第五章:第二話
珠威たち六人は自己紹介を終え、二人についていく形で第二学園都市内を歩く。
歩きながら、この学園都市の特徴について春馬が説明をしてくれる。
「この学園都市のすごいところはもうすでにみんな気づいていると思うんだけど、まず、地下にこれだけの空間が広がっていることだよね。」
「ああ。全くだ。最初地下にあると聞いたときは狭い場所かと思っていたが、いい意味で期待が裏切られた。」
「私もです。それに、この植物の量。よく地下空間でこれだけ管理ができますね。」
「これは、なんか薬学部の人たちが肥料とかの改良を頑張ったらしいよ。」
「「「「「「へぇ。」」」」」」
感心する六人に笑顔を向けながら春馬は説明を続ける。
「正面に見えるあのでかいビルが戦闘科の講義を行う場所だよ。まあ、また明日にあそこは案内するね。
それで、あっちにある、壁で囲われた場所が決闘場。決闘場は第三学園都市にもあるんだよね?」
「ああ。」
「それじゃあ、説明は省こうか。それから...」
春馬が他の場所について話そうとしたその時だった。
「おい。」
低い、地面を震わせるような大声が彼らの足を止めた。
声を発したのは大柄の男子生徒。身長は二メートルほどあるだろうか。
その目つきは鋭く珠威をまっすぐ貫いていた。
「そこの金目のお前、俺と決闘しろ。」
「俺がか?」
「そうだ。」
珠威は戸惑う。なぜ指名されたのかが分からないからだ。
「どうして俺なんだ?俺以外にもほら、こいつとか強そうじゃないか。」
響を指さして尋ねる。
突然話題にあげられた響は「おいおい、勘弁してくれよ。」と少し顔を青ざめさせているが、大柄な男子は響のことは眼中にないようだ。
「いや、俺はお前がいい。お前からは圧倒的な強者の気配がする。」
その言葉に珠威はにやりとして、
「いいだろう。じゃあ、早速決闘と行こうか。」
これに驚いたのは春馬だった。
「しゅ、珠威君。やめておいた方がいいと思うよ。」
「?」
「だって、彼は柊翼。この学園随一の実力者なんだから。」
*
一時間後。珠威の姿は決闘場のフィールド上にあった。
ちなみにもちろん春馬の忠言は無視した。いや、正確には聞き入れたうえで珠威は決闘を受けることを選んだ。
『第二学園都市の実力を知るんだったら、トップと直接やりあうのが早いだろ?』と言うのが珠威の談。
珠威の意志を変えることは難しいことを悟ったのか、春馬はため息を吐いてそれ以上反対することなく翼に関するデータを伝えた。と言っても伝えられたのは主に一点のみ。
『柊君のアームには要注意だよ。』
ということだった。あまり教えすぎるのはフェアではないと思ったからこれ以上は翼について言わなかったが、もともと珠威は情報なしで挑むつもりだったので、
『それだけでも、何も知らないことに比べたら大きなデータだ。それじゃあ、注意しながら戦うことにしますか。』
と言って決闘に向かったのだった。




