第四章:第十三話
珠威と響の戦いの戦況は互角だった。
珠威は長剣とピストルしか持っていないが、基本的にこの二つを同時に持つことはできない。
そのため、長剣だけを構えて響に対峙しているわけだが、スモークがなくなり、味方に流れ弾が当たる可能性がなくなった響はマシンガンを容赦なく撃ってくる。
ある程度の距離をとっているため、銃弾を回避、もしくは剣ではじくことができているが、これ以上近づくと被弾するリスクが高まるだけである。
とはいえ、珠威も一方的にやられているわけではない。
様々な策を脳内で構築、どう実行するかを見計らっていた。
そして今。響のリロードのタイミングを見計らって一気に接近し、その長剣で響に切りかかった。
響はナイフで防ぐも、これ以上の攻撃ではナイフが折れてしまうと判断し、一旦後ろに大きく跳んで珠威と距離をとり、それまで持っていた武器を捨てて近くで広がっていたパラソルを土台から抜き、傘部分をたたんでまるで薙刀のように構えた。
そして、両者の動きが一瞬止まり―カメラでとらえられないほどのスピードで動き出した。
双方一気に接近し、勝負を決めにかかる。
響はリーチの長さを生かすべく、珠威の攻撃が届かなくて自分の攻撃が当たる、最適なポイントを一瞬で計算してパラソルを振りかぶる。
一方の珠威は何と攻撃をしたから受ける動きをとる。
パラソルの重みを合わせると、確実に下から受けるのは不利。
にもかかわらずなぜ下から受けるのか。響は理解ができなかったが気にせず思いっきりパラソルを振り下ろした。
珠威は顔をゆがませながらもその攻撃を受け切り、そして思いっきり響の持つパラソルを上へ、屋根よりも高い空中へと弾き飛ばした。
その瞬間、響は珠威の狙いが何だったのかを理解したが、もう遅かった。
パァン
零の放った銃弾が響の急所をとらえ、響は戦闘不能になり、離脱することになったのだった。
響を倒した珠威は、大きく伸びをして、
「さて、あっちはどうなっているかな?」
歌葉たちがいるであろう方向へ歩き出した。
*
歌葉と花梨は、建物の陰に隠れながら敵二人と銃撃戦を繰り広げていた。
しかし、敵も建物の裏に隠れているため、らちが明かない。
「花梨さん、何か打開策はないんですか?」
「...今は動くべきじゃない。ここで下手に先に動くと負ける。
ほどほどに牽制をして、弾の節約をするべきだ。」
「分かりました。」
その時、
パァン
甲高い、これまで辺り一帯に響いていた銃声とは異なる音が聞こえた。
「この音...スナイパーですか?」
そして花梨の瞳はこの音に乗じて接近してくる敵の姿をとらえた。
「敵が近づいて来るよ、一気に撃って。」
これまでより激しい弾幕で敵を狙う。
すると、通りのところどころにある遮蔽物に隠れ切らなかった足に弾が当たった。
「足に命中しました。」
「了解。一気に接近しよう。」
歌葉たちは機動力を失った敵に一気に接近。
相手が抵抗する間もなく、無事制圧したのだった。
そして、最後に残っていたスナイパーは降伏し、一班は班別対抗戦を優勝したのだった。




