第二章:第二話
「んまあ、それは厄介そうな話だな。」
「すみません。」
ふと、朝桐さんの様子が気になった。
「どうして朝桐さんが謝るんだ?悪いのは零だっていうのに。」
そう尋ねると、彼女は肩を震わせ下を向きながら、
「それは...私に魅力がなくて、彼を引き留められないから...」
と答えた。
この時、朝桐さんを除くこの場の全員が零に対して殺気を抱いた。
これほど素敵で、想ってくれる許嫁がいるのに好き放題している彼の失礼さに対して本気で腹を立てた。
「そんなことはないわ。あなたは綺麗だし、優しいし、悪いのはあの男よ。」
「私もそう思います。珠威さん、どうにかできないんですか?」
その歌葉からの質問に、解決策を考える。
零が朝桐さんにほれ込むような手段か...
「少し古典的な手段になるが、なくはない。」
「じゃあ、それをやりましょうよ!」
「まあ待て。」
前のめりの姫奈を抑えて、俺は朝桐さんに問う。
「質問なんだが、朝桐さんは零のことが好きか?」
政略的な思惑のもとで婚約をしている二人だが、俺としては協力するのであればこの点は聞いておきたかった。
すると、先ほどまで下を向いていた朝桐さんは俺の目をまっすぐ見て、強い光を宿して言った。
「はい。私は零君が好きです。世界で一番。」
*
そして放課後。
俺は約束通り決闘場に来ていた。
審判からの諸注意を受け、決闘で使用する武器を選ぶ。
今回のルールは、武器は用意されたものなら何でもあり。先に降参した方、もしくは戦闘不能になった方の負けだ。
場所は森フィールドで初期位置はランダムに転送される。
武器庫で使用する武器を選ぶ。
ここには訓練用に調整された剣や銃が様々な種類用意されている。
色々手に取って見る。
俺としては銃より剣の方が好きだからなぁ。
1v1だし、零が銃を選んでも弾は切ればいい話だし。
そう考えながら横目で零の様子を見る。
彼は最新型で自動アシスト機能付きのアサルトライフルとナイフを選んだ。
「おい。」
「?」
いきなり話しかけられて驚く。
「お前、どうして剣一本しか持ってないんだ?」
「そりゃあ、まあ、必要ないからな。」
淡々と答えると零は怒り心頭という様子で大きな足音を立て、フィールドへの転送装置に載って行ってしまった。
「ただ事実を述べただけなんだけどなぁ。」
彼が腹を立てた理由は分からなかった。




