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いつのまにか勇者 ~俺が勇者な理由~  作者: ふくたつ
第1章 学園生活
2/6

1―1☆

さっそく挿絵あり!

 side海月


「あー、一限目から世界史かよだるいな……。」


 俺、神田かんだ 海月みづきは東條高校の高校二年。

 この高校は偏差値的には普通の方で、県内ではそこそこ人気のある高校だ。

 家庭・・事情・・によって設備やら教育方針がいい感じのハイレベルの高校には行けなかった。

 まあ他にも理由はあるんだけどな。



 そんな訳で東條高校に入学して気がつけばはや二年、入学当初は新しい友達や出会いなんかで楽しい時期もあったが―――


 今となってはただただつまらない日常を繰り返すのみとなってしまった。

 そして結局冒頭のようなセリフを毎度つぶやくようになる次第である。


「海月、何ぼーっとしてるの?」

挿絵(By みてみん)


 話かけてきたのはなぎさ 瑠奈るな。幼馴染で小さい頃から一緒にいた。

 こいつは少し天然な所があって一緒に居て飽きない。

 小さい頃にまあ色々あって腐れ縁になってる。


「ん?あぁ瑠奈か。またつまらない一日が始まると思うと鬱になってなー」


「海月は頭がいいから。この前の定期も高得点だったでしょ?」


 こいつ……嫌味にしか聞こえねえぞ。


「このレベルの学校じゃ自慢にもなんねえよ……あと瑠奈、お前いつも首位だろうが」


 そう、瑠奈はテストじゃ毎回首位になってる。

 古典、数学、社会……etc

 全教科トップレベル、かなりの天才だ。

 幼稚園の頃からパズルとかトランプタワーとか得意なやつだったしな……


「このレベルじゃ自慢にもなんねえよ……どやっ」


「真似すんなよ恥ずかしい!その無表情の顔でドヤ顔されるとすっごい腹立つんだけど!」


 たまにさっきみたいに煽ってくることがあるんだよな、すげー腹立つ。

 まあこいつのおかげで退屈しない時間も出来たりして結構助かってんだけどな。


「……はぁ。 おい、もう座っとけよ。チャイムなるぞ?」


「ん。わかってる。あと36秒だし余裕。いえい」


 ピースサイン付きで答える瑠奈。


「はいはい。ワロスワロス」


「むぅ……」


 お、少しは仕返しできたか?

 若干のふくれっ面で自分の席にもどっていった。


 ―――キーンコーンカーンコーン


「さて、世界史どこからだったかな……」





 ◇





 時間は進み、放課後---


「あー!やっと終わった!」


 毎度思うんだが週の始まりの月曜日の学校っていつもの三割増しでだるいよな。


 今から部活の奴らは大変だなー。瑠奈も確か来週の土日が試合だかなんだかで練習してるはず……。


 ―――家帰るついでに道場よってくか。





 ◇





「こんちわー」


 扉を開けて中をのぞいてみる。

 すると中から面!やら胴!なんて声が聞こえてくる。


「おー、やっぱ試合前だと気合いはいってんだな」


 聞こえてくる声で察する事ができたと思うがここは剣道部だ。

 瑠奈はそこのエースをやってる。

 なんだろうな、頭良くてスポーツもできてってモテ要素ありまくりじゃないか?

 しかも周りの女子と比べると容姿もいいしな。


 長い間一緒に居たから俺にはなんとなくわかるんだが、あいつは表情の変化が乏しいやつだ。

 よく初対面の奴に無表情さが気味悪がられたりするらしい。

 本人は全く気にしてないんだが。


 あいつどこにいるかな……。


「……すげえ集中してるな」


 瑠奈は道場の隅の方で素振りをしていた。

 セミロングの綺麗な黒髪を後ろの上のほうでポニーテールにして流し、額に汗をながし素振りをする姿は誰もが見とれる姿だった。

 瑠奈の目は瑠奈の家系でしか見た事のない緋色の目がきらめいている。



挿絵(By みてみん)


 あいつの目っていつ見ても綺麗だよなー。祖母の祖母よりもっと昔から―――代々渚家の娘は緋色の目をしている。

 入学当初なんて瑠奈の周りには絶える事のない程の人だかりができていた。

 それも小、中、高と続けば俺も瑠奈自身もその事態に慣れてくる。

 無表情の瑠奈に愛想をつかす奴もでてくるしな。

 適当にあしらうこともなく、なんなく捌いていったものだ。


 さて、ずっと入口にいても邪魔だろうしな。

 本当に帰り道のついでだった訳で特に用もないし帰るか。


「……がんばれよ」



 side海月――― end



「……がんばれよ」


 海月は小さく声援を送って道場を後にする。




 瑠奈は視界の中に入った海月を見て少し嬉しくなっていた。

 帰り道の途中に海月が道場に寄っていくのはこれが初めてではなく、何度もあったことだった。

 帰り道のついで、そういいつつもいつも自分を見に来てくれては応援をしてくれている。

 その事実だけで心の中では興奮のダンスを踊っているのだが、

 それでもしっかりと集中を切らさずに素振りをする辺りはさすがと言えるだろう。


 最後にかすかに聞こえた海月の声援に、無表情だった顔をほんのすこし和らげて、一瞬で表情を締めなおし素振りを続ける。

 部員の皆、そしてなにより海月の、声援に応えるために。




 これこそ青春である。

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更新頻度ですが、三日に一度か二日に一度くらいのペースになると思います。

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