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学校の隠れ美少女と今日も喋る  作者: 粗茶の品
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お話したい


「おはよう、空松」


 朝登校し終えて自席でぼーっとしている信夜に磯立が肩に手を乗せて話しかけてきた。

 相変わらず元気そうな顔を見せてくる。信夜はチラッと時計を見た。


「おはよう。今日は早いんだな」


 磯立が登校してくるのはいつもだともう少し遅い。それなのに今日は十分ほど早く到着している。それが信夜は少し気になった。

 信夜の問いかけに磯立は「あー」と声を漏らした。


「別に今日は早く起きただけ」


 磯立は何気なく答えた。信夜はそんなこともあると納得する。

 実際信夜もいつもより早く起きて早く学校に着くことなど年に数回はあった。


「お、おはよう」


 信夜と磯立が顔を見合わすと横から女子生徒の声が聞こえてきた。横を見ると見覚えのある人物がそこに立っている。

 あの人は確か昨日磯立と帰り際に廊下で話していた人物だ。

 信夜には面識がないから磯立に声をかけにきたのだろう。


「おはよう。雲川さん」


 磯立がそっちの方を向いて挨拶する。

 雲川は嬉しそうに「笑ってはい」と答えた。


「どうかした?」


「い、いや、見かけたから挨拶しようと思って」


 雲川は磯立の質問に目を逸らして答える。

 磯立が急に「あ、そうだ」と言って信夜の方を向く。


「この人は雲川水菜さん。えっと、昨日ちょっと一緒に帰ったりして」


 磯立が雲川について説明しているとその後ろから雲川が睨みつけるように信夜を見た。まるで邪魔しないで言うかのように。

 信夜は少し目を逸らして周りを見ると教室のドア付近に星上を見つけた。

 星上は信夜と目が合うとすっとドアの影に隠れてしまった。しかしまたすぐに顔を覗かせる。

 その視線は信夜の方を向いている。


「うん?どうかした?」


 信夜が違うところを向いていることに気がついたようで磯立は不思議そうに尋ねてくる。


「あ、いや、・・・・・・ちょっと俺席外すわ。ごめん」


「そうか」


 信夜は席を立つ。チラッと雲川の方を見るとうんうんと頷いていた。

 やはり邪魔だと思われていたのだろう。

 信夜は歩いてドアの方へ向かう。磯立は歩き始めた頃すぐに雲川に話しかけられていた。

 ドアまで着くと星上は隠れるようにドアにしがみつく。


「どうかした?星上さん」


「え、あの、その、おはようございます」


 星上は小さな声で言う。


「おはよう。って言ってもさっきも同じ挨拶したけど」


 今日もたまたま登校時星上と出会ってそこから一緒に登校したので「おはよう」はその時交わした。

 でもまぁ、これはおそらく何回でもしたらいいのだろう。減るものでもないし。


「それで、どうかした?誰かに用事?」


「えっと、あの、その、そういうわけでは」


「もしかして迷惑だった?」


「ち、違います。むしろ嬉しいと言うか・・・・・・いえ、何でもありません」


 何か今日は緊張しているように感じる。

 どうかしたのだろうか。それにしても誰かに用ではないのならなぜここにいたのだろう。


「それより、お話してたんじゃないんですか?」


「そうなんだけど、あの二人の会話に俺は邪魔っぽいから」


 信夜は軽く笑いながら言う。二人を見ると仲良さそうに話していた。

 二人がどんな関係なのかは知らないが楽しそうで何よりだと信夜は思う。


「それなら、わ、私とお話しませんか?」


 信夜は突然の星上の言葉に呆気に取られた。そして少し笑った。。

 お話しようなどと誘われたのは記憶にあまりなかったからなんだかおかしかった。話をする時などいつも当然で言われてみればいつのまにか始まっている。こんなふうに始めるのはきっと珍しいだろう。


「お誘いありがとう。喜んでさせてもらうよ」


「やった」


 星上は体ごと信夜から逸らして何やら顔の近くで手を握っている。


「どうかした?」


「い、いや、なんでもない、です」


 体を急いで振り向かせて星上は取り繕うように言う。

 なんでもないのならいいのだが、さっきのポーズには何か意味があったのではないだろうか。

 聞いたところで教えてくれそうにはない。


「それにしても、本当に何か用はなかったの?」


「用ならもう済みました」


 星上は満足そうに笑顔を作る。

 済んだと言うけれど一体何をしたと言うのだろう。見つけた時にはすでに終わっていたということなんだろうか。

 信夜は訳がわからないまま星上との会話を続けた。

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