第二章:第四話
...待て。俺は何のために珠威より優れていることを証明するんだ?
女子からもてたいから?たくさん声を掛けられたいから?
考えれば考えるほどよくわからなくなってきた。
とりあえず終わらせてから考えよう。
今は戦いに集中だ。
銃口を今一度、珠威に向ける。
弾を切るという神業をそんな何度もできるはずがない。
狙いを定めて引き金を引く。
引いた瞬間
あいつの姿は俺の視界から消え、耳元で
『それじゃあ、答え合わせと行こうか。』
という声がした気がした。
頭に強い衝撃を受けて俺は意識を手放した。
*
気が付くと、白い天井の部屋に俺はいた。
窓からは橙の光が差し込んでおり、夕暮れであることが分かる。
決闘をしたときはまだ日が高かったのでかなりの時間、俺は意識を失っていたことになる。
体を起こそうとすると、掛布団の上に何かがのっている。
何かと思い、首だけを起こして確認すると ―心臓が止まるかと思った― 俺の胸の上ですやすや眠る水色の髪の少女がいた。他でもない俺の婚約者、莉桜である。
どうしてここにいるのかとか色々頭の中で疑問が飛び交う。
そうやって動けずじっとしていたら莉桜が目覚めたようだ。
「ん...あれ?...私...いつの間に...」
そして俺と目が合う。
莉桜は顔を真っ赤にしながら俺に声を掛けた。
「れ、零君。大丈夫?」
「ああ。」
「良かった...」
そこから俺も莉桜も話し出せず、沈黙が場を支配する。
五分か十分かはたまた一分か、しばらくの時間が過ぎ去り莉桜が立ち上がる。
「それじゃあ、零君も無事だったし私、帰るね。」
「あっ。」
俺に背中を向け、歩き去ろうとする莉桜に言うべき言葉を探す。
このまま別れていいのか、それとも、何か話をするべきなんじゃないのだろうか、迷う。
慌てて絞り出た言葉は、
「もう少しだけここにいてくれないか。」
というものだった。
断られることを覚悟して頼んだのだが、意外なことに彼女は少し驚いた様子を見せ、その青い目を伏せて、そして笑顔で
「いいよ。」
と言った。




