第一章:第二話
「…して、君らはこの国を引っ張るような...」
校長の話が長々と続く。
ここは第三学園都市の大講堂で、一期生の入学式が行われている。
開校記念ということもあって、県知事や地元の名士など、多くの来賓の出席の中、式は進行している。
「...ということで、私からの話は以上とする。」
「起立。礼!」
ようやく校長の話が終わり、来賓の方々の紹介に移っていく。
その様子をぼんやりと眺めながらここに至るまでの経緯を思い出す。
この学園都市というものの設立が決まったのは三年前、俺 ―藤川珠威― が中学校に入学したばかりの頃だった。ネットでも話題となり、その施設の充実度などから志望者はかなり多かった。
俺がこの学校を志望したのはもちろんやりたいことがあったからだ。
だから、そのやりたいことを現実とするために、倍率五十倍と言う熾烈なレースを走り、こうして学園に合格したというわけだ。
そして、ただ合格したわけじゃない。
「新入生代表。藤川、珠威!」
「はい。」
経済科、言語科、物理化学科、医学科、薬学科、戦闘科、情報処理科という七つの学科の新入生の中でトップの成績で、首席で合格した。
俺の取った点数は、作問を担当した人が、不正を疑うほどの出来だったそうだ。
別に、こうやって言っているのは自慢したいからじゃない。
無事学園に入学したことも、首席となったこともすべては通過点には過ぎない。
このつまらない、クソみたいな人生において、唯一やりたいことを実現するという道の...
*
入学式が終わり、これから住まう場所へと向かって歩く。
この学園都市、とてつもなく大きい。
それだけ国が力を入れているということであるが、いくら何でも...と思わされるようなことはいくつかある。
まず、各学科の上位十名は何と一軒家がもらえるのだ。
それも狭い平屋かと思いきや広々とした二階建ての家をだ。
さすがに俺一人が住むには広すぎるので、同じく学園都市に入学した幼馴染の男子とシェアすることとなっている。
そして都市内にショッピングモールがあったりライトレールが走っていたりと、発展させすぎということも思った。
そんなどうでもよいことを考えながら歩いていると、ちょうど校門を出ようというところで声をかけられた。
「ちょっと待ってくださりませんか?」
優しい声質だが有無を言わせない強い言葉が耳に入る。
振り返って声の主の姿を視界に認める。
それは可憐な女子生徒だった。長い、美しい髪を春の暖かい風にたなびかせて、青緑の目が強い光を放ちながら俺の姿をとらえている。
制服の襟についているバッジを見ると、どうやら彼女は俺と同じ戦闘科に入学した生徒のようだ。
「俺に何か用があるのか?」
一度も話したことのないどころか、見かけた覚えもなかったので人違いじゃないかと考えて確認する。
「はい。藤川珠威さん、あなたに用があるんです。」
俺の名前まで言ったので人違いと言う線は消える。
「用?」
「用件を話す前に自己紹介をしましょう。私だけあなたの名前を知っているのも不公平ですしね。」
顔に軽くかかっていた髪を払って彼女は俺に名前を教えてくれる。
「私は月宮歌葉といいます。
それで、いきなりですが...私はあなたに決闘を申し込みます。」




