1―2☆
予定より早いですが投稿します
side海月
剣道部での瑠奈の様子を少し見てからまっすぐ家に帰り、家についた。
俺の家は2階建てのマンションで、一人と一匹で暮らしている。
一人はいわずもがな俺、そして一匹というのが―――
「ただいま」
「ニャー!」
タタタッと床を駆ける音と可愛い声共にやってきたこいつ。
小さい頃に瑠奈と一緒に遊んでいた時に捨てられていた猫を拾ってそのまま俺の家で世話をしている。
―――今思えばあれは捨てられていたというより迷い込んだと言った方が言い当て妙なような気がしてくるが。
まあそれはともかく、いつも家に帰って来た時迎えに来てくれたり、すごく俺に懐いてくれている可愛い猫だ。
名前はレヴィン、どこの外人だとツッコミたくなるような名前だが俺はとうにその名前に慣れてしまっている。
俺は名付けてないぞ?
俺はもっとネーミングセンスのある男だからな。
レヴィンを拾った時は、名前をつけるだけにすごい時間もかかったし、楽しかった思い出がある。
それは確か俺らが小6だった頃―――
◇
「瑠奈、俺がこいつの面倒をみるよ。一人暮らしだし、マンションの管理人さんも優しいしきっと許してくれる!」
見つけたのは瑠奈だけど、この猫すっごい可愛い!家にほしい!
瑠奈のことだから俺が面倒みることは反対しないだろうけど、
管理人さん許してくれるかな……
「海月は猫好きだもんね。私はいいよ。 そういえばこの子名前……」
瑠奈はそういってさっき拾った猫に近づき、首を傾げて尋ねた。
「お名前いえるかなー?」
「……」
「いや、通じねぇから!」
猫に日本語なんて通じるわけないだろ!?
しかも迷子に優しく語りかけるお姉さんのように。
なんでこんな時まで天然爆発してんだよ……
「あ、そっか。日本語じゃわかんないよね。えっと……」
瑠奈は少し考えてから、きりっと顔をひきしめ言った。
「わっちゅわねー……」
「アウトー!」
「ニャッ!?」
あ、やべ、大声だしたからビクッてなったじゃないかこいつ。
いやしかし動物相手に日本語駄目なら英語とか……こいつやっぱ駄目だわ。
「む……何でとめるの?」
瑠奈様はまだご不満な様子。
「人間の言葉が通じるわけないだろ!?それぐらい分かれよ!」
「……? この子、ちゃんと言葉理解してるよ……?」
……は?こいつの天然はどこまでいくんだよ……。
「ついてけねえ……。 いいから、俺らで名前決めようぜ!」
俺が会話の主導権握らねえと終わる気がしない。
「そーだな、タマとかどうだ?呼びやすくていいだろ?」
「海月、この子にそんな変な名前つける気なの?」
「変な名前……だと……っ」
くっ……即興で考えたとはいえ、呼びやすくていいと思ったのに!
「それなら瑠奈が考えろよ!俺はもう考えないからな!」
もう俺は怒ったぞ。瑠奈に責任放棄ってやつだ。
「海月短気……ププッ」
瑠奈は口に手の内側を添え、俺を馬鹿にする。
いちいちむかつく!
「いいから!はやく考えろよ!」
瑠奈は手を顎におき、じっくりと考え込む。
「んー……。 レヴィン?」
「それどこの外人!?」
いやいや、俺のネーミングセンス馬鹿にできないだろこいつ!
なんだよレヴィンって、呼びやすいけど!
……よく考えたら少しかっこいいかも?
「ミャー」
なんかこいつも喜んでるしそれでいいかもな。
「はぁ……。名前考えるのにすごい疲れたんだけど。まあいいや、よろしくなレヴィン」
「レヴィン、海月をよろしくね?私も週に七日ぐらい遊びに行くから」
俺がよろしくされるの!?
しかも週に七日って毎日だよね!?
困る事はないんだしいいんだけど……。
「ニャー!」
ん、なんだかレヴィンすこし笑ってないか?
嬉しいんだろうな。
人間っぽい仕草をする猫、か。
猫好きの俺としては大歓迎だな!
―――あ、こいつの餌代どうしよう……
◇
「レヴィン、最近思ったんだがお前少し太ったな……?」
拾ったあの頃はひょろひょろな体系だったが、あれからもう何年も経つ。
そりゃ元気になって肉がつくのもわかるが……。
「ニャッ!?」
なんでそうお前の反応は人間臭いんだよ……。
人の言葉を理解しているかわからないが、時にこうやって反応するのがおもしろくてついいじってしまう。
「ははっ お前ほんと人間の言葉理解してんじゃねーの?」
俺はレヴィンの脇腹あたりをくすぐりつつ尋ねる。
「ニャッ!……ニャ、ニャ~」
あーやばい、毎度のことだが猫って癒しになるわー。
このモフモフ感がたまらんね!
「……お前も人間の言葉喋れたらなぁ」
たまに瑠奈が家に遊びに来てくれたりするがそれでも俺が一人の時間は多い。
高校二年にもなって―――とは言われるかもしれないが、親がいない生活を続けていれば寂しい時だってある。
「にゃ?」
「あー!やめだやめ。 よしレヴィン、すぐ飯にすっから待ってろよ」
◇
日付が変わり、次の日の学校での数学の時間―――
「なぁ海月ー、ここ教えてくんね?」
数学の座席での俺の前の席の奴がたずねてくる。
「ん?ここか、ここはこうやってから、さっき習った公式にあてはめてだな―――」
俺は適当にだが説明してやる、最近特に数学が得意ってわけじゃないんだが、聞かれる事が多い気がする。
まあ教えることで俺の頭の中にも復習として残って勉強になるから断ることもないんだが。
それにしてもこいつ……一番簡単な問題でわかんないって、次の問題とかどうする気なんだ?
やっぱ家でギャルゲーばっかやってるかr……
「なんか失礼なこと考えなかったか?」
「……気のせいだろ」
鋭すぎだろ!
正に女の勘みたいだな、これがギャルゲーの力なのか……?
「ふっ!とぼけるのはよせ、俺といえばで伝わるので有名な男の勘には敵いやしねえよ」
「いや初耳だから」
※閑話休題
すぐにその日の学校も終わり、いつもの日課となっている他の部の様子をみながら帰る。
そして家でレヴィンをいじり倒して満足し、一日を終える。
次の日から、俺の日常は少しずつ動き出す。
猫好きなんですよね。
自分の手にぐりぐり頭をおしつけてなでてなでてってしてくる感じとか…。
ブックマーク登録していただけると今後の活力になります!
誤字、脱字ありましたら報告お願いします。
活動記録とかよかったら覗いてみてください。
ツイッターにてなろう垢を作成してあります。
@TatsuFuku22




