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ピリ辛×ちょい甘+コク=猛愛?一夜を共にしたからっておかしくありません?  作者: はるくうきなこ


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7/40

7食堂の手伝い


 仕事から帰ると急いでマベルの手伝いに入った。

 服を着替えてエプロンを付けてキッチンに行く。

 「マべル、今手伝うから」

 マベルはすでにシチューの仕込みも終わらせて肉の準備に取り掛かっていた。

 「ミルフィいいんです?今日は疲れたでしょう?休んでもいいんですよ。私はミルフィのおかげですっかり良くなったんですからそんなに気を使わなくてもいいんですよ」

 「ええ、マベルありがとう大丈夫よ。実は私も作ってみたいものがあるんだけど今日の一品にくわえてもらえる?」

 「まあ、ミルフィが?いったいどんな料理なんです?」

 「ええ、今日のシチューはクリームシチューでしょ?だからパスタを短くカットして皿の下に入れてホワイトソースをかけてチーズをのせてオーブンで焼くの。グラタンって言う料理なんだけど。今夜は冷え込みそうだから熱々のグラタンをふぅふぅしながら食べたいなって」

 もちろんこの世界にグラタンという料理は存在していない。シチューをソース代わりにするのも前世のグラタンとは違うけど、それはまあ置いといて。

 少しでも違う味の料理が食べたいと思っただけだから。



 私の作るグラタンをマベルがじっと見ていた。

 「まさか、パスタにホワイトソースなんて‥」

 オーブンから取り出したグラタンを小皿に分けてマベラに差し出す。

 ぐつぐつ煮え立つクリームシチューが見た目にも食欲をそそる。

 マベルがふぅふぅしてグラタンを口の中に入れた。

 「うっ!‥こりゃシチューとは全く違う感じがしますね。チーズとホワイトソースがまじりあって何て言うかコクがでておいしい。それに短く切ったパスタにソースが絡まって食感も楽しいです。ミルフィこんな料理を思いつくなんてすごいじゃないですか」

 「もう、マベルったら褒め過ぎよ」

 だって前世の私からすれば良く食べたグラタンで。ただ、この世界になかっただけなのに。

 

 早速マベルがグラタンも出そうと言う話になってその夜は新しい料理と聞いてグラタンを頼むお客さんも結構いて、最初は見た目がぐつぐつ煮え立っていて恐々口に入れたお客さん。

 でも帰りにはみんなから旨かったと言われて心が温かくなった。

  

 だって私いつも父からは疎ましい態度を取られて学園ではみんなから気持ち悪いとか言われて、婚約者だったドルトはそんな事言わなかったけどやっぱり思われてたんだろうなって思っていた。

 

 でも、今日職場に初出勤してでも、思っていた財務課から移動になってどうしようかってドキドキした。

 でも、みんな気さくな人たちで、私の髪色や目の色を気持ち悪いって言う人いなかった。

 だってそんな事思ってたら私自然とそれを感じるもの。

 この世界のほとんどの王族や貴族は数千年前の竜族の子孫だと言われている。

 だから生まれながらに竜族の持っていた魔力を引き継いでいるとも。

 でも、残念ながら今では魔力を持っている人間は王族や高位貴族くらいでそんな強い魔力ではない。

 一応元侯爵家の私にも魔力がそれなりにあって、髪とか風魔法で乾かせるし火を起こしたり掃除をしたりと一般的な生活魔法は使えた。

 魔石に魔力を付与することだって出来る。

 私の魔力は光魔法だって母が言ってたから、少しくらいの傷なら治せるし人の悪意を感じる事も出来る。

 だから学園ではいつも嫌な感じがしていた。それなのにドルトとサクルの事全然気づけなかった。

 って言うことは悪意を感じていたのは魔力のせいじゃなかったんだ。


 

 私はそんな事を思いながらそろそろ店じまいだからと店の片づけをしようと表に出た。

 「このクソガキ!何見てんだよ。おい、なめてんのか!」

 男の声が聞こえた。

 ふっと食堂の横手の通りに回る。

 薄い月明かりが差し込んだそこには大きな男に胸ぐらを掴まれている小さな男の子がいた。

 「何してるんです?そんな子供を相手に!」

 「何って‥こいつが俺に寄りかかって来やがったんだ。気持ち悪い目で俺を見やがって!だから」

 「そんな小さな子がちょっとばかり見たからって、あなたいつもそうやって小さな子をいじめてるんです?」

 「そんな訳あるか!こいつが!クッソ‥」

 男は捨て台詞を残すと男の子を地面の落として急いで去って行った。

 私はすぐに男の子のそばに駆け寄った。

 「大丈夫?どこか怪我はない?そうだ。こんな所じゃ手当ても出来ないわ。私の家ここの食堂だから」

 私はとにかく子供の手当てをとその男の子を抱き上げた。

 先日ここでドルトに裏切られた時のことが脳内をよぎり首をフルフルと振った。

 今はとにかくこの子の手当てが最優先なんだから。

 私は暗がりではっきりとわからないまま男の子を食堂に連れて帰った。















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