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第31話:盗賊団のリーダー、宣伝のチラシを入手する(三人称視点)

 ミオたちのいるミルフォードの街から、遠く離れたグランハルト帝国のとある街にて。

 "吟遊回廊"は豪華な宿の一室を貸し切っていた。

 無論、宿の店主や街の住民に盗賊であることは隠しているため、気前のいい上客として認識されている。

 集団の中の一人、リーダーを務める赤髪碧眼の男はゆったりと盃を呷った。


「盗品を売った金で飲む酒が一番うまいな」


 彼の呟きに、周りの部下たちは下卑た笑いで応える。

 "吟遊回廊"は各地で美術品を奪っては、独自の裏ルートで売り捌いてはすぐ金に変えた。

 絵画や彫刻など持っていても邪魔だし、破損でもしたら価値が著しく下がるからだ。


(元々、芸術品の価値は高い。裏ルートで売るとなればさらに高値で売れる。"教皇様"に上納金を納めても、相当の利益が俺たちの懐に入る)


「この仕事は辞められねえな」と笑い、赤髪の男は追加の酒を飲む。 

 彼らが高価な酒や食事を楽しんでいると、別の部下が部屋を訪れた。


「ダニエル様、これを見てください」


 部下は一枚の紙を差し出す。

 ミオが製作したチラシだった。

 この世界ではとうてい見ないようなデザインのそれを見て、"吟遊回廊"のリーダー――ダニエルは眉をひそめる。


「"美術館イチノセ"か、聞いたことがないな。どうせ、ミルフォードなんて地方じゃ、大した物は……ちょっと待て。『悪魔の黙示録』を展示だと?」


 彼の驚きが滲む声に、周囲の部下たちは強く注意を惹かれた。

 みな酒を飲むのを止め、真面目な表情でダニエルの周りに集まる。

 衝撃で酔いが醒めた気分だ。

 一転して、室内は緊張感に包まれた。

 チラシの中身を細かく確認したダニエルは、部下たちに情報を共有する。


「みな、よく聞け。俺たちが探している『悪魔の黙示録』、最後の一枚。その所在がようやくわかった。ミルフォードの街近くに、新しく設立された"美術館イチノセ"にあるようだ。"いわくつきの絵画展"という特別展で展示されると書いてある」


 その言葉を受け、部下たちは明確に色めき立つ。


 ――探し続けていた絵がとうとう見つかった。


 盛り上がりを見せた彼らを、ダニエルは手をかざして制する。


「落ち着け、これが本物かはまだわからん。もちろん襲撃は絶対だが、喜ぶのは実際に絵を手にしてからだ。仮に偽物を摑まされたら俺たちは死ぬ……いや、殺される」


 かつてない真剣な目で話す彼に、部下たちはごくりと唾を呑み込む。

 彼らの属する"組織"を考えると、『殺される』という表現はあながち間違いではなかった。 ダニエルは窓辺に行く。

 宵闇の夜空では、星々が煌めき始めていた。

 その中の一つ、最も輝く星の方角にダニエルは頭を下げる。


「我らが崇拝する"教皇様"……この身と魂をあなた様に捧げます……。必ずや、あの絵を入手してみせます」


 胸で十字を切る彼に続き、周りの部下たちもそれに習う。

 "吟遊回廊"はその日のうちに宿を去り、『悪魔の黙示録』が飾られる"美術館イチノセ"を目指すのであった。

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