第四章:第十二話
そして迎えた決勝戦。
決勝で珠威たち一班と対戦するのは八班。
珠威たちは転送装置の中で、最後の打ち合わせをする。
「今回のフィールドは中世ヨーロッパの街並みを参考にしたとかいう、余分におしゃれな街だ。
結構入り組んでいて、迷う可能性があるから、マップに要注意な。
それから...」
細かい部分までしっかりと確認を終えたところでちょうど転送装置が止まった。
そして、アナウンスなしでいきなり転送装置の扉が開いた。
*
外に出て、まずは転送先の状況を確認する。
辺りを見渡してみると、どうやら屋根の上のようだ。
そして、視界の端に、同じく屋根の上に転送された八班の班員たちをとらえた。
双方屋根の上からの接近を狙うが、スナイパーに狙われるため、一度屋根から降りる。
「プラン通り、できるだけ一団となって動くぞ。」
珠威の呼びかけに全員がうなずく。
決勝に向けて彼らが立てた作戦は、三対三で接敵するという状況を作ること。
八班の班長である白川響は個としての戦闘性能力が突出しており、ここまでの戦いを分析したところ、響一人と、残りの班員たちでの挟み撃ちによる勝利というものが多かった。
この状況に持ち込まれないようするには、できるだけ全員で動いて、響が現れたら珠威が一対一で対応するというのがベストだと考えたのだ。
戦いの最中でなければ観光が楽しめそうなほど美しい街並みを三人は走る。
「もうそろそろ現れてもおかしくないんだが。」
「そうだな、油断せずに行こう。」
そう零が言った時だった。
パァン
百メートルほど先の曲がり角から突然八班の三人が現れ、銃弾を撃たれる。
幸い、距離があったのと、出てきた瞬間に回避体制をとっていたため、被弾こそしなかったものの、先手を打たれてしまう。
三人は慌てて近くに止まっていた車の陰に隠れた。
「それじゃあ、ここからはプラン通りいくぞ。」
「了解。」
秀は背負っていた腰にぶら下げていたポーチから缶を投げ、スモークを焚く。
これにより、双方の視界が一メートル以内に制限されてしまったが、一気に接近をしたい珠威には好相性。
百メートルほどあった距離を十五秒ほどで走り、迷いなく一つの陰に向かって大剣で切りかかった。
カキン
珠威の刃を受けた響は、珠威が来ることを読んでいたようで小型のナイフで受け流す。
響はマシンガンをメインで装備してきていたが、この視界不良の状況で下手に撃って味方にあててしまうことを恐れて使うことができず、防戦一方になってしまう。
それでも、ナイフ一本で大剣の攻撃をさばききるその技術は素晴らしいという他なかった。
そうこうしているうちにスモークが晴れ、珠威たちはいつの間にか元居た場所からかなり移動しており、一班のプラン通り、分断に成功したのだった。




