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あんずの木の下  作者: 東條 瑛梨
第一部
2/9

タイムスリップ

「あら、お目覚めですのね。」


 声がした方を見やると、着物を着たきれいなお姉さんと桶を持った女の子が立っていた。


「…き、きれい…」


 って、私何口にしてるんだろ…恥ずかし…少し顔が赤くなるのがわかる。


「…ふふ。…桶と手ぬぐいはそこに。あとは下がってよいですよ。」


 そういわれると手に持っていたものを私のそば置き、女の子は一礼して去って行った。綺麗なお姉さんは私のそばに正座する。


「…申し遅れました。わたくし、直江家の女中をしております、あきと申します。」

「…だ、大学生をしております、小笠原咲と申します。」


 …女中ってことは、やっぱりここはお金持ちの家なのかな…ってか、大学生をしておりますとはなんだろ…まだ頭がぼーっとするな…


「…だいがくせい…耳にしたことのない役職ですね?」


 あきさんはそういいながら、手ぬぐい水にさらし、きつく絞っている。大学生…を知らない…?どういうことだろ…とりあえず、ここがどこか聞きたいな…


「こ、ここはどこなんでしょう?」

「ここは、直江家の屋敷にございます。」


 うーん…まだ状況が読めない。


「私はいったいなぜここに?」

「…それはこちらが伺いたいぐらいでございますわ。ふふ…。」

「え、それは…」


 どういうことだろ…?


「今朝、貴女様がそちらのあんずの木の下に倒れていらっしゃるのを、旦那様が見つけられたんですよ。…不思議な恰好をしていらっしゃいますが、みたところ忍ではないようですし、どのように警備の者の目をくぐって屋敷に入られたのか、皆が噂していますわ。」


 庭にもう一度目をやると、そこにはあんずの木があった。うちのあんずの木と同じぐらいの大きさかな…そんなことを思っていると、あきさんがさっき絞った手ぬぐいを私のおでこにのせてくれた。ひんやりして気持ちいい。それにしても…旦那様?忍?警備?まるで…何世代も昔の話みたい…面白いこというんだなーあきさんって。


「あきさん、冗談うまいんですね。…それとも劇団の人か何かなんですか?あー、これも舞台のセットだったりして!いやあ、精巧にできてるんですね、ほんとのお屋敷みたい!戦国時代か何かの劇ですか?」


 あきさんが一瞬不思議そうな顔をする。


「…劇…?面白いことをおっしゃるのですね、今がまさに戦国時代ではありませんか。」


 …はい?

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