お着替え
…ま、まぶしいなあ…って朝か…起きなきゃ…だって今日はお城に行く日!二度寝なんてしたらおいて行かれちゃう!
「あきちゃん、おはよっ!」
「おはようございます、咲さん。」
…おお、朝早くなのに、あきちゃんはピシッと着物着てる…さすがです。
「それは余所行きの着物?いつも着てるやつよりおしゃれだね!」
「ええ、お殿様の前で粗末な恰好ではいられないですもの…もちろん、咲さんにもいつもより品のいい着物を着ていただきますよ!昨日の晩、咲さんに着ていただくお着物を選んでましたの!…咲さんのお気に召すといいのですけど…」
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「…似合うかな?」
「ええ!私の目は確かだったようですね!」
あきちゃんの部屋に移動して、いつものように着物を着せてもらった。今着ているのは、薄い桃色の着物。花の模様がたくさんちりばめられている。
「最初見たときは、ちょっと私には派手かも…って思ったけど、着てみるといい感じね!」
「咲さんはお顔立ちがはっきりしているから、少々大きい模様のお着物をきても柄に負けないと思いましたの!素敵です。」
「ああ、よく似合ってるとおもうよ。」
あ、高久さんだ。
「…旦那様、女性のお着替え途中にお部屋に入ってくるなんて…」
「あ、これは失礼。でも、よく似合ってる。うん。」
「あ、ありがとうございます…。」
男の人に面と向かって褒められるのって、慣れてないっていうか、調子狂うなあ…でも、嬉しい!
「咲」
「は、はい。」
「…秀人、顔を出してくれる?」
「はいよ、旦那。」
高久さんの隣に現れたのは…なんかちゃらそうな人。
「…秀人だ。いつも俺の護衛でつけている忍。今日も城へついてきてもらう。まあ、何もないと思うけど、城内でなにかあったら、こいつが助けてくれるかもしれないから、覚えておいて。」
「よろしくね、咲ちゃん♪何かあったら旦那なんかほっといて、咲ちゃんを一番に助けるからね♪」
…やっぱりちゃらかった。
「…まあ、それが正しい判断だろうな。俺はすぐにはやられないから。」
高久さんって、強い人なのかな。見た目にはそこまで強そうには見えないけど…どっちかというと、頭脳派ってイメージ。
「…咲ちゃん、今旦那ってそんなに強い人なのかな…とか考えてたでしょー。」
…ギクリ。なんでわかるのよーっ!
「…ほんとはこわーいこわーい人なんだよ、旦那は。…って、赤くなっちゃって、咲ちゃんかわいいなー♪」
み、耳元でささやかれたらそりゃ赤くもなるでしょうよ!…秀人さんって…ちゃらい…ちゃらさ極めてる…
「…秀人、その辺にしてやりな。…じゃ、門の前でまってるから準備してきてね、あきも咲も。」