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転生者が集まれば…無敵公爵家が出来上がるまで  作者: ハシドイ リラ


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8.メンバー募集中

「聡い子のようね。」


「はい。恐らくお父上にも相談していないようです。こちらの意図を汲み取って」


私たちの絵本作戦は成功したみたい。


今出来る事は、"読める人には読めて読めない人には想像もつかない"状態で文章を提供すること。この世界のどこかに同じ言語体系の国がないとは言えないけど、この国にいる限りは、意図していない者に読まれる可能性はほぼゼロだ。


「無闇な接触を避けてって言った手前、仲間なのかどうか分からないのがネックだったんだけどねぇ。」


「ええ。まさか名前を足して返してくるとは。想像以上の収穫でした。」


私たちのひらがなでの署名、その下に自分の名前と前世でどの時代にいたのかをさらっと書き足していたのだ。字体も筆も極力似せているし、そもそも何が書いてあるのか分からない人には文字が増えたかどうかなんて分かりっこない。とても効率的な方法だった。



「この子は…どうにかして手に入れたいわね。今いくつですって?10歳⁈まだそんなに幼いの?それならまだまだ直接の接触は無理ね。んー…それならもう何冊か絵本を作るわよ。面白かったと言ってくれたんでしょ?あなた、絵本を気に入ってもらえてはっちゃけたプレゼント攻撃おじさんになりなさいな。」


「ええーなんだか嫌なおじさんだなぁ。とはいえ今のところは接触方法がそれしかないですね。」


はぁ。テルニアが心底嫌そうにため息をついた。


とにかく善は急げ!だ。私は前世、息子に請われるままに色々描かされたイラストの腕を発揮して沢山絵を描き始めた。



※※※※※※


「やあテルニア。最近よく来ているね。昔に戻ったみたいで嬉しいよ。」



「はい、お邪魔していますエピナッチ様。この度絵本を何冊か作ることになりましてね。毎日頭を捻っていますよ。ぜひお力添えを頂けますでしょうか。」



「へえ、あの絵本の続きってことかい?それは面白そうだ。クリスティーネの絵も可愛らしいし世に出す予定がないのは勿体無いな。」



「とはいえ目的が目的ですからね。前世がある人を探すのが目的とはいえ、闇雲に誰も彼もって訳にはいかないでしょう。…前世で悪人だったりしたら目も当てられない。」


「とはいえ勿体無いものは勿体無いよね。」


しばらく思案顔だったエピナッチ様が閃いた!とばかりに笑顔になる。


「正真正銘の謎解き絵本にしてしまおう!」


「もう!エピナッチはまた厄介な事を考えついたのね!」


「厄介とは失敬だなぁ。そもそもこの絵本の発案は僕だよ!もうちょっと褒めてくれてもいいと思うけど。」


全然怖くない顔でプンプン言っているが、この案は良いかもしれない。


「クリスティーネ様、エピナッチ様の案は良いかもしれません。もっと裾野を広げてみましょう。」



※※※※※※


「はあ。なるほど。あの時の娘のお返事からインスピレーションを受けたと。」


「そうなんですよ。それで作った方が気を良くしましてね。書籍化することになったんです。文字の解読までとなると難易度が高くなってしまいますから、当初は絵だけの本を発売します。」


「その絵に対して子供達が好きなように話を作り上げる、と。」


「そう!そうなんですよ!なのでね、モデルケースとしてお嬢さんにまず読んでいただいてアドバイスをいただきたいな、と。」



んー伯爵、結構無理のある説明な気がしますよ。でももしかしたら前世が…?みたいなケースだとスクリーニングになるってことなのかな?

まあ連絡手段としてはあったほうが都合いいけど、どうなんだろう?お父さまや家族に内緒にしていることがバレてもなぁ…。


果たして伯爵様たちは何をしたいのだろう。

仲間を増やす手立てなのか、私との連絡手段の確保なのか。

とりあえず、以前の本をお返しした時にさり気なく知らせることはできているはず。そこに重ねてってことだったらやっぱりアレだよね。メンバー募集的な?

それならお手伝いしておいた方が良いんだろうな。


お父さまはどう言えばいいか決めあぐねているみたいだし、ここは無邪気を装ってお引き受けします!でいいか。


「伯爵様!あの絵本の謎解きとても面白かったです!書いてある文字?のような物はなんて書いてあるか分からなかったんですけど、絵だけで引き込まれて自分でお話を作っちゃいました。」



しらじらしいなー。伯爵の顔がそう言っている。

それは分かる!私もそう思うもん。

でもお父さまの手前ね。そうとしか言えないんだよ!



「そんなに喜んで貰えたとは!実はあの絵本を作られた方も、ここまで絵から想像したお話作りが上手くいくとは思わなかったらしいんだ。お礼のお手紙を見ていたく感動してね。」


あちらもしらじらしいこと!まあお互いさまだけど。


「ご自分が思い描いていたお話とは違うお話になっていて、そこに可能性を感じられたそうです。」


お父さまに向けて説明してくださる。


「いやはやそれはそれは。我が娘がお役に立てたようなら何よりです。」


「エリーゼ、どうする?少し責任は重そうだがお受けしてみるかい?」


そうね、これはお受けしておくべきね。


「はい!伯爵さま、沢山のお話をまた教えてください!」



こうして伯爵との交流が徐々に増え、クリスティーネ様とお話する機会もいただいた。


「エリーゼちゃん、あなたの才能には驚いてしまうわ!まだ先だと思うけど、学校に通う年頃になったらぜひ王都にいらっしゃい。貴方の成績なら王都の学園でも充分やっていけるわよ。」



まだまだ先の話だけど、学園の話も出るようになった。私もどうせ学ぶなら王都の学園が良いと思っていたもの。


でもこの後、平穏で楽しい日々はあっという間に崩れ去ってしまった。





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