただ不穏分子を見過ごすのもまた気が咎めるわけで……。

 ああ、ちなみに当然だが明らかにクロな時以外は余所者でも様子を見たうえで判断している。誰彼構わず悪魔の犠牲にしてるわけじゃない。

 ……まあ大概は密猟者だったり犯罪者だったりで似たような末路になるんだが。


「よし、決めた。新しい不審者は一度無力化したうえでその場に置いてくる事にする」

「分かりました。……私は先を急ぎますね。シオンさんの足を引っ張るわけにはいきませんから」

「別に気にしなくてもいいんだが……ま、行ってくる」


 案の定何かの部隊っぽかった連中の意識を刈り取り、簡単には目覚めないようにしたうえで適当に縛り上げる。

 改めて最初に捕らえた不審者を担ぎなおし、城へ走る。

 途中で追いついたリースと共に城へ帰還した。


「――と、そんな感じです」

「分かりました。お疲れさまです」


 まだ仕事をしていたエストさんに報告を済ませる。

 そのあと検分してもらったところ、今回の余所者2グループはどちらもベクシス帝国に所属するものだったらしい。

 連邦だけじゃなく帝国も動いてるのか……本当、勘弁してほしいものだ。


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