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第三十三章

この物語を読んでくださり、ありがとうございます!

本日3話で完結です。

それでは、物語をお楽しみください!

 公爵家との婚約が決まり、アルメリアのもとには多くの祝福が寄せられていた。しかし、彼女の胸の奥にはまだ迷いがあった。確かにエヴラールとの未来は幸福なものになると信じていたが、それでも彼女自身の出自が公爵家にふさわしいものなのかという疑問は拭いきれなかった。

 そんなある日、宮廷より正式な招集がかかった。

「王より、アルメリア・フォン・レグニエ嬢に王宮へのお越しをお願いしたいとのことです」

 突然の召喚に、公爵家の者たちは驚いた。アルメリア自身も予想外のことで、困惑した表情を浮かべる。

「私に、何の御用でしょうか……?」

「詳しくはわかりませんが、国王陛下ご自身からのご指名です」

 エヴラールがすぐに同行を申し出たが、王命である以上、アルメリアが単独で向かうほかない。彼の心配そうな視線を背に、アルメリアは王宮へと向かった。

 王宮の広間に案内されると、すでに国王と王妃、そして隣国の王女カトリーヌが待っていた。

「アルメリア・フォン・レグニエよ」

 国王の威厳ある声が響く。

「そなたが隣国との外交において多大なる貢献を果たしたことは、すでに宮廷でも評判となっている。カトリーヌ王女も、そなたを高く評価しているようだ」

「ええ、アルメリアのおかげで私はこの国をより深く理解することができました。彼女の知識と洞察力には感嘆するばかりです」

 カトリーヌ王女がにこやかに微笑む。

「そこで、そなたの功績に褒美を授ける」

 国王が厳かに告げる。

「アルメリア・フォン・レグニエよ。そなたに爵位を授け、新たに『アルベル侯爵家』を興すことを命じる」

 その言葉に、広間が静まり返った。アルメリア自身も信じられないという表情を浮かべる。

「……侯爵家を、新たに?」

「そうだ。そなたの才覚は、貴族社会にとっても王国にとっても必要なものだ。そして隣国との架け橋となる者として、正式な地位を与えることが相応しいと判断した。ただし領地は今は保留とする。」

「しかし、私などにそのような大役が務まるでしょうか……?」

「そなたはすでにその資格を証明している。心配することはない」

 国王は穏やかに微笑みながら言った。

「さらに、ルーベルト公爵家との婚約はこの決定によりますます強固なものとなる。レグニエ侯爵家の娘のままでは外聞が良くないだろう。そこで、そなたが新たな侯爵家の当主となれば、うるさく言う者もおるまい。」

 アルメリアは、静かに息を整えた。そして、ゆっくりと膝をつき、深く頭を下げる。

「恐れ多いことですが、陛下のご信頼にお応えできるよう、全力を尽くします」

「よくぞ言った」

 国王は満足げにうなずく。

 こうして、アルメリアは新たな侯爵家の当主として認められることとなった。そして、アルメリアのレグニエ侯爵家からの決別を決定づけるものでもあった。

 王宮を出たアルメリアは、公爵家へと戻るとすぐにエヴラールへ報告した。

「侯爵位を……? それはまた随分と大きな話になりましたね」

 彼は驚きながらも、すぐに微笑んだ。

「だが、それならばますます遠慮する理由はなくなりますね」

「……え?」

「アルメリア、貴女が侯爵になろうと関係ありません。私はただ貴女を妻に迎えたいだけです。でもまぁ、よりふさわしい未来が開けたのではないでしょうか?」

 彼の言葉に、アルメリアの胸が熱くなる。

「……はい」

 アルメリアの未来は、大きく動き始めていた。

 そして、それはエヴラールと共に歩む未来でもあった。

 二人の物語は、新たな章へと進んでいく——。

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