第一章:第九話
校舎に入り、朝のホームルームの教室の前の方に月宮さんと座る。
タブレット端末で今日の授業予定を確認していると、月宮さんが話しかけてきた。
「少し変なことを聞いてもいいですか?」
「いいけど...」
「どうして私と授業を一緒に受けると言ってくださったのですか?」
心底不思議という顔で尋ねる月宮さん。
俺はその様子に思わず吹き出してしまった。
「っふ。」
「む...笑わないでくださいよ...」
頬を膨らませ、不満げな顔の彼女になぜ笑ったのかの理由を伝えようと口を開く。
「だってさ。月宮さんは自分に自信がなさすぎだからさ。
俺が月宮さんと授業を受けようと思ったのは、一人で受けたくないっていうのはあるけど、月宮さんじゃなかったら多分オーケーしてなかったよ。」
「それまたどうしてですか?」
「一緒に授業を受けるのは腕を張り合える人の方がいいだろ?
分からない人に教えるというのも悪くはないけどさ。」
そう答えると、月宮さんは嬉しそうに、満面の笑みを浮かべた。
見ているだけで癒されるような、心がほわほわするような笑顔。
とんでもない破壊力である。
そうやって、月宮さんの笑顔を見てほわほわしているとお願い事をされた。
「藤川さん。私の友人になってくださりませんか?」
ん?
「ごめん、聞き間違えかもしれないからもう一回お願い。」
月宮さんは顔を今までにないほど赤くしながら、もう一度言ってくれた。
というか昨日からよく顔色が変わる人だ。
「わ、私の友人になってほしいんです!藤川さんに...」
「俺がなってもいいのか?」
「当たり前じゃないですか!逆になってはいけない理由を知りたいくらいです。」
力強く、そう言ってくれる彼女の前で断るという選択肢はなかった。
「分かった。友人としてよろしくな。
これからは珠威って呼んでくれ。」
そういうと、月宮さんは嬉しそうに、
「分かりました、珠威さん。私のことは歌葉と呼んでくださいね。」
「よろしく、歌葉。」
「早速なんですけど、今日の放課後にまた手合わせをお願いしてもいいですか?
決闘ではなく普通に。」
「いいな。もしかしたら歌葉が俺に勝っている分野が見つかるかもだし。」
「楽しみですね。」




