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第三章:第二話

「ってそうじゃなくて、今日は夏休みの予定の話をしに来たんでしょう!?」

 熱くなっていた俺たち三人が我に返る。

「そういえばそうだった。」

「すみません。熱くなってしまって。」

 机の上に広げられた、姫奈の持ってきたリストを見る。

「これはどういうリストなんだ?」

 そう尋ねると、姫奈ではなく朝桐さんが答える。

「これは、私と零と姫奈と歌葉で話し合って絞り込んだ旅行先リストで...」

「?」

 どうしてその四人で絞り込んだのか不思議に感じたが、それも説明してくれる。

「珠威の家は旅行に行けるほど裕福じゃないでしょ?」

「ああ。そうだが...」

 俺は両親を小学生の時になくし、一つ下の妹と年金暮らしの祖父と暮らしていた。

 その祖父も中学生の時に他界してしまい、少ない貯金を切り崩しての生活を二人で送っていたのだ。

 このことを付き合いの長い姫奈と硝斗には話していたので俺の家にお金がないことを知っている。

「それで、姫奈さんが私たちに話を持ち込んできたんです。

 私たち、入学してから珠威君に迷惑かけたから。」

「謝罪の意を込めて...」

「ほんとすみませんでした。」

 というわけで、俺の旅行代は三人が持ってくれるそうだ。

 それで改めてリストに目を通す。

 目的地の候補は三か所。


 プランAは北海道の山奥で避暑。自然を楽しむようなプランとなっている。

 プランBは沖縄の海を楽しむというもの。これもなかなか面白そうだ。

 そしてプランCは...





 さて、行き先を決めてから一週間たったある日の朝。

 俺たち六人の姿は変わらず名古屋の学園都市にあった。

「それじゃあ行こうか。」

 都市内にある駅で待ち合わせをして早速列車に乗り込む。

「それにしても、結局プランCでよかったのか?」

「ああ。まあな。」

 プランCの内容は、市内にあるショッピングモールで買い物をするというもの。

 そしてなんと三人は俺の欲しいものをなんでも買ってくれるそうな。


 俺がプランCを選んだのには訳がある。

 まず、旅行もいいが、俺としてはみんなで楽しい時間が過ごせればそれで十分だ。

 それにあまり遠くへ行って羽目を外し、成績を落としてしまっても困る。

 それなら近場で楽しむ方がよいと思ったのだ。



 そんな珠威の様子を複雑な心境で見つめる人間が二人がいた。

 付き合いが長い硝斗と姫奈である。

「珠威のやつ、内心成績を落とさないために近場で済ませようとか思ってそうだよな。」

「ええ。でも...」

「ああ。多分あいつはまだ昔のことを自分も気づかないうちに怖がっているんだと思う。」

「まあ。とりあえず今日は楽しむだけじゃない?」

「...そうだな。」

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