18.笑い事じゃありませんけど?!
コンコン。
「エリーゼ・バーレンスフェルトです。疑義について申し開きに参りました。」
ガチャ。
「やあ待ってたよ!エリーゼ嬢。」
迎えてくれたのはテレイオーシスさまだった。中を見渡すと…
パトルエリス殿下、キリア公爵令嬢、テレイオーシスさまに、んーあとはお名前と顔が一致しない。今生徒会には確か伯爵家の次男の方と辺境伯家の嫡男がいらっしゃったはずだから、どちらがどちらなのか分かんないけどその2人だろう。
そして…
「クリスティーネさま?」
そう、なぜかクリスティーネさまがいた。
「エリーゼちゃんお久しぶり。あ、もうちゃん付けじゃだめね。バーレンスフェルト子爵令嬢、ごきげんよう。」
なぜ?が顔に出ていたのであろう。説明してくださった。
「我が愚息のトラブルに巻き込んじゃったって聞いてお詫びがてらね。それに彼女にはそろそろトドメを刺そうかなーって。ふふ。」
相変わらずだわ。にっこり笑ってえげつないこと言うの。
「トドメですか…。」
「あ、そっちは気にしないで。バーレンスフェルト子爵令嬢にはご迷惑かけないから。ただ、」
ん?ただ?
「もうキュニエ嬢は学園には居られないでしょうね。…あけすけに言っちゃえば、オトコを巡ってライバルを嵌めようとしたわけだから。それに退学の最短記録を出したら流石のお父様も庇い立てするのは無理でしょうから、修道院か何処かの後妻に入るか…」
えええ!
「そ、そこまで大事にしなくても良いような気がするんですけど?」
「エリーゼちゃん!貴方は甘いのよ!大体彼女の
やってることが卑怯でー」
「はい、母上そこまで。まだエリーゼ嬢は全体像を把握してない筈だから。ここは学園ですから生徒会の対処を見守ってください。」
「そ、そうね。先走っちゃったわ。じゃあわたくしは出番になるまで向こうで見学しているから。」
すごいなぁ、クリスティーネさまがタジタジだ。親子とはいえあの方と丁々発止でやりあえるんだからなぁ。
などとぼんやり考えていると、キリアさまに話しかけられた。
「エリーゼさん、ではそろそろ本題に入りましょうか。」
※※※※※※
「改めまして。王太子の息子のパトルエリスだ。こちらは婚約者のキリア・プロメティーダ公爵令嬢、そしてテレイオーシス・カルボシス公爵子爵。」
「よろしくお願いします。」
「そしてこちらの2人が、初めましてかな?アジュダンテ・ヘルセネン伯爵子息とヴォイソス・ケレブルム辺境伯子息だ。」
「やあ、初めまして。どうぞよろしくね。」
「はい、よろしくお願いいたします。」
自己紹介が終わったところで早々に本題に入る。
「今回来てもらったのは、君の入学時の試験結果について疑義が申し立てられたからだ。ただ…」
ただ?
「その…」
その?
「ンフッ」
んふ?
「殿下、話が進みませんからわたくしが進めますわよ。」
堪えるように震えている殿下に痺れを切らし、キリアさまが話を続けた。
「疑義申し立てがね、あまりにも杜撰だったの。だって根拠が」
ブフォッ!とうとう我慢できずに吹き出した。よく見ると他の方々も笑いを堪えている。
一体どんな申し立てだったのか、なぜ笑いに繋がるの?
「あの、私には割と大きな問題なんですが、そんなに愉快なお話だったんでしょうか。」
再三に渡る指導室への呼び出し、キュニエとその取り巻きによる嫌がらせに当て擦り。
誰かの笑いのネタにされるなんてたまったもんじゃない。不敬かとは思ったが、しっかり抗議する事にした。
「私は今、身に覚えのない事で入学資格を疑われているのです。しかもその事で学生生活にも支障が出ています。とてもではないけれど、笑う余裕なんてないんです。」
殿下はすぐに真面目な顔に戻ってくださった。
「そうだよね、あまりにも稚拙な申し立てだったから思い出し笑いしちゃったけど、当事者には嫌な思いをさせてしまったのに。呼び出されてみればみんな笑いを堪えてるなんて失礼な話だよね。」
みなさん一斉に頭を下げてくださった。
「い、いいえ。私こそ生意気を言ってしまって申し訳ありません。最近根も葉もない噂のせいで少し気が立っていました。」
お互いに頭を下げあってから、話を再開した。
「ではまず申し立ての内容を説明しますね。ーー申し立て人はキュニエ・ボスワース侯爵令嬢。内容は…」
こ、これは。
「ンフッ」
あ。
せーのって声が聞こえた気がする。
「ほら!やっぱり笑ったー!!」




