第三章:第六話
警察隊と侵入者とのやり取りを二階から隠れて見ていた珠威たち。
「なるほど。彼らは帝国派の連中ですか。」
「どうやったら助け出せそうかしら?」
姫奈が期待を滲ませて珠威を見る。
しかし、
「どうしようもないな。
正直俺たちにできるのは警察の動きに合わせて一緒に乗り込むとかだけど武器はないし。」
「そうですね。帝国派と分かってもあまり攻略には役立ちませんし...」
歌葉は、帝国のスパイであれば高いレベルで訓練されていて厳しい戦いである、と続けようとして口をつぐむ。
ここでマイナスのことを言っても仕方がないからだ。
今すべきなのはどんな手段でもいいから打開策を見つけ出すこと。
あきらめるための理由を探すことではない。
もう何度目か分からないが、再び建物内、そして侵入者ら、人質の様子を注意深く観察する。
噴水の周囲に立つ侵入者らと人質。
まだ高く水が噴射されており ”ざぁぁぁぁ” という音がエントランス一体に響く。
高い高い天井からは陽光が差し込んで建物内を明るく保つ。
侵入者らの手にはライフル。見た限りでは最新式である。
彼らの格好はフルフェイス。耳まで覆われていて出ているのは目だけ。
ひたすら得られる情報から作戦を編み出し、脳内で演算して成功確率を見積もっていく。
そうすること約五分。
「分かった。」
珠威は演算を終えた。
*
「何とか...俺がどうにかしないと...」
零は焦っていた。
もうすぐ約束のに時間が経過するが、十中八九警察はこの取引にのらない。
だから自分がどうにかしなくては、と焦りでうまく働かない頭で必死に考えたが余計に焦るだけで一向に案など出て来なかった。
「くそ。一か八かで...」
そうつぶやいたときだった。
上から二つの黒い影が降ってきたのを零の目はとらえた。
その影は侵入者らのリーダーと唯一武器を手に持っている男の頭を正確に狙って降りて来ていた。
その影が誰か、そして計画性の有無を疑うことなく零は他の侵入者らへ襲いかかっていた。
六人のうち三人は制圧。
これで三対三。数の優劣はない。
とはいえ相手が本当に帝国のスパイであれば高いレベルで訓練されているはずである。
やはりと言うべきか、三人ともすぐに腰につけていたホルスターから拳銃を取り出して、飛び降りてきた二人と零に狙いを構えようとした。
その動きは常人であればとらえることすら困難なほど素早く、一瞬で殺されていただろう。
しかし、彼らにとって不幸だったのは相手が学園都市の戦闘科の生徒であり、その中でも最上位の実力者たちであったことだろう。
照準を合わせる間もなく三人は意識を強制的に手放させられていた。
このショッピングモールは二階より上は中央部分が大きくくりぬかれているイメージで読んでください。




