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第一章:第八話

 帰り道。

 零と莉桜は駅までの道を隣並んで歩いていた。

 二人とも何も言わず、いや、気軽に言葉を発することができず沈黙が二人の間を支配していた。

 それまで口を閉ざして何も言わなかった零が重い口を開けて言った。

「ごめんな、莉桜。」

 零の突然の謝罪に困惑する莉桜。

「と、突然どうしたの?」

 莉桜の中では今日の事件で零は百点満点中一万点くらいの働きをしていたと思っていた。

 あれだけの活躍をして何を謝るのだろうか。

「俺が何か動けていれば。

 珠威たちに危険な手段を取らせることもなかったし、早く解決できていたはずだと思うと情けなくてな。」

「零君は十分、ううん、私には言い表せないくらいすごいことをしたんだよ?」

 突然現れたテロリストに屈することなく打開策を考え続け、自分で攻略法を考えつけなかったとしても、とっさの判断で珠威たちに加勢したのは褒められこそされど責められる要素はどこにもない。

 そう伝えようとしたがうまく言葉にできず、『えーっと』『その』と詰まっていると後ろを歩いていて話を聞いていた珠威が零の肩を叩いて言った。

「零は俺のことを一体何だと思ってるんだ?」

「...いつでもどこでも常人では成せないことを成す超人。」

「そんなわけないだろう。」


 やれやれと言いながら続ける。

「俺だってできないことはたくさんある。今回の事だって俺一人じゃ無理だった。

 零を含めてみんながいたからできたんだ。」

 だから胸を張れと言う。

 うつむいていた零が顔を上げると、まず笑顔を自分に向ける最愛の人が目に入る。

 肩を持つ珠威の顔も笑顔だ。

 普段あまり表情を変えない歌葉の口元も緩んでいる。

「そうだな。少し卑屈になりすぎていたかもしれない。」

「そうそう、零君はもっと自分に自信を持たないと。」

 その言葉にうなずきながら、

「でも、同じことがあったら一人で解決できるくらい立派になって、莉桜を心配させないようにする。」

「まず事件が起きない方がいいんだけどな。」

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