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第14話:美術館、街でチラシを配ったところ絶賛される

 翌日の休館日。

 朝ご飯を食べてすぐ、私とフォキシー、そして新しい仲間になったノーラはミルフォードの街を訪れた。

 いよいよ、チラシを配って"美術館イチノセ"を宣伝するときだ。

 この街は遠目から見た印象と同じく、活気があって賑やかだった。

 建物は石造りの頑強な作りが多く、薄汚れた壁に歴史を感じる。

 道は舗装されておらず土が剥き出しなので、どことなく埃っぽさがある。

 それもまた、元気な田舎町といった雰囲気を強めており、私はなんだか楽しかった。

 どこで配ろうか相談したら、ノーラが良いアイデアを出してくれた。


「中央広場が一番人が集まると思う。わたしが案内するね」

「ありがとう、お願いするわ」

『ノーラがいてくれてよかったコン』


 中央広場は三分も歩けば着いた。

 真ん中には噴水の他、おしゃれな時計塔が設置される。

 地面には動物のモザイク画が描かれ、否が応でも興味を惹かれてしまった。


「すごく繊細なモザイク画ね……。誰が描いたのかしら……」

『ミオ、チラシを配る時間がなくなっちゃうコン』

「じっくり見たいのはわかるけど、鑑賞はまた後にしようよ」


 しゃがみ込む私を、フォキシーとノーラが引き上げる。

 いけないいけない。

 今日はチラシを配りにきたんだ。

 人通りが多い時間に配ってしまいたい。

 ということで、私たち三人はさっそく配布を始める。


「こんにちは、"美術館イチノセ"がオープンしました。ミルフォードから歩いて20分くらいの湖畔近くでやってます。今の特別展は《ディルーカ》のコレクション展です」

「芸術に興味がある方でもない方でも、どなたでも大歓迎です。入館料は大人が1000ルインで、未成年は200ルイン、お子様はタダです。無料の日も月に2回ありますよー」

『常設展も綺麗な絵や彫刻がいっぱいコーン』


 三人で呼びかけていると、来館したことのある住民がちらほらと来てくれた。


「あら、こんにちは、館長さん。あの素敵なチラシを配っているのね。私にもくれないかしら? ご近所さんに頼まれてあげちゃったのよ」

「もちろん、いいですよ。どうぞ」


 彼らには来館したときすでにチラシを渡していたけど、「綺麗だから」ともっと欲しいと所望された。

 さらに宣伝を続けたところ、来館者から口コミを聞いたという住民もたくさん来てくれた。

「この近くに美術館ができたんですってね。一枚くださる? ……わあ、綺麗。この絵が実際に見れるのね」


 それ以外の住民は最初は不思議そうな目で見ていたけど、徐々に集まってきた。

 この街にはチラシ配りという文化がないようで、物珍しさもあるのだろう。

 物珍しさで集まってきた住民たちも、チラシに描かれた《ディルーカ》の絵を見ると目を丸くした。


「こ、これは……『湖畔の微笑み』じゃないか? あの《ディルーカ》が描いた伝説の『湖畔の微笑み』……! 本物だよな?」

「ええ、もちろん本物です。当館自慢のコレクションでございます。保存状態もよく、間近で眺めることができますよ」

「マジかよ。すげえ……すげえよ!」


 大喜びする住民と、単純に「綺麗な絵だね」とのほほんと楽しそうにする住民が半々だろうか。

《ディルーカ》のことを知っている人もいれば、知らない人もいた。

 当然のことながら、芸術に興味がある人がいる一方で、逆にない人もいる。

 後者にも魅力を訴求して客層を開拓することが、美術館の運営にも重要な意味を成すはず……って、気がつけばガチで仕事をしてしまっている!?


「ミオちゃん、どうしたの?」

『頭を抱えているけど頭痛が痛いコン?』

「なんでもないわ」


 想像以上にチラシは好評で、ものの15分ほどでなくなってしまった。

 この段階になると人だかりができており、貰えなかった住民が残念そうに話す。


「え、もう終わり? 綺麗な絵だったから欲しかったのに」

「なぁ、また配りに来てくれよ。今度は絶対に貰いたいからさ」

「こんな素敵な紙、貰えないなんてもったいないですわ」


 みなさん、とてもチラシを気に入ってくれたようだ。

 次来るとしたら来週の休館日だろうか。

 待たせてしまうのは申し訳ない……あっ。

 思いついたとある作戦を考えるといけそうだった。


「大丈夫です。今作りますからね……それっ!」

「「おおお~、何もないところから紙が!」」


 すっかりお馴染みとなった【美術館の加護】を使い、新しいチラシを生み出す。

 美術館の外に出たら使えないと思っていたけど、どうやらそうでもないようだ。

 使えてよかった。

 追加のチラシを配って、初めての宣伝は大盛況で終わった。

 もう美術館に帰ろうかと話していたら、ノーラとフォキシーがお腹をさすりながら言った。

『なんだかお腹空いちゃったコンね』

「わたしも。あんなにたくさん朝ご飯食べたのに」


 二人は少しばかり疲れた様子で話す。

 たしかに、お腹も空いたしどこかで休みたいよね。

 こんなときは……。


「カフェでも入って休憩する?」

「『する!』」


 ということで、私たちは近くのカフェ"ミルククラウン"に入った。

 店名の通り、牛乳が有名なお店らしい。

 ケーキやサンドイッチ、パイなど定番のお料理もたくさんある。

 何を頼もっかなぁ~。

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