第五章:第五話
寮の入り口であとで合流することを約束して男子と女子で別れる。
入口で右に曲がった男子組は、
「それじゃあ、この先一週間過ごす部屋に案内するね。」
春馬が先頭に立って男子寮を進む。
第二学園都市の寮は煉瓦の壁に焦げ茶の木の柱で建てられており、第三学園都市で以前寮に住んでいた零は、
「うちのところと内装全然違うな。第三は和風っぽい雰囲気だったけど、ここは何というか...」
「欧州の建築様式を感じるね。」
「そうそう、それそれ。」
言葉に詰まった零を響がカバーする。
そう言われて、あまり内装に注目していなかった珠威も建物内を見回してみる。
確かに、壁や柱はさることながら照明や置かれている鉢植えの植物も、ヨーロッパのテイストを感じる。
「あぁ、それなんだけど、学園都市の建築はそれぞれ異なる国内の有名な建築家に依頼されたらしいよ。
ここは、ドイツで二十年学んで、和洋折衷の新たなスタイルを確立させた建築家が設計したそうな。」
「「「へぇ。」」」
春馬の言葉に三人が感心した様子を見せる。
そんな話をしていたらどうやら部屋に着いたようで春馬が足を止めた。
扉にポケットから取り出したカードを取り出し、かざすと”ピッ”という音とともにロックが外れる音がした。
「ここだね。」
早速中に入ってみると、なるほど。確かにこれは和洋折衷のデザインと呼ぶにふさわしい建築物だ。
廊下の欧州風一色から一転、部屋は和の雰囲気を感じ取れる内装となっていた。
といっても、そこに違和感を全く感じさせず、さぞ意匠を凝らしたのだろうと予想できる。
「第三からの荷物はここに置いてあるね。」
第三学園都市から送られたスーツケースたちは玄関の靴箱の横に置かれていた。
「それじゃあ、俺たちは背負ってる荷物だけ置いてくるな。」
部屋にあがり、ずっと背負っているリュックを部屋に置き、部屋を軽く見て、泊まるのに困ることがないかだけ確認して春馬のもとへ戻った。
「それじゃあ、女子たちと合流しようか。」




