第三章:第一話
第三章だと...?
季節はいつの間にか夏になった。
からりとしていた春から一転じめじめした気候となり、薄手の白いシャツの夏服に衣替えした生徒がほとんどである。
そんな俺たち、高校一年生の夏であるが、期末考査が終わりもうすぐ夏休みというころのある日のことである。
「珠威君は流石ですね。中間考査で負けてしまったので今度こそと思って挑んだのですが...」
各考査の成績優秀者三十名は廊下に名前が貼り出されるのだが、今回も俺が一位で二位が歌葉だった。
今回の俺の点数は現古数英物化地歴の八教科すべて満点で八百点。
対する歌葉は数学でミスを犯して満点には惜しくも届かなかった。
「まあ、歌葉に負けたくないからな。」
「次は負けませんよ。」
「俺だって負けるつもりはないからな。」
こういうところで負けたからと言ってあきらめず、張り合ってくれることに喜びを感じながら歌葉と話す。
中学の頃は、他の生徒は俺が学年一位を獲ると、
『まあ、あいつは天才だから。』
『どうせ適わないし。』
という反応しか見られなかったため、それだけに今の歌葉との関係性はいつまでも続けたいものだ。
「零君は今回、前回よりよく頑張ったね。」
「いや、まあ...それほどでも。」
ふと隣を見ると朝桐さんに褒められてデレデレする零の姿があった。
「ただ、莉桜は医学科で一位だろ?俺ももっと頑張らないと。」
具体的には一位を獲るとかつぶやいている零に声を掛ける。
「俺に勝つってことか?」
「私にも勝つということでしょうか?」
「ちがっ...違くないか。戦闘科で一位を獲るにはこの二人に勝たなきゃいけないのか。」
「零君、無理はしないでよ?今の順位だって十分すごいんだから。」
「分かってる。ただ、どうせ目指すなら一位だろ?」
零がそのように言っているが、今回のテスト、一位の俺と二十二位の零の間には約百点という大きな溝がある。
これだけの差を埋めるということを簡単に言う零に対し、俺と歌葉は強者の余裕で対応する。
「ふうん、そうか。やれるものならやってみろよ。」
「一生かけても負ける気がしませんけどね。」
俺、歌葉と零の間に激しい火花が散る。
戦いの火蓋は切って落とされたのだ―――




