幕間〜まだまだ奮闘中〜
"ゴメンコレモチガウ"
あーっっ!!
頭を掻きむしって叫ぶ。誰だか知らないけどさあ!何なんだよおおお!
腹立つなぁ!こんなの試練じゃなくて意地悪じゃないかー!!
イライラしながらも気を取りなおすべく飲み物を入れることにし…
目が飛び出るほどびっくりする。
インスタント麺があるではないか!
いや、勿論前世ほど洗練されたものではないし、カップに入ってるわけでもない。けど!
少し縮れた麺を丸い形に揚げた物。まあ、流石にスープは再現できなかったのだろう。洋風のスープが用意されていた。
…とりあえず食うか。
ちょうど良いサイズの小鍋がある。
火種もあったので、小鍋にスープを入れ沸かしてから麺を放り込む。流石に丼はなかったので、前世なら母ちゃんに"行儀悪い!"とめちゃくちゃ怒られたであろう、鍋から直食いで食べてやった。
んーお箸があれば最高だったのになぁ。
ふと思い出す。
初めて一人暮らしした時のことだ。母ちゃんが見たらめちゃくちゃ怒っただろうなぁ、と思いながら鍋から直食いしたなぁ。
…ああ、そうだ。オレは役者を目指していたんだ。
きっかけは学校に馴染めなかったオレに母ちゃんが
「生きてたら変な人なんて山ほどいる。同じだけマトモな人もいるからさ。」
という慰めだったのか、一見深く聞こえるような事を言って放り込んだのが児童劇団だったんだ。
これがまあ割と腑に落ちる事になるんだけど、児童劇団というのは礼儀を厳しく叩き込まれる所だったからか、問題行動を起こすような子供があんまりいなかった。淘汰されるともいう。おかげで人間不信に陥りかけていたオレも立ち直れた。
そして、実際に舞台に立つ役者さん達を間近で見て役者になろう、と思ったワケ。
だが児童劇団に放り込んだくせに、母ちゃんは割と厳しくて
「役者で食ってける人なんてひと握り。ちゃんと勉強もして大学行っとけ、それが条件。」
と言われて必死で勉強して、まあ就職には困らないかな?くらいのそこそこ賢い大学に入った。
それでも母ちゃんは厳しくて
「役者に見切りつけるのが何歳になるか分かんないけど、その時就職できるように資格取っとけ。」
なんて命令まで出て。世間で人気と言われる資格も取った。
まあ幸いにも母ちゃんの心配は杞憂に終わったんだけどね。超一流とまでは言わないけど、役者で充分食ってけるだけの仕事は貰えるようになった。
だから取った資格は役に立たないまま…ということもなく。役者以外にもコメンテーターなんてこともさせてもらえたんだ。ホント母ちゃんには頭が上がらない。
ラーメンを食べただけで、今まで薄ぼんやりとしていた前世の記憶が次々と戻ってきた。
これも覚醒するために必要なステップなのかもしれないな。




