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学校の隠れ美少女と今日も喋る  作者: 粗茶の品
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少し様子の違う帰り道


 放課後すぐのこの時間帯には今日も大勢の生徒が校門に向かって歩いている。

 信夜はその様子を昇降口前の階段を降りて眺めた。

 男子も女子も入り混じっている。わずかにいる他の方向へ進む生徒は自転車を取りに行っているのか、部活動に向かっているのだろう。


「お待たせ」


 後ろから声がしたので振り返ってみるとそこに星上は立っていた。星上は信夜が気づくとすっと横に並ぶ。

 星上の声色はいつもよりも明るいような気がする。


「こんにちは。何かあった?」


 信夜の質問に星上は首を傾げる。

 声色だけでなく、雰囲気までもが前までと違うように信夜は感じる。何か嬉しいことでもあったのだろうか。


「何もないですよ?」


「そう?それじゃ、行こっか」


 信夜は星上と並んで歩き出す。その足取りはなぜか昨日よりも軽いような気がする。


「そ、その」


「うん?どうした?」


 校門を抜けて少ししたところで星上から話しかけてきた。顔はいつも通り合わせてくれない。


「その、空松さんって・・・・・・やっぱりなんでもないです」


 星上はそう言って顔を伏せてしまった。

 いつもと同じなのかそれとも違うのか、二つが混ざってよくわからない状態になっている。


 そこからしばらくは特に変化もなく他愛のない話をしながら帰路を歩いた。

 そして信夜の家の近くにある曲がり角にまで辿り着く。信夜たちが着いたのと同時にその角からは見覚えのある女性が出てきた。


「あ、また会ったね」


 信夜たちに気づいた遥香は爛とした笑顔で話しかけてくる。

 二日連続でこの曲がり角で出会うことは珍しい。一年以上はこの道を使って下校しているが、それは一、二どしかなかったと思う。

 逆に言えば一、二度はあったわけだが、あったからと言って何かあるわけではない。

 信夜たちは全員立ち止まるが星上はなぜか信夜よりも後ろに位置どった。


「二人ともやっぱり仲良いんだね」


「友達だからな」


 友達であれば一緒に帰ることに違和感などないだろう。

 遥香は「ふーん」とじっと信夜と星上を見つめる。


「じゃあ、私たちの仲の良さを見せつけよう」


「なんでそんなことする必要がある⁉︎」


 信夜のツッコミに遥香は軽く笑う。

 仲がいいと言ってくれることは嬉しくはあるが見せつける必要などないだろう。

 それにあまり変なことをすると彼氏に申し訳ないことになるかも知れない。相手が誰かなど知らないし、相手も自分のことを知らないかも知れないゆえ。


「冗談、冗談。じゃあ、私先帰るね」


 遥香はそう言って軽く手を振ってから立ち去る。しばらく行くとなぜか一度こちらを振り返った。


「やっぱり明るい人ですね」


 星上は去っていく遥香を妙に真剣に見つめながら言う。

 星上がどんな感情で遥香のことを見ているのかはわからない。信夜はそれが少し気になった。

 遥香は気さくでいい人物だからきっと話してみれば友達になれると思う。もしかしたら遥香の中ではもう友達になっているのかも。

 信夜はそんなことを思いながら星上の方を見る。


「俺たちも行こう」


「そうですね」


 再び並んで歩き出す。

 星上の顔は先ほど歩いていたよりもなぜか下を向いていた。

 少し歩くとその顔が上がってきて信夜の方を向く。それでも目は合わせてくれないていないような気がする。


「あの人とはどういう関係なんですか?」


「うん?ああ、遥香って言って一応妹。まぁ、義妹で年齢差も一年もないけど」


「ぎ、義妹⁉︎」


 義妹という言葉を聞いて驚いた星上はその次に信夜から明確に顔を逸らした。

 確かに義理の兄弟がいるなんて話はあまり聞かない。だから驚くのも無理ないだろう。


「・・・・・・」


 星上は顔を逸らしながら何か呟く。何を言っているのか聞き取ることはできなかった。


「どうかした?」


「あの、な、なんでもない、です」


 少しぎこちなく星上は返事をする。

 そんなに義妹というのが珍しかったのか、予想外すぎたのか、なんにせよこうなった原因を信夜は理解できていない。

 少し沈黙の間を置きながら信夜たちは歩き続けた。

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